障害者を対象に、生活訓練や就労支援に取り組む「多機能型事業所ほうぼく」は、北九州にある。
恵さん(62歳・仮名)は、1年ほど前からここへ通うようになった。知的障害と診断されたからだ。しかし、それまでの60年以上、福祉サービスは一切受けてこなかった。
画像引用:西日本新聞
高校卒業後、短大に入ったが卒業はしていない。仕事に就いた経験もない。19歳のときに父を亡くし、それからはそれまでの貯金と遺族年金で母との二人暮らしだった。
昨年の夏に母も亡くすと、近所の民生委員が生活困窮者自立支援制度の窓口につないだ。
生活困窮者の背景には障害の問題がある。軽度の知的障害と思われる方が多く、現行の障害者福祉の在り方に問題意識を持たざるを得ない。
— かんきち (@toshisuzu0406) April 10, 2016
「最初は就労に向けた支援をと、適性検査を受けてもらったんですが、受け答えがあいまいで、これは福祉だと」
恵さんの自宅は台所や風呂に、使用した形跡がほとんどなく、専門医によると軽度の知的障害であることが分かった。
仕事が続かなかったり、経済的に困窮している場合、障害が疑われるケースも少なくない。
恵さんのような知的発達の遅れは、多くが成人前に出現するとされている。だがかつては「世の中の偏見が強く、障害者と診断を受けるのに抵抗が強い親御さんも多かった」(相談員)という事情があった。
一方、愛さん(49歳・仮名)は小学生の頃から忘れ物も多く、片付けが苦手だった。複数の会社で働いたが、作業に時間がかかったり担当業務が変わると付いていけなかった。
先の見通しを立てるのが苦手で、高額商品を買っては借金がふくらんでいった。
専門医を受診すると、アスペルガー症候群と注意欠陥多動性障害(ADHD)との診断を受けた。
現在の日本は単純労働や職人的な仕事が減り、高いコミュニケーション力で複雑な判断力が問われる仕事が多くなっている。
対人関係を築くのが苦手な人が、労働市場で勝ち抜くことはむずかしい。
高齢者、障害者、子ども、労働者、女性、DV被害者、犯罪者や刑余者、外国人、生活困窮者など、人々を研究対象にする研究者と心底分かり合えた事例はあまりない。研究者は研究対象とドライに向き合い、立身出世に利用するだけでなく、本気で人々の辛苦を改善する方向に力を注いでほしい。
— 藤田孝典 (@fujitatakanori) December 10, 2016
福岡市発達障がい者支援センターの前所長で、現在は相談員を務める緒方よしみさんは次のように語っている。
「周囲が障害に早期に気付き、仕事の優先順位をつける、指示を具体的に出すといった工夫をすれば、就労が継続できるケースも増えてくる」
16年版障害者白書によれば、身体、知的、精神の障害をもつ人は国民の6.7%に当たる約860万人と推計されている。6.7%といえば確かに少数派だ。しかし、100人中に6〜7人の障害者がいると考えれば、もはや稀有な存在とはいえないだろう。
障害者は、頻繁に見かけてもおかしくない割合で実際に居るのだ。これだけの労働人口を、配置に工夫して労働力として活用できれば、生産力も大幅に上がるだろう。
http://www.nishinippon.co.jp/wordbox/article/8827
via:西日本新聞
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