お菓子作りの思い出
物価高の影響で店頭からお気に入りのチョコレートが姿を消してしまった。お菓子を作ろうと思い立ち、スコーンを焼き始めた。スコーンを焼くかたわら、パウンドケーキ、バゲットなどにもトライし始めて…。
お菓子を作っていた頃の記録を綴ったエッセイ。サクッと気軽に読めます。
お菓子作りとチョコレート
数年前からお菓子やパンを作ることが増えた。きっかけは愛食していたチョコレートがスーパーの店頭から消えてしまったこと。海外製のチョコレートで、中にフルーツが入っており、私のお気に入りだった。スーパーマーケットをはしごして探しても、取り扱いがない。物価高の影響で入荷が遅れているのだろう。私にとってこのお菓子は心のサプリメントのようなもの。空っぽの商品棚を見るたび、もの寂しさを覚えた。
チョコレートの苦みとフルーツのじんわりとした甘みは、疲れたときや元気を出したいときに、心を優しく慰めてくれる。
「あのチョコは口溶けが良くて、のど飴代わりにもなるから良かったのになあ…」
物価高を憂い代替品を探していると、ふと、とあるアイディアを思いついた。そうだ、無いなら自分で作ろう。
とはいえチョコレートを原材料から作るのは難しいので、焼き菓子を作ることにした。材料も手間も少なく、手軽に作れる焼き菓子「スコーン」をチョイス。シンプルなレシピなので分量さえ覚えてしまえば簡単だ。栄養価の高いミックスナッツと、カカオ濃度の高いダークチョコレートをセレクトすることで、少量でも満足感が得られるように工夫した。この小さな可愛らしいキューブをおやつの時間にハーブティーといただくのが、私のリラックスタイムになった。
スコーンを焼くうちに材料が余って来たので、他のお菓子を焼くようになった。黒ごまたっぷりのまんまるクッキー、ふわふわのパウンドケーキ。母のリクエストで、食パンやバゲットを焼くこともあった。米粉や全粒粉、てんさい糖など体に優しい材料を選び、毎日少しずつ無理なく食べられるようなものを作った。
てんさい糖のみの優しい甘みを楽しんだり、気分によってお砂糖の配分を変えたりしてアレンジを楽しんだ。まるパンを作った際に生地のひとつにチョコレートのかけらを包んで、おみくじのようにしてみたこともある。バゲットをパン・コン・トマテやガーリックトーストにして、ランチに添えてみたことも。
もちろんダークチョコレートとベリーのスコーンも焼いた。ほのかに苦いチョコレートとベリーの甘酸っぱさが良いアクセントになって、美味しかったことを覚えている。だけど、愛食していたチョコレートの味には敵わないと思った。今でもスーパーに行くたびに販売されていないかと、目で探している。それくらいお気に入りなのだ。
今はお菓子やパンを焼くことないが、良い体験になったのではないかと思う。なにしろ好きなフレーバーのスコーンを見つけることができたのだから。
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