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2024/7/10:フリーペーパーvol.100発刊!

脳死臓器提供とドナーカードについて、もう一度考えよう

脳死臓器提供と臓器提供意思表示カード(ドナーカード)について、もう一度考えてみよう

生と死はいつも紙一重。夕方テレビで放送される交通事故のニュースを他人事のように見ている私も、どんな偶然のかみ合わせで事故に遭い、生死をさまよう状態になるか脳死になるのか、分かりません。運転に自信のあるドライバーも、その健康な身体が今から30分後には脳死患者として臓器移植の対象になっているのかもしれません。未来は予測できません。まずは健康な身体を安全に保つため注意を払い事故を防ぐのは当然ですが、もし自分が脳死状態になってしまったら臓器をどのように扱ってもらうか、臓器提供意思表示カード(ドナーカード)の内容なども参考にしながら考えてみましょう。

もし脳死になったら

自分が脳死状態になって、臓器を摘出される姿を想像するのは怖いことです。死にたくないし臓器提供などしないで先の未来を生きたいのです。その気持ちを認めて、もし自分がドナーになったらどのような手順を踏むのか知っておきましょう。

意思表示の方法

病院に搬送されると、まず最善の治療が施されます。それでも回復の見込みがない状態になったら、医師が家族に病状の説明をし、臓器提供するかしないか意思確認をすることがあります。家族が本人の意思表示カード、または運転免許証裏面の意思表示欄を医師に提示することでも意思を示すことができます。

臓器提供の流れ

一連の流れをご紹介します。

1.病院に入院
2.医師からの選択肢提示または家族からの申し出
3.臓器移植コーディネーターからの説明
4.家族の意思決定
5.脳死判定(脳死後の提供のみ)
6.移植を受ける患者の選択
7.臓器の摘出手術
8.身体のお戻し

以上となります。

意思表示の流れ

意思表示に年齢の上限はなく、薬を服用されている方など、どなたでも表示できます。本人の意思決定が重要な理由は、家族が意思決定する際の迷いや負担を減らす助けとなるからです。提供しない意思を示した場合は、家族の決定に関係なく提供されることはありません。病院での摘出手術が終わると、摘出後の身体は家族のもとに戻ります。傷口はきれいに縫い合わされ、外見から分からない状態にします。

臓器提供意思表示カードの内容

臓器提供意思表示カードはドナーカードとも呼ばれます。お持ちの運転免許証の裏面にも表示欄があることでも知られています。

いつでも変更!

ドナーカードを作成したり免許証の裏面に記入している方もいれば、未作成または未記入の人もいます。いったん記入してしまうと後戻りできないような強迫観念におそわれる方もいるかもしれませんが、意思表示の内容は何度でも訂正が可能です。

親族優先

親族に優先して提供を希望する「親族優先」をご存知でしょうか。親族優先には3つの要件を満たさなければなりません。

1.本人(15歳)が臓器を提供する意思表示に併せて、親族への優先提供の意思を書面により表示している。
2.臓器提供の際、親族が移植希望登録をしている。
3.医学的な条件(適合条件)を満たしている。

その他の留意事項としては、親族提供を目的とした自殺を防ぐため、自殺した方からの親族への優先提供は行われません。さらに、◯◯さんだけにしか提供したくないと限定意思表示があった場合に、指定された方以外は親族を含め臓器提供されません。

臓器提供意思表示を前提とした生き方

死について考えることを、日本人は従来あまり好まない文化にあったと思います。しかし近年、死は生命の最後のイベントとして、真剣に前向きに語られる機会が増えてきたのではないでしょうか。

より良く生きるための臓器提供意思表示

命がある以上、よりよく死ぬために誰もが絶対に迎える死について語り合うのは大切なことです。その中でも、特に仏教の影響が強い日本人にとって脳死による臓器提供は難しい問題といえるでしょう。宗教観も関わるし、個人の意見によって大きく意見の分かれるテーマだからです。20歳を迎えれば自由に自分で決められる意思表示であっても、その決定が家族に反対されることもあるでしょう。

命を振り返るためのカード

内容がどうであれ「意思を示す」ことが大切なのではないでしょうか。ドナーカードを目の前にして、臓器提供することが善であるような感覚に陥りがちですが、そうではありません。あたりまえですが、「私は、臓器を提供しません」という表示も貴重な意思表示です。

12月は師走とも呼ばれ、注意を怠れば交通事故の多い季節です。そんなとき、「自分は命を抱えながら生きている」という感覚を教えてくれる臓器移植の問題を心の片隅に置いておくだけでも、自分と大切な家族のために自分の命を大切に守らなければならないと思い返すことができるでしょう。

イライラした気持ちの一瞬の暴走なんかで、自分と家族の幸せな未来を不意にしてしまわないよう、忙しい年末を乗り切っていきましょう。

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