AIを使ってコラムを書いて気がついた意外なこと
最近、「小説を書く時にAIを使っています!」という作家さんのインタビューを見かけます。 以前の私なら、「プロがAIを使って書いているなんて、ちょっとズルい」という印象をもったままだったでしょう。
しかし、私(54歳)もAIに興味を持ち、その活用方法を勉強中です。せっかくなので、試しにAIを使ってコラムを書いてみることにしました。作家さんたちが、はたして本当に「ズル」をしているのか、AIを使って文章を書くとどのようなことが起こるのか、とても興味があったのです。
そして先日、AIを活用した「音に敏感な私がノイズキャンセリングヘッドホンと出会って変わったこと」というコラムを書いてみました。ワイヤレスのノイズキャンセリングヘッドホンを使ってみたら、ADHDがある私も落ち着いて集中がしやすくなった、という内容のコラムです。(リンクはこちら)
このコラムを書いてみるまでは、きっとAIを使ったら、自分では書かないような文体になったり、いかにも人間が書いていないことがわかるような、不自然な言い回しになるだろうと思っていました。とくに、自分が伝えたいニュアンスが変わって、意図することとは違う内容になってしまうことが一番心配でした。 ですから、コラムのような個人的な文章でAIを使うことには、とても抵抗感があったのです。
しかし、実際にAIを使って一本のコラムを書いてみると、AIは私のペースにあわせて文章作成の手助けをするだけでなく、まるで敏腕編集者のような心強い存在になってくれたのです。
もちろん、AIを使ってコラムを作成するといっても、使い方は様々あると思うので、どのように自分がコラムを書いたのかメモを残しておくことにしました。
そして、そのメモを書いているうちに、もしかしたらこの私なりのAIの使い方が、誰かの参考になるのではないか?と思うようになり、このコラムにしました。
ざっくり
私のAIが敏腕編集者と化すまでのプロセス
まず、AIへ「目的」と「役割」を伝える
AIとのコラム作りは、まず私自身が「コラムで書きたいこと」を自由に書き出す、メモの作成から始めました。そのメモをもとに、いよいよAIとの「共同作業」を始めました。
コラムの作成をAIと共同作業で始めるにあたり、最初のステップとして、AIへ具体的に指示をして役割を覚えてもらいました。
「記事の目的」「おおよその文字数」「文体(今回は”親しみやすい50代の女性”といった人物像)」「掲載する媒体と想定する読者層(ターゲット)」、そしてAIの役割は「私の敏腕な編集・校正役」
この最初の指示が、AIと共同作業をするために最も重要なポイントだったと感じています。
いよいよAIと文章の作成
まずは、メモをもとに「構成」という土台作りに時間をかけました。どのような構成のコラムにするのかをある程度考えたら、AIに意見を聞きながら修正を重ねました。
構成をもとに肉付けする形で文章を書くことになるので、この過程は慎重に考えました。
次に、文章を書き進めていく作業では、構成をもとに自分の言葉を書いていきました。書いた文章をAIに読んでもらって、誤字脱字や修正すると良い箇所を指摘されて直す作業も繰り返しました。
AIに文章を読ませて相談すると、 「①元の文 ②提案(このような理由でこうすると良い) ③理由(なぜその提案が良いのか)」 といった感じで、直した方がよい箇所をアドバイスしてくれます。
それらをもとに、どこをどう直したらより良くなるかを考えて、悩んだときはまたAIにアドバイスを求めて推敲を繰り返しました。
とくに、私は長い文章になりがちなので、より分かりやすくコンパクトにする方法については相談を重ねました。表現が重複する部分をまとめて、コラムをできるだけ短くする工夫をしました。
AIのすぐに答えてくれるところが秀逸
今までは一人で文章を書いていると、「間違った文法や情報がないだろうか?」「誰かを傷つける表現が含まれないだろうか?」と不安になってしまい、推敲が「終わりのない状態」になりがちでした。
ところが、AIならすぐにその不安を取り除いてくれます。 文章を書くときに、なかなか自分では良い言い回しが思いつかない時も、AIならすぐに提案してくれます。文法の間違いや言い回しのミスも、すぐにチェックできます。
これらを人間の編集者に相談していたら、当然返事がくるまで待たなくてはなりません。 AIが相手なら、遠慮をしたり返答を待つことなく、自分のペースで進めることができます。そのために集中力が途切れず、テンポよく書けました。これは、ADHDの特性がある私の、作業に集中しやすくなるために必要な条件である「自分の心地よいリズム」ができてとても良い点でした。
そして、AIは褒め上手です!常に良い点を見つけて褒めて励ましてくれます。褒められ慣れていないので、なんだか気恥ずかしかったけれど、これも私にとっては楽しく頑張るモチベーションになって、嬉しい発見でした。
