2018.5.10:フリーペーパーVol.26発刊!

子どもの死因を検証する「チャイルド・デス・レビュー CDR 」が日本で実施

日本の乳児・新生児の死亡率は、先進国のなかでも低い水準にあります。
一方で、1〜4歳児の死亡率は先進国のなかでは高いものです。

しかし、その理由ははっきりと分かっていません。

厚生労働省は、2017年10月にプロジェクトチームを立ち上げました。
同省が取り組みはじめた新たな「子どもの死亡検証制度」を、チャイルド・デス・レビュー(CDR:Child Death Review)と呼びます。

CDRが明らかとするもの

小児の定義を18歳未満とした場合の、日本における小児の死亡統計に使用される情報の項目は32しかありません。この数字は、正確な死亡原因を明らかにするにはとうてい足りないものであり、CDR先進国の欧州で使用される1,700項目に遠く及びません。

日本でも2010年から、東京京都群馬北九州で小児の死亡原因についてのパイロットスタディが始まり、2011年には検証が行われました。その結果を5歳未満、5歳以上15歳未満の2グループに分けてデータ化すると、予防可能な死亡事例は全体の27.4%あることが判明したのです。

子どもの虐待防止、人権対策

2017年、第193回国会で「改正児童福祉法」が成立すると、同時に衆議院の附帯決議では「虐待死の防止に資するよう、あらゆる子どもの死亡事例について死因を究明するチャイルド・デス・レビュー制度の導入を検討すること」が採択されました。

全死亡原因のうち、虐待やネグレクトに関与するものは7.3%、原因と特定されるものでも3.0%にのぼっています。

死因を特定する意味

厚生労働省科学研究班は、「子どもの死亡予防のためのチャイルド・デス・レビュー創設のためのガイドライン」を作成しています。

2010〜2012年の研究をもとに発表された小林班の「我が国におけるチャイルド・デス・レビューに関する研究」によると、日本の子どもの死亡を減らすには医学的な側面だけでなく社会心理的な側面からの研究が不可欠であるとしています。しかしその実現は極めて困難であるとし、現在においてはCDRの有効性が唱えられているのです。

虐待や虐待による幼い死がニュースとして多く取りあげられ、今も止む気配は見えません。
さらに、虐待として明らかにならない、証拠の伴わない疑わしき不詳死事例も依然、記録され続けています。

家庭内という社会から隔離された空間で進行していく虐待は、死という取り返しのつかない結末に至ってようやく知られるケースが多いのです。

CDRにより子どもの死を検証することで、虐待を未然に防いだり進行中の虐待をやめさせたりするヒントが見えてくるかもしれません。漠然とやみくもに悲しむだけでは同じ悲しみを繰り返すだけなのです。

子どもの死をデータとして調査することで、CDRが今後、子どもの人権を守る有効な手段として成長することを期待しましょう。