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2024/4/10:フリーペーパーvol.97発刊!

線引きの難しい「イートイン脱税」に苦悩する小売店

店内飲食の軽減税率適用外に戸惑う小売店、消費者

今年10月から始まった消費増税に伴い、小売店では現在、複数の税率が混在している状況にあります。

消費税は基本的に10%が適用されることになりますが、食料品を扱うスーパーなどでは多くの食料品・飲料水などに「軽減税率」が適用され、税率は8%に据え置かれます。

軽減税率とは「酒類・外食を除く飲食料品、週2回以上発行される新聞」などの商品を対象に、低所得者対策を目的として、一部品目への税率を標準税率10%から軽減した8%に据え置くというものです。

軽減税率

近ごろのコンビニやスーパーには、購入した商品を店内で飲食するための「イートイン」というスペースが増えています。購入して持ち帰れば消費税8%が適用される商品でも、イートインなど店内で飲食した場合は10%の税率が課されることになります。

しかし、レジ精算時に店内飲食無申告のため、税率8%で清算した商品を店内で飲食する買い物客も存在し、その差2%の「脱税」になっているとして「イートイン脱税」という言葉も生まれました。

普及しない「申告」

買い物客によるイートインの利用は、消費税率引き上げの前から普及しているものです。

しかし、増税と軽減税率制度の実施により、小売店は複数の税率が混在する状況にあります。軽減税率の適用を規定する厳密な基準については、多くの小売店で現在でも的確な回答を出せずにいる状況です。

たとえば、持ち帰るつもりで無申告のまま8%で清算した商品を、結果的にイートインで食べたからといって10%で精算し直すというのは、現実的には難しい判断です。

敷地が広く基準の分かりにくいショッピングモール

コンビニだけでなく、大型のスーパーやショッピングモールなどでは、明確に区分けされたイートインスペースのほかに、広い通路に据えられた休憩用の大きなソファーなど、飲食できるスペースが散見されます。

外食扱いとなり軽減税率の適用されないフードコートの席も、食料品売場で購入したペットボトル飲料や小さなおにぎりなどの飲食を禁じているわけではありません。

店舗外ですら、壁沿いに設置されたベンチなど、食事できる環境は整っています。

会計後、すぐ食べたくなっても我慢?

レジでお金を払うまでは自宅に持ち帰ろうと思っていたものの、「やっぱり今そこのイートインで食べたくなった…」と気持ちが変わったら、どうすればいいのでしょう?

軽減コールセンター

店内で食べてしまうと消費税10%だから、8%しか払ってない以上、我慢しなければいけないのでしょうか?

どうしてもイートインで飲べたいのなら、一旦商品をレジまで持って行き、もう一度10%で会計し直してからでなければ、飲食できないのでしょうか?

法律どおり手順を踏むなら、そういうことになるのかもしれません。その点についてどうなるのか、国税庁が設置している「軽減コールセンター(消費税軽減税率電話相談センター)」に、電話で問い合わせてみました。

会計時の本人の意思

レジで精算を済ませるまでは持ち帰るつもりだった飲食物を、精算後に気が変わって「やっぱり店内ですぐ食べたい」と思った場合どうすればいいのか?

コールセンターの回答は、税率の適用は「精算時」の本人の意志で決まるということでした。8%で精算の終わった商品を、後にイートインですぐ食べたくなったからといって10%で精算し直すようなことはない、という理由は、精算時には持ち帰る意思があったから、ということです。

精算のやり直しについては逆の場合も同様で、店内で飲食するつもりで申告し、10%の税率で精算を済ませた商品を、直後に緊急の用事で呼び出されるなどの理由で、食べる前に自分が店を出なくてはならなくなったとしても、8%の税率で精算し直すようなことはない、とのことです。

ただし、「本来なら10%の税率を、店内飲食したのに8%で済ませてしまうようなことが頻繁な場合、店の方で考えるだろうと思います」との結論を、コールセンターの回答として得ることができました。

国税庁 軽減コールセンター(消費税軽減税率電話相談センター)
【電話番号】フリーダイヤル(無料)
0120−205−553

イートイン脱税

気軽にフラリと店を訪れ、行き当たりばったりの買い物をするという楽しみが奪われる「事前申告制度」。

休日の朝、多忙な毎日から解放され、コンビニに寄り、飲食するものを適当に選びながら、「これは持ち帰り、これは10%だけどイートインでいいかな… 」などと、わざわざ考えながら商品を選ばなければならないことになります。

もちろん、税率の変動はルールだから当然で、ルールである以上、消費者は対応しなければなりません。

店側の対策

店内飲食の申告を普及させるため、小売店では新しい動きが広まり始めています。

コンビニエンスストアの一部では、持ち帰りと店内飲食による税率の違いを、店内放送で繰り返し案内することを決めています。新税率の導入から1ヶ月が経過し、ポスターによる周知では十分な対策にならなかったとのことです。

大型デパートでは、フロアの広さから本人の意図しない店内飲食につながることも予想されます。そのため、あらかじめ休憩所のソファーを部分的に撤去するデパートも現れました。

高齢の方々が憩いの場として利用することの多いデパ地下では、休憩するスペースが減ったとして一部の買い物客から苦情が増加しているとの報告があります。

本来の税率で消費する買い物客が多数を占めるはずですから、不公平を無くすためにも申告の徹底はされるべきです。

軽減税率の本来の目的

そして、数字上のルールを守ると同時に、すべての立場にある国民が考えなくてはならないことが「そもそも何のために軽減税率というルールを作ったのか?」という点です。

軽減する理由

軽減税率の本来の目的は、低所得者でも同じように消費しなければならない飲食品などへの消費税率を据え置くことで、増税による消費の落ち込みを避け税収の安定を維持し、国民の安心できる生活環境を提供し続けることにあるはずです。

しかし軽減税率の適用に関する新しいルールによると、1人わずか数百円の出費で収まる「ファミレスのランチ」でさえ、外食だから10%が適用されるし、100gで1万円もするような通販のお取り寄せ高級和牛であっても、自宅で消費するなら8%で済むわけです。

食品以外にも、頻繁に車を利用するならガソリン代を月に数万円負担しなければなりません。そこから計算される10%の金額は、多くの消費者にとってまとまった負担になるはずです。

改善は拒まれない

「イートインだから外食だから10%適用」という基準が混乱をもたらす原因で、仮に「変更すべき」との新たな判断が下されるなら、それが状況の改善になるなら、ぜひそうすべきだろうと思います。

だって、ほとんどの国民がこの基準を良いなんて思ってないでしょう?

同じ商品を同じ場所で同じタイミングで買ったのに「持ち帰ったか、店内のベンチで食べたか」という条件だけで代金が変わってしまうような現在の状況は、できることなら改善すべきだろうと思います。

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