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2024/3/10:フリーペーパーvol.96発刊!

青信号を守って横断歩道を渡った、小学2年生女子児童の交通事故死

信号のない横断歩道で歩行者優先の標識のある道路を横断しようとしても、ほとんどの自動車は止まろうとしない。

こちらが横断の意思を示そうと歩道と車道ギリギリの部分から少し、ゼブラゾーンに片足を乗せる仕草で運転手の顔をのぞき込んでも、同じく止まらない。

速度を落としながら自分の車の鼻先をねじ込み、こちらが少しでも危険を察知して譲ろうとする気配を感じればなおさら、車両はそれに乗じて自分が進むことだけを優先する。

それが、道路交通法違反をしている車側の実態だ。

ようやく止まった車に歩道を渡りながら横断歩行者優先を意味する標識を指差して知らせても、通行をゆずる側の運転手は本来なら違反で処罰されてしかるべき立場であるにも関わらず、こちらを睨みつけてくる。

楠田真花さんの交通事故死

東京都多摩市、幹線道路の信号機のある交差点で事故は起きた。

2015年3月の夕方、スイミングスクールからの帰り、楠田真花さんは母親と妹と信号を待っていた。
信号が青に変わり、「お母さん、青だよ」と真花さんは母親に呼びかけた。
母親は小さな妹を後ろに座らせた自転車で先に横断歩道を進む。
その後を自転車で追う真花さん。

母親の背後で衝突音が響きわたると、振り向いた母親の眼前には真花さんの瀕死の姿が映し出された。

叫び声を上げる母親。

巻き込み確認を怠った大型トラックにぐしゃりとつぶされた真花さんは、搬送された病院先で死亡が確認された。

当時小学2年生、わずか8歳で突きつけられた理不尽な死だった。

トラック運転手の裁判の行方

トラックを運転していた男は、助手席側に置かれたマットでアンダーウィンドウ(小窓)が塞がれた状態のまま運転していた。

そのため、左折時の巻き込み確認ができない状態にあり、男はそれを放置していた。
証言によると、小窓での確認は視線をずらすことになるため、後方はミラーで確認するに留めていたという。

検察は、小窓を遮断していなければ被害者を確認することができたと加害者の男を糾弾した。
男は、出廷の前に被害調書を読むことすらしなかったという。

ゆっくりと頭を踏み潰される娘の気持ちが分かりますかと、父親は涙まじりに訴えたが、加害者はあっさり「分かります」とつぶやくだけだった。

対人賠償無制限の保険に加入していたとして、加害者の男に裁判所が下した判決は「禁錮2年、執行猶予5年」というものだった。トラック運転手の所属する会社も「再発防止に努める」と回答するのみで、当時の担当者は事故後に交代し、証言台に立つこともなかったという。

日本自動車連盟(JAF)による実態調査

2016年8月15日から9月1日にかけて、全国47都道府県の97カ所で行われた日本自動車連盟(JAF)の調査によると、信号のない横断歩道で横断しようとする歩行者に対し、停止した自動車の割合は計1万26台中757台と、全体の7.6%にとどまったという。

道路交通法では、横断歩道を渡ろうとする歩行者がいる場合、車両は横断歩道の手前で一時停止し、歩行者の通行を妨げないよう義務付けられている。
違反した場合は3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金が科される。

しかし現実には、辺りを見回しても厳密に取り締まっている姿はほとんど見かけないし、数多く存在する信号のない横断歩道で取りこぼし無く違反者を検挙することは不可能に近い。
ドライバーの良識に委ねられているのが現状で、そして現状では、法律はほとんど守られていない

飛び出したわけでもない。信号無視をしたわけでもない。横断歩道上で命が奪われるなんてあってはならない。

父親は判決後も残るやりきれなさを改めてそのように訴えた。
事故から1年以上経った今でも、父親はやりきれなさでいっぱいだという。
事故のあった交差点には、花が添えられている。

車両の運転手は、もっと道路交通法をきちんと学ぶべきだ。
自分が知らないうちに違反していることも、自覚しなければならない。

法律を知らなかったから違反してもやむを得ないという理屈も許されない

警察も、現行犯なら有無を言わせず即、逮捕すべきである。
パトカーの中から拡声器で指導するだけでは無罪放免と同じではないか。

「弱者優先の法則」が、道路交通法の根底にはある。
なぜ、法的に優先される側である歩行者が、車両に譲らなければならないのか?

警察官が横断歩道に四六時中張り付くのは無理だとしても、近辺にカメラを設置し、もし横断を妨げられた場合、歩行者はその日時を確認しておき、後日警察署や交番に出向き、自分の服装の特徴や当時の時刻、車両の特徴を伝えることで、カメラに記録された車両をナンバーから特定し、罰則を科すことができるインフラを整備することなら出来るのではないか。

このまま、事実上の違法行為を野放しにしておくことは許されない。

事故を起こしてしまったドライバーは、被害者のことを考える余裕などなく、どうやったら自分の法的責任が問われずに済むか、軽くなるかといった、自己保身のことしか考えないものである。

優先権を持つ歩行者が横断し、法を守らない車が止まらなければ、その歩行者は死ぬのだから、もはや良識などに任せていてはならない。

命がかかっているのだから、法律で厳密に、違反車両を取り締まるべきである。

しかしそれでも、死んでしまった被害者は戻ってこない。

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