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2024/12/10:フリーペーパーvol.105発刊!

「サボりじゃないのに」朝が起きられない!起立性調節障害とは。

朝、具合が悪いために起きることが出来ない……。
このような症状を訴えるのは、小学校高学年から中学生の思春期前後の子どもに多く、小児科などを繰り返し受診する。
しかし、一般的な診察や血液検査では該当する異常を認められない場合、多くは起立性調節障害(OD)と診断されるそうだ。

今月25日には、青森県で中学校2年の女子生徒が列車にはねられ死亡する事件が起きた。遺書によると、彼女もまた起立性調節障害だったと言われている。

起立性調節障害(OD)とは、どのような障害なのか?

急激な体の成長に伴い循環器系の自律神経が不安定になる思春期に多い病気で、不登校の児童生徒の約4割、軽症を含めれば中学生全体の約1割が該当するとの研究結果もある。重症だと登校できず、寝たきりの状態になることもあるが、治療法は十分に定まってはいない。

という厄介な病気だ。

起立性調節障害を持つ子供は、朝に弱く、すぐに起きることが出来ない。
そうして1日の中でも身体の不調に悩まされるが、夕方になってくると元気になり、逆に夜には寝付くことがなかなか出来ないのだ。
それ故に、親や友人たちからは「サボっているんじゃないのか」と思われてしまうこともある。

この病の苦しみの1つとして、進学が難しくなることが挙げられる。

東京都国立市の法政大2年、片岡優さん(22)は、中学2年の冬から、症状が出始めた。

風邪やインフルエンザに立て続けにかかり、体重が10キロほど減ってしまったのをきっかけに、朝起きられなくなった。早寝をしても改善せず、テストがあっても1時間目に遅刻した。何とか卒業し、自宅から自転車で30分ほどで通える都立高に進学したが、症状はひどくなった。

 毎日吐き気や頭痛、立ちくらみがして、遅刻だけでなく休む日も増えた。夕方になると調子が良くなるため、自分でも「心のどこかで学校を嫌がっているのかも」と悩んだ。

それでも、医療機関で起立性調節障害だと診断されると、担任からの理解も得られ、同級生にも説明をしてくれたそうである。
そうして、なんとか卒業に漕ぎ付けるが、やはり現役での大学進学は難しかった。

浪人1年目は「受けられただけでもよかった」。それでも進学を諦めず、床に座り込んで勉強を続けた。椅子に座ると、重力で足に集まった血液がうまく心臓に循環されず、貧血状態になって気分が悪くなるからだ。

 受験の日。大学側に事情を話すと、足に血液が集まらないよう腰の高さに足を置くためのソファを用意してくれた。合格を両親は「信じられない」と喜んでくれた。

都内に住む大学1年生の女性(20)も、起立性調節障害で進学に苦労している。

 診断されたのは中学3年の時。突然めまいで立つことも難しくなり、一時入院して車椅子で生活した。大学病院で検査を受けると、心臓が小さく脈拍が1分間に約130回と異常に速いことが分かった。「頻脈」はこの病気に多い症状だ。

 「食事すると、腸に血液が集中して頭から血の気が引き、めまいや吐き気がする。椅子に座ってもボーッとして集中できなかった」。中高一貫校に通っていたが、出席日数の不足で高校を1回留年した後に退学。それでも栄養士になる夢をかなえるため、高校卒業程度認定試験を受けて合格した。朝が心配で、試験前日は会場近くのホテルに泊まった。

その後は、症状悪化のために大学受験をすることが出来ない年が続き、2016年、ようやく挑戦をすることが出来た。

「受験するだけでも自信につながる」と臨んだところ無事合格。通学に不安もあったが「大学中退でもいいから頑張ってみては」と両親に励まされ、入学を決めた。

以上のように起立性調節障害は、若年層に多いが故に、進学以外にも就職などといったライフイベントにおける問題を生むことが多々ある。
立ちくらみや眩暈、頭痛や湿疹、疲労感など、多岐にわたる症状が、当たり前の日常生活を送ることを困難にするのだ。

しかし、最初に書いたように、治療法は十分に定まっていない。

それでも今、この病気を全国の医療機関で診断出来るよう、研究を進めているグループが存在する。
東京医科大の呉宗憲(ごそうけん)助教(小児科)らのグループだ。大阪医科大や久留米大の専門医らと一緒に、今年度からの3年計画で研究を進めている。

今年度は東京、大阪などで計約1000人の一般の中学生に、立ちくらみなど循環器の症状や痛み、睡眠、疲労感などについてアンケートを実施。来年度からはこれを基に問診表を作り、患者の脳血流や唾液成分などの臨床データを考慮して問診結果を点数化できるようにする。これまで4分類だった病態を痛みや睡眠など違った視点も加えてさらに細かくし、重症度も判定する指標にすることを目指すという。

 呉助教は「詳細な診断ができる問診表があれば、小児科以外も含めた全国の医療機関で患者それぞれの病態に合わせた投薬などができる。全国的に関心が集まって研究が進み、効率的な治療法の開発に結びつく可能性もある」と期待する。

このような研究が進むことで、救われる子供は多くいるだろう。
そうして、病気によって、これから歩む人生の邪魔をされることがなくなり、明るい未来を見ることが出来る若者が増えていくことを望む。

http://mainichi.jp/articles/20160817/ddm/016/040/003000c

via:毎日新聞



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