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2018.8.10:フリーペーパーVol.29発刊!

大手ネット通販に地方実店舗が勝つための小さな方法

インターネット環境が家庭向けに一般的なサービスとして定着し始めたのが、1995 年の Windows95 の発売あたり。今から 23 年前のことでした。

それから前後数年のズレはあるものの、ブロードバンドやインターネットの定額使用が普及すると、通信販売のなかでも全ての取引をインターネットで行う「ネット通販」が隆盛を極めてきました。

世界的に有名な Amazon が、アメリカで設立したのが1994年のこと。
日本法人の設立が1998年
日本発で国内最大級のシェアを誇る楽天の設立は1997年でした。

それから約20年が経過し、わたしたちは今、多くの買い物をネット通販に頼っています。
その後、その利便性から受ける恩恵や、影に隠れて見えなくなっている負の側面も浮かび上がってきました。

配送インフラの整備とネット通販利用者の増加

通信販売という業態は、昔からありました。
古くは新聞や雑誌の広告からはがきで注文して到着を待つものに始まり、テレビで商品説明を行うと同時にリアルタイムで電話注文を受けるテレビショッピングなど。

テレビショッピングは今でも人気で、深夜のテレビで絶え間なく放送されています。
ジャパネットタカタに、ショップジャパンなど。

インターネットの普及により、その後は Amazon や楽天などのネット通販が、一般的な実店舗における市場価格を考慮した安値で対抗し、実店舗を脅かす存在となっていきました。

Amazon なら、当時千葉の市川に大規模な倉庫を構え、コストを抑えた一括管理で全国に商品を配送していました。Amazon ジャパンはその後、配送拠点を増やし、受注から配送までの時間短縮に取り組むことで利用者の満足度を高めています。

市場の捉え方の変化

ネット通販には、全国どこに住んでいても同じ商品が買えるというメリットがあります。
購入した商品が地元の店にない場合も、実店舗で購入しようとしても本来は買えない商品だったとしても、今ならネット通販を利用することで購入できます。

それは、裏を返して言えば、地元の実店舗で売れるはずだった商品の売れる機会が一つ分、減ったということです。

かつてはPCや電化製品、書籍などが中心だったネット通販は、生鮮食料品まで扱うようになりました。各地方のスーパーマーケットでも、買い物の時間に追われる共働き世帯や、店舗への移動手段に困っている高齢者などを主な対象として、肉、魚、野菜と、新鮮な食品を届けるