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2024/12/10:フリーペーパーvol.105発刊!

「抱き上げ介護」の呪縛から逃れられない日本の介護職を考える

介護職は腰痛を発症しやすい。web上には悲鳴に近い投稿が日々上げ続けられている。

だからこそ、介護職は定期検査として腰の健康状態をチェックするという常識があるのだ。

https://twitter.com/ellevielm/status/577979301984780288

高齢化が進む日本で、これからますます必要とされてくる介護の現場。そこで働く介護職は「腰痛」から永遠に逃れられないのだろうか?

福祉の元締めである厚生労働省は2013年に「職場における腰痛予防対策指針」を改訂している。2013年改訂の大きなポイントは腰痛患者が増加の一途を辿る福祉施設や医療機関、訪問介護・看護と適用範囲を広げた上で、原則として「抱き上げ介護」(人力による利用者や患者の抱き上げ)を行わないように求めるものだった。しかし、この指針に強制力はなく罰則規定も設けられていない。

この曖昧な改訂から3年経つ2016年、web上の介護職の悲鳴はいまだに止まない。

腰痛による離職は、さらなる悲劇の原因にもなるのだ。

腰痛の原因は「抱き上げ介護」だという明らかな事実が日本の福祉現場には存在している。では、この「抱き上げ介護」は世界共通のものなのだろうか?

実は、介護・福祉関係の先進国とされている国々では抱き上げ介護を行ってる国はないそうだ。外国では抱き上げ介護は「人材の消耗」と「介護を受ける方への虐待」という認識が当たり前ですらある。

だからこ、移乗用リフトなどの機器による移乗が当たり前になっている。

それに比べ、日本では介護職に入職すると「人力による移乗の技」を伝授されるという。

変わろうとしない、その頑固さに閉口する。

日本人の価値観を介護の現場に持ち込むと、抱き上げ介護は身体のぬくもりが伝わるから介護らしいから「福祉らしい」となり、移乗用リフトを使うと機械的で冷たいといから「福祉的でない」という考えが先行してしまっているのではないだろうか。

結果として多くの介護職が腰痛に苦しみ、悪化した場合は離職により失業状態へ…という、悲しいスパイラルに陥ってしまう。

次に、抱き上げ介護は「虐待」だということついて考えてみたい。

多くの場合、介護を受ける側の腋下に手を入れて抱き上げ介護は行われる。
この腋下は体の部位の中で皮膚が弱い部分であり、手や衣服での摩擦で皮膚が傷ついてしまうのだ。

さらに、人力である以上100%の安全性は担保できない。
抱き上げられている最中に、介護職が激しい腰痛に襲われたら…と恐怖してしまうのは人として当たり前であろう。

このように、身体的・精神的虐待につながることは明らかだ。

これからも増え続ける介護の現場。
介護は誰もが現実に直面する大きな問題だ。

介護を提供する「人」というリソースは少子高齢化社会において、希少なものになっていく。

人は消耗品ではない。

想いを持って介護職についた人材を本当は避けられる「腰痛」というトラブルでリタイアさせてはならないし、介護される側の気持ちにたっても、身体的苦痛や精神的恐怖心を与えてはならない。

日常的に介護職の健康を削る業務を、「冷静考えて」機械化することで介護職が健康状態を保ちながら、長い年数にわたり仕事を続けられることになる。また、移乗の際も言葉を交わすことが可能になり、結果として介護を受ける側の満足度も高まる。

日本の福祉の現場は、何を優先していくべきかを価値観ではなく、現実的な観点からも考えることが必要なのではないだろうか。

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