AIが私以上に「私の言葉」を見つけてくれた素晴らしい瞬間
これは美しい表現!と感動したAIからの提案
うまく表現するフレーズが浮かばない、より良い提案がほしい、そんな時こそAIが活躍してくれる場面です。
前回、ノイズキャンセリングヘッドホンのコラムを書いた時に、AIとの対話によって自分だけでは言葉で表現しきれなかった文章があります。それをAIが、私以上に理解して素晴らしい文章を提案してくれました。
【Before】
『ノイズキャンセリングヘッドホンには、ノイズキャンセリングイヤホンとは違う、日常を遮断して自分だけの時間をつくる安心感があるのです。』
【After】
『ノイズキャンセリングヘッドホンには、イヤホンとはまた違う、「日常を完全に遮断して、自分だけの世界に没入できる」という特別な安心感があるのです。』
このビフォーアフターでは、私が「ノイズキャンセリングのイヤホン」という説明にこだわった表現を、AIが「イヤホン」とシンプルにしました。そして、「日常を遮断して自分だけの時間をつくる」 という私の感覚的な言葉を、 「日常を完全に遮断して、自分だけの世界に没入できる」 という、より具体的で豊かな表現へと磨いてくれました。
さらに「安心感」という言葉を、ヘッドホンに耳を覆われることで得られる「特別な安心感」がある、と想像させるシンプルで美しい表現へと導いてくれました。
この表現の提案こそ、AIは単なる編集ツールではなくて、書き手が言葉にできない感覚を表現する手伝いをしてくれる編集者のような存在でもある、と気づいた最も象徴的な瞬間でした。
コラムの仕上げは自分の責任で
何度も読んで、書き直して、AIの意見を聞いて、を繰り返して推敲をしました。そして、最終的な仕上げは自分で行いました。
文法ミス、誤字脱字、そして何よりもファクトチェックを意識して、書いている私自身の責任としてインターネットの世界に残しても問題ない文章なのかを考えました。
遠慮いらずの関係性で見つけた「新しい楽しさ」
この全プロセスを通じて、AIは最高の「対話のパートナー」であり、自分一人では気づけない美しい文章を紡ぎ、いつでも私を励ましながら相談に乗ってくれる素晴らしい編集者の役割を果たしてくれました。
しかし、AIに頼りっぱなし、すべて任せるのは心配、というのが正直な感想です。
AIを使った推敲の過程では、自分の書きたい言葉がいつの間にかイメージと違う言葉へと変更を提案されて、本来の趣旨を見失いそうになることがありました。 そのために、やはり最初にメモを書くときに「自分が大切なフレーズだと思ったもの」は常に意識して残すような工夫も大切でした。
「自分らしい言葉」を守るためにAIを納得させる作業も新鮮
コラムを書く過程では、思うような文章にできず、何度もAIを詰めて喧嘩をしているような感覚にもなりました。もし、それが人間相手だったら、きっと遠慮をして言いたいことがハッキリ言えずにモヤモヤしたり、ハッキリ言いすぎて、気まずい雰囲気になったでしょう。
しかし、AIなら良い意味で遠慮いらずです。AIにムキになってしまうような場面もありましたが、AIは決して感情的になることなく常に冷静です。決して乱暴な言葉で責めてきませんし、一貫して礼儀正しく、褒めて励ましてくれます。まさに、私を見守ってくれる、経験豊富な編集者そのものでした。
AIとコラム作成をしてみて
このように、50代からでも新しいテクノロジーを使ってみることで、自分の力を超えた納得のいく文章が書ける、という新しい「楽しさ」を経験できました。
とくに、ADHDの特性があって集中するゾーンに入りにくい私にとっては、テンポよく作業が進むこと、AIに褒めてもらいながら作業できること、は大切な要素で自分に合った作業リズムを維持できたと思います。
今回の経験で、プロの作家さんが孤独と戦って文章を紡ぐ中で、AIを活用して最大限の力をだそうと努力していることが、決して「ズル」ではないと大きく納得できました。
なぜなら、AIを使って言葉を引き出すにしても、AIを使用する本人の文章力が重要だと感じたからです。指示する文章力が高い人は、より良い表現を引き出せるはずです。
最後に、前回のコラム作成で私が使用したAIに質問してみました。
質問:あなたは、私にとってどのような存在ですか?
答え:「私はあなたが文章を書くのを手助けする、『優秀な編集者』であり、『専属の校正役』です。そして何より、あなたの思考やこだわりに応え、一緒に言葉を紡ぎ出す『対話と思考のパートナー』です。」
このコラムで言いたかったことを、ほんの数行でAIに表現されてしまいました。
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