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2018.7.10:フリーペーパーVol.28発刊!

ラグーナ出版に学ぶ障がい者雇用を成功させる3つのポイント

ラグーナ出版に学ぶ障がい者雇用を成功させる3つのポイント

Hifumiyo timesの編集部から、鹿児島市で障害者雇用に高い実績のある「ラグーナ出版」という会社様を紹介していただきました。

具体的には、ラグーナ出版には次のような実績があるということです。

・多数の精神障害者を雇用している
・A型就労支援事業所として10年以上の実績がある
・著作やテレビなどのメディアで紹介されるなど客観的な評価が高い
・利用して業務に就く利用者からも感謝の声が届いている、なかなか辞めない

ラグーナ出版はなぜ、このような素晴らしい成功を長期にわたり続けることができているのでしょうか?

私なりに分析をした結果に基づき、成功の背景にある3つの理由をご説明したいと思います。

力強い「志」が経営の土台になっている

第1の理由は、「志」があるということです。

目的意識

ラグーナ出版という会社が設立された背景には、代表者の方の熱い想いや明確な目的意識があります。

もともと代表者の方は鹿児島市の精神病院に勤務されていて、そこで医師や看護師、患者さんとともに、「シナプスの笑い」という文芸誌を刊行したのが活動の始まりでした。

文芸作品を通じて、精神障害者のことや、精神科医療に関すること、そして、どのように精神の病気と向き合っていくべきなのかなどを世の中に伝えていく活動を行い、そこに徐々に賛同者が集まり、2008年にラグーナ出版の設立につながったということです。

ビジネスへの志

ラグーナ出版は、ホームページにも書かれているよう、「精神障がいを抱えた方々が、社会に温かく支えられ、少しでも暮らしやすく、ともに成長できる社会を作ることを使命とし、これからも様々な活動を推進してゆく所存です」と、明確な「志」を持って事業を運営されています。世の中には、「お金儲け」を第一目的として障害者ビジネスを行い、国の補助金制度が変わったりすると、利用者そっちのけで撤退するといったような無責任な会社も残念ながら存在しているようです。

しかし、ラグーナ出版は、そのような「お金儲け主義」から一線を画し、志を持って誠実にビジネスを行ってきたからこそ、10年間継続し、利用者や支援者含め、多くの人に支持をされているのだと思います。

精神障害者の方の支援に特化

第2の理由は、「的を絞っている」ということです。

事業の特化

ラグーナ出版では、精神障害者の方の受け入れと社会復帰支援に事業の的を絞っています。

障害者といっても、精神障害者の方だけでなく、身体障害者の方、知的障害者の方、そして広い意味では難病の方なども含め、様々な形の障害を持った方がいらっしゃいます。

もちろん、あらゆる種類の障害を持った方の支援をすることができれば、それは本当に素晴らしいことだと思います。

しかしながら、障害の種類によって、「個性」も様々ですので、現実的には多種多様な障害を持った方を1つの施設に同時に受け入れることは、支援員の方の負担や、事業運営の安全面を踏まえても非常に難しいところです。

専門性

そこで、代表者の方の深い見識がある精神障害者の方に支援を絞り、日常生活の自立訓練から就労支援まで、精神障害者の方のあらゆるフェーズを一気通貫して支援するという方向性を打ち出すことで、専門性および質の高い障害者支援サービスを実現できていることも成功の要因であると考えられます。

事業として成立するビジネスモデルの構築

第3の理由は、事業として成立する「ビジネスモデル」を構築していることです。

ビジネスモデル

障害者の方に就職の場や職業訓練の場を提供するにあたり、下請け的な単純作業の受託ばかりになってしまうと、障害者の方に充分な賃金を支払うことができず、あるいは、国の補助金頼みにならざるを得ません。

そこで、ラグーナ出版では本の企画・編集から、営業、事務までを自社でしっかりと行い、また、本のオンラインショップの開設や、本を作りたい方への共同出版、自費出版の提案なども行っています。

それだけでなく、自社の設備を生かした印刷業や名刺の作成代行など、関連事業への積極的に進出しています。

自立のための就労

障がい者支援施設での就労というと「福祉的な就労」のイメージが強いと思うのですが、ラグーナ出版では、ビジネスとして成立する事業を積極的に立ち上げ、「自立のための就労」を実現しているからこそ、そこに力強いエネルギーが生まれているのではないでしょうか。

まとめ

ラグーナ出版の成功は、障害者の方の個性を踏まえながら、事業性の高いビジネスモデルを構築することにより、障害者の方が福祉の対象でなく、自立を支援していくためのひとつのモデルケースと言うことができるでしょう。

そして、本稿で説明させて頂いた、ラグーナ出版の成功の背景にある3つのポイントは、身体障害者の方や知的障害者の方、そして難病の方が自立するためのビジネスモデルを考案する際のフレームワークとしても応用することができると思います。

 

プロフィール

榊 裕葵(ポライト社会保険労務士法人代表)

大学卒業後、製造業の会社の海外事業室、経営企画室に約8年間勤務。その後、社会保険労務士として独立し、あおいヒューマンリソースコンサルティング代表に就任。勤務時代の経験も生かしながら、経営全般の分かる社労士として、顧問先の支援や執筆活動に従事している。

主な寄稿先:東洋経済、DODA、シェアーズ・カフェオンライン、創業手帳Webなど