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2018.11.10:フリーペーパーVol.32発刊!

シンプルとはなにか?ミッフィーの生みの親、ディック・ブルーナの魅力

きっと誰もが知っている、白いうさぎのミッフィー
その顔はふたつの点と、ふたつの線を重ねたバッテンから出来ている。
シンプルを追求することで、見た人の心に焼きつく作品を生み出した、ディック・ブルーナ
その魅力を掘り下げてみた。

ミッフィーが生まれるまで

10年ほど前。
初めてディック・ブルーナの展覧会へ出掛けたわたしは、その製作方法を知り、とても感動した。
その過程はこうだ。

・まずは下絵。半透明のトレーシングペーパーに、ひたすらスケッチをしていく。
納得がいくまで、何度も何度も。同じものを100回以上描くこともあったという。

・絵が完成すると、下に水彩氏を置いて下絵を鉛筆でなぞる。
そうして生まれた凹みに沿って、黒のポスターカラーをつけた筆で線にしていく。
点と点をつなげるよう、ゆっくりと少しずつ。

・その原画を透明ファイルに焼き付け、色紙を切り抜いて色をつける。

そして絵は完成するのだが、ブルーナさんのデザインは徹底している。
絵本のサイズは15.5×15.5cmの正方形。
文章もご自身が考え、シンプルなフォントで1ページに4行と決めている。
色は初期のころは赤・黄・緑・青の4色だったが、その後ミッフィーの友達の子犬や象を描くために、茶とグレーが追加された。
ミッフィーたちは色で感情を伝える。
カラフルでいて、まとまりのあるこの色たちはブルーナ・カラーと呼ばれている。
どの人も楽しめるブルーナさんの絵本は、考え抜かれたデザイン集でもあるのだ。

洗練されたデザインは、とことんアナログでつくられている!

そして、ミッフィーと並ぶ代表作、ペーパーバック・シリーズ(ブラック・ベア)
その本の表紙も、ポスターもとても魅力的だ。
わたしは、表紙に載っているブラック・ベアのサインを見つけることも好きだ。
時に、キャラクターが持つ本のなかやネックレスのペンダントトップに、封筒に見立てたデザインのときは捺印のようにかすれさせて。
ブルーナさんの遊び心を感じる。
ペーパーバックのデザインだけで2000冊手掛けたというから、また驚く。
(さらに小説の内容はすべて読んでから、アイディアを練ったという!)
ちなみに、ポスターなどに登場する赤い目をした子ぐまは、紙をちぎって毛並を表しているそう。

シンプルの、その先にあるもの

なぜ、わたしは感動したのか。
これほどシンプルを追求したのなら、その工程ももっとシンプルにできるのでは、と思ったからだ。
ミッフィーの線をじっくりと見てほしい。
2018-1-26-1「わたしの線は、いつもすこし震えています。まるで心臓の鼓動のように。震える線はわたしの個性なのです。」

※画像・文章ともに「ディック・ブルーナのデザイン(新潮社)」より

その線はブルーナさんの息遣いを感じ、同じ線は二度と生まれることはない。

ブルーナさんが追及したことは、あくまでシンプルに伝えることで、その先にいる相手に対して誠実に向き合い続けたのだ。

2017年2月、ディック・ブルーナは亡くなった。
しかし、手掛けた作品が色あせることはない。
シンプルなデザインゆえ、世代を超えて時代がどう変わっても愛され続けるのだ。
おだやかな笑顔が似合うブルーナさん。
その作品はブルーナさんそのもので、これからもわたしたちに笑顔をくれるだろう。

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