男女のトイレともに女性清掃員が作業することについて
公共施設などにおけるトイレ清掃は、男女のトイレともに多くの場合、女性が行っています。男子トイレにも、女性清掃員が入って作業しています。そして、それは当たり前のように行われています。しかしもしも、女子トイレに男性清掃員が入って清掃作業をしたとして、それでも同じように当たり前の行為だと思われることはできるのでしょうか。
男子トイレに女性の清掃員入ってこないでほしいんやけど。
— 生きていたんだよなマン (@jd_de_se) 2019年6月13日
タピオカドリンク屋でおっさんが働いてたらそんなに嫌なことなのかな?
男なんて普通に女性が男子トイレや銭湯の男湯で清掃しても大半の男は嫌な感じにはならないのに、— KAI 🔑Tail wind Run🌟 (@KAI71910968) 2019年6月15日
女性トイレに男性清掃員
男性が清掃員として女子トイレに入ることができない理由は、清掃員にとってそれがたとえ仕事だとしても、自分の利用するトイレに男性が入ってくるのは、女性にとって苦痛だからでしょう。
都合の押し付け
一方、男子トイレに女性清掃員が入って作業をすることが、むしろ当たり前とされている理由は、トイレに女性が入ってきたとしても、そのことに男性は嫌悪感を抱かない、あるいは抱かない「ことにされている」からだと思います。女性が突然トイレに入ってくることを、男性はべつに気にしないのだということにされているのです。
気にすることを悪とする文化
ではなぜ男性は、トイレに女性が入ってくることを「気にしない」ことにされなければならないのでしょう。
おそらく、少なくとも日本において多くの男性は、「本当に」女性清掃員が定期的に突然トイレに入ってくることを気にしないのでしょう。
そして、気にする男性は、期待通り少数派なのだと思います。
しかし、かりに気にする男性が少数だとしても、男性が苦痛に思う気持ちを無視していいということにはなりません。
むしろ、正当な性別分けに準じてトイレを使用しているにも関わらず、苦痛を感じなければならずにいる男性の方に、配慮はなされなければならないはずです。
かりに、勤め先のトイレに一日何度も、異性の清掃員が定期的に突然入って清掃することが、会社の当然の規則になっていて、苦痛で悩んでいる女性がいるとしたら、そのような風潮をあなたはどう思いますか?
女性の苦しむ気持ちを放っておくことも、当たり前だから仕方ないと思うでしょうか?
清掃の人とか女性が男性トイレや男性側のお風呂の掃除をしたりとか多いだろうけど、男性より女性の方がいやらしい目で見ないからじゃないの?とは思うけどね(1部の変態は除く)…どうなんだろうね
— るあら (@rilz0) 2019年6月14日
男性看護師が盗撮か さいたま赤十字病院トイレにカメラ、清掃員が発見 県警が看護師を事情聴取 https://t.co/849wymfKXP
— 村上由美 4/4女性発達障害者向けコミュニケーション本発売! (@yumimrkm) 2019年6月13日
問題解決方法
この問題の解決方法は、利用者が安心してトイレを利用できるよう、男女それぞれのトイレにそれぞれの性別の清掃員を配置するということになります。女性トイレに女性清掃員が入るのと同じように、男性トイレにも男性清掃員を配置しなければならないということです。
施設にとって人件費が負担になるとしても、男性トイレに女性が入ってくるのは苦痛だと思う男性がいる以上、施設が対応を迫られるのは仕方がありません。
現場で、排泄の様子が直接視界に入ってしまうかは別にして、少なくとも「息づかい」「小さな声や音の片鱗」なら聞こえてしまうような環境において、すぐそばに異性が存在する事実すら「気にせず」排泄することが強制される状況は人間の尊厳が保たれていません。基本的な対応の整備が、施設には追加で要求されるからです。
だからといって、この問題が性的差別にあたる問題ということではありません。
この問題はどちらかというと、国や地方などの行政が、自分たちとの直接的な利害関係に関わる接点の多い大きな組織である施設や法人などの都合を優先し、発言が社会的に反映されにくい「個人」の苦痛の声を放置していることに起因しています。
男子更衣室とか男風呂とか男子トイレに女性清掃員が平気で入ってくるのおかしくない?って話で朝から同僚と盛り上がった
逆だったら即大問題になるのにね
男のほうは男の清掃員にしてほしい— ファー (@faaaaaaaaaass_f) 2019年6月10日
多様な性に関する問題
運営費が税金である分、公的な施設のトイレであれば各性別用に清掃員を配置すること自体は、それほど大きな負担ではないのかもしれません。
一方で、民間の法人であれば、人件費のかさむ配慮をなるべくならやりたくないというのが本音でしょう。しかし、トイレ清掃員の性別の問題は、昨今取り上げられることの増えてきた、性に関する問題の一端のようにさえ思えます。LGBTQの方々が尊厳を持って生きやすい社会を構築するための、問題の一部とさえ捉えられるのです。
女風呂や女子トイレに男いたらお縄なのに男風呂や男子トイレに何食わぬ顔で女性清掃員いるの
おかしくね?
— 956@五等分青ブタ (@ssss956z) 2019年6月11日
自由な思想
私たちは、女性だけが抱くと思われがちだった感情を、男性も同じように感じることもあるし、そのような感情を持っても構わないという考え方を認めなければなりません。まずその部分から、私たちには意識改革を始める必要があります。
そして「自分は少数派だから自分だけが我慢して黙っていればいいのだ…」という我慢を強いることのない社会を実現し、本人の苦しみを無視し自己犠牲を押し付け、自分の都合だけを優先させていれば構わないとさえ考えているような、利己的な多数派の存在が許されてしまうような社会を、構造的に破壊しなければなりません。
まとめ
たった一人のか細い悲鳴を、決して聴き逃してはなりません。そうやって、多数を占める勢力が弱い少数派に自分側の都合を押し付け合うだけのような社会が存在し続ける限り、生活のさまざまな場面は、あちこちで起こる小さな勢力争いの継ぎ接ぎのような社会になっていくだけでしょう。
少数派とされる者たちの弱い立場に正面から向き合うことを止めてしまった社会に、本当の幸せを得られる人間など、たった一人として生まれることはないでしょうから。
とある公共施設のトイレに出入りする女性清掃員。これが逆に女子トイレに男性清掃員に出入りしていたら問題になるのに pic.twitter.com/Dm1LahtUqs
— 怒りの平和社会 (@t7PLMmbLWt7iAxP) 2019年6月14日
最新情報を購読しよう!
就労継続支援・就労移行支援事業者様へ
HIFUMIYO TIMESでは毎月フリーペーパー版を発行しており、各エリア版の加盟店を募集中です。福祉事業者に最適なブランディングと広報力をご提供します。詳しくはお問い合わせください。