2018.5.10:フリーペーパーVol.26発刊!

働き方改革と裁量労働制に被雇用者が準備すべきこと

現在、内閣で深く議論され、与党の政策として大きな位置を占めている「働き方改革」が、私たち労働者にどのような影響をもたらすのか、気になっている方は多いでしょう。

労働は、どのような形態であれ私たちすべての国民が生きていくための重要な要素です。
労働時間について議論されることの多い「働き方改革関連法案」においても、時間数だけが問題視されているわけではありません。

労働時間・日数と賃金額は、労働問題の中核をなすものです。
しかし、日夜さまざまな場面で労働に勤しむ人々が、心の満足も満たしながら働くため必要とするものは、何も労働時間数の削減だけではないでしょう。

雇用側の本音「好き放題人を使いたい」

今国会で取り上げられる予定の働き方改革改正法案は8つ。

雇用対策法、労働基準法、労働安全衛生法、じん肺法、労働時間等設定改善法、パートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法。

今回議論となっているのは、時間外労働の罰則付き上限規制、高度プロフェッショナル制度の導入、裁量労働制の拡大、同一労働同一賃金などです。

労働時間について、現在の法律では残業時間が1カ月あたり45時間までと制限されています。
改革が実現すれば、残業時間は年間360時間、臨時の場合には年間で720時間までとなる予定です。
しかし、これらの改革が、働き方を改革するものとなるのかについては、疑問が残ります。

裁量労働制の除外

裁量労働制を導入するためのデータに不適切な点があったとし、今国会への提出から裁量労働制は除外されることとなりました。

実際に働いた時間数に関係なく、あらかじめ決められた労働時間に基づいた賃金が支払われ、それより短くても長くても決められた時間分の賃金のみが支払われるものです。

しかし、労働時間が「あらかじめ」決められた時間で終了するのかについては保証があるわけでもなく、実際に取り組んでみると規定の時間ではとうてい完了できない内容の労働も多いでしょう。

スマホの使い放題に例えられるように、固定賃金でどれだけ長時間働かせても、追加の残業代を支払う必要はなくなります。

その点が不安視され議論の的となり、さらに、安倍首相が基準として使った根拠となるデータ自体に重大な疑義があるとして、野党が糾弾しています。

労働者が主役となる産業構造

裁量労働制が、仮にこのまま導入されないものとして、私たち労働者は今後どのように自己防衛していけばいいのでしょう。

これまでの日本の教育は、時間を守る、上司の指示を守る、決められた仕事を決められた時間で成し遂げる、などの受動的な勤勉さを育てるには相応しいものだったかもしれません。そのような習慣が、はたして仕事に関しても好ましいのか、状況によるでしょう。

被雇用者が今後持つべき考え方は、自分の労働環境を守るため主体的に雇用者と交渉する能力や、不当な条件を提示されても自分の権利を守るため、会社側の不適切な点を指摘し適切な手順を踏んで反論し、場合によっては適切な機関へ訴え自分を守ることのできる能力、などではないでしょうか。

一方、雇用者と被雇用者の双方が意識すべきこともあります。
それは、双方が労使関係にある中で、対等な権利を持つ関係でなければならないということです。この文化が日本の労使間に育たなければ、いつまでも強い雇用者と弱い労働者という構図は変わりません。

現在の主従関係のような労使間では、ブラック企業と過労死はいつまでも止みませんし、今後も続いていくことでしょう。

働き方改革に伴って議論されている裁量労働制が国会で議論されなくなったことに、選挙への影響が関係しているのかについても疑問です。

2月28日の夜、2018年度予算案が衆議院を通過しました。
現政権の看板でもある「生産性革命」「人づくり革命」の関連費用も盛り込まれています。

政府にとって、法人を優遇するメリットは大きいでしょう。
しかし、生産年齢人口が急激に減少していく現在、労働者に人間らしい雇用環境を提供することは、これからさらに必要とされる「生産効率」上昇のための、必須条件になっていくのではないでしょうか。