副作用はゼロではない、対処方法などを事前に理解しておく
前編では「ステラーラ」の投与方法や治療のメカニズムについて紹介しました。後編では、事前に理解しておきたい「副作用」と「注意すべきこと」について紹介していきます。
治療を受けるか否かの判断を行う前に、投与によって生じ得るリスクについて、しっかり理解し納得しておくと良いでしょう。
ざっくり
ステラーラの副作用
ほかの生物学的製剤(レミケード、ヒュミラ等)に比べ、副作用があらわれにくいと考えられていますが、もちろん副作用のあらわれる可能性がゼロだというわけではありません。
主な副作用
・風邪症状
ノドの痛み、咳が出る、ゾクゾク寒気がする、頭痛、発熱、など
・アレルギー症状
発疹(じんましん等)、かゆみ、など
・全身症状
倦怠感(体がだるい)、疲れやすい、など
注意すべきその他の副作用
・アナフィラキシーショック
かゆみ、じんましんなどのアレルギー症状と似た症状、声のかすれ、くしゃみ、ノドのかゆみ、息苦しさ、心臓の動きが普段より早く感じる、意識が薄れてくる。
(※これらの症状は投与後30分以内に起こります)
・結核の再燃、重い感染症
過去に治療したことのある結核が再び悪化する(発熱、咳が続くなど)、肺炎などの重い感染症の発症 。
・ウイルス性肝炎
過去にB型肝炎にかかったことがあると、再び肝炎の症状があらわれることがある。
(※投与前に検査をすることで、過去の感染状況と現在の感染状況を把握し治療に役立てていきます)
・間質性肺炎
発熱、咳、息苦しさ、倦怠感、などの症状がある 。
・悪性腫瘍(がん)
投与後に皮膚や皮膚以外の悪性腫瘍が発症する。
(※ステラーラが原因であるかは明らかになっていませんが、投与後に発症したという報告があります)
副作用に対する対処方法
息苦しさ、咳、発熱、などの症状
重い感染症にかかっていないかどうかを判断し、治療が必要な感染症の場合は、ステラーラの投与を一時的に中止し、感染症の治療に専念する。
アナフィラキシーショック
ステラーラを投与後30分以内に起こることが多いので、息苦しさやショック症状が出た時は、病院内にいる場合はすぐに医師や看護師を呼び、病院外にいる場合は躊躇せずに救急車を呼び医療機関を受診すること。
(※ステラーラを投与している病院と異なる医療機関を受診する時は、ステラーラ治療を受けていることと、服用している薬についても伝えましょう。)
ちょっとでも身体に異常を感じたら主治医へ連絡を
上記に挙げたような、副作用と思われる症状があらわれたり、体調に異常を感じた時は、必ず主治医に連絡・相談をしましょう。「時間が経てば落ち着くだろう」「ただの風邪だろう」などと自己判断することは危険な場合もあります。
私の場合、アナフィラキシーショックなどの大きな副作用はなかったものの、初回投与後しばらくしてから倦怠感や疲労感があらわれました。長期入院から退院したばかりだったこともあり、「入院生活からの切り替えが上手くできていないのだろう」と特に気にしていなかったのですが、次第に日常生活にも支障をきたす様になったため主治医に相談しました。経過観察となりましたが、今では体が薬に慣れてきたのか、初回投与後に感じていた倦怠感や疲労感はなくなりました。
一時消化不良を起こして入院してましたが、元気に家に帰ってきました\(^o^)/
ステラーラ2回目も打って、今のところ副作用もなくいい感じですヒュミラやレミケで副作用が出た身としては、新薬が本当にありがたい…😢🙏🏻✨
暑くなってきたから脱水に気をつけないとですね…!— もぐ@クローン病 (@mogumogucs) 2018年7月12日
少しの息苦しさは感じたものの、特に大きな副作用もなくステラーラ投与完了しました、、#クローン病
— いか@クローン病 (@_iiika_) 2018年9月7日
治療中に注意したいこと
ステラーラを投与することで体の免疫力は低下し、病原菌と闘う力が弱まっている状態にあります。風邪やインフルエンザなどの感染症が重症化することもあるので、普段から十分に注意しておきましょう。
感染症対策をしっかり!
・風邪やインフルエンザなどの感染症を予防するために、外出先から戻ったら、うがい、手洗いを行う
・流行期の前にインフルエンザワクチンを接種する
(※接種については主治医に相談しましょう)
生ワクチンの接種は避ける!
・BCG、麻疹、風疹、おたふくかぜ、水疱瘡、などの生ワクチンの接種は避ける
(※免疫力が低下しているため、感染症が発症するおそれがあります)
その他に注意すること!
・ステラーラ注射の当日は注射部位への刺激を避ける
(※入浴は可能ですが、タオルでこするなどの過剰な刺激は避けましょう)
・海外旅行に行く際は、生水は飲まない、マラリアなどの感染が流行している地域は避ける、などの衛生管理や感染予防を怠らないこと
・妊娠を希望している場合は、必ず主治医に相談すること
・タバコは控える
ステラーラ治療を始めて
私はレミケード、ヒュミラともに効果が弱く、主治医とすがる思いでステラーラ治療に踏み切りました。
実際使用してみての感想
あくまでも個人的な感想になりますが、クローン病の発病から15年間、四六時中あった強い腹痛が明らかに弱くなったのを実感しています。腹痛がなくなったわけではありませんが、ベッドに横たわっている時間も減り、ストレスも軽減し、結果的に生活の質は良くなったと思います。毎月の採血検査でも、白血球や炎症反応の数値が低くなりました。
また、栄養吸収力が良くなったことで、以前と食事量が変わらなくても体重が数キロ増えました。喜ばしいことなのですが、これまでの服が着れなくなったりと困惑することも。
直腸周囲膿瘍で再入院
しかしながら、ステラーラ投与でクローン病の悪化や合併症などを必ずしも抑えられるわけではありません。実際、私は半年前に治療した直腸周囲膿瘍が、ステラーラ投与開始後にも再燃し再入院しました。これには、大きな期待を込めて投与を決断した主治医の先生もショックを受けていました。毎月行う採血検査の結果も良い数値が出ていたので、膿瘍が再燃するとは考えていなかったようです。
「投与後にどのような変化が起こり、どの程度症状を抑え込めるのか?」という点については、使用者の数もまだ多くなく、投与後の情報(データ)が不足しているのが現状のようです。
そして来月からステラーラ始めます。
レミケもヒュミラも副作用でだめだったので、新しい試み!新薬を開発してくれる方々、本当にありがとうございます。クローン病は治らないけど、もっと元気で過ごせるかもって思うと本当に希望になります😂😂
— もぐ@クローン病 (@mogumogucs) 2018年4月21日
患者の希望の星「Stellar」となれるように
ステラーラはこれまでの薬剤と同様、クローン病を完治する薬剤ではありません。それでも、これまでの治療では症状を抑えられず、つらい思いをしながら日々を送っている患者にとって「救世主」のような存在と言えるでしょう。
ステラーラという名前は、「患者の希望の星(stellar)となれるように」という願いを込めて付けられたそうです。まだ認知度は高くありませんが、これからのクローン病治療が大きく変わるかもしれません。
日進月歩、クローン病治療の研究は着実に前に進んでいます。
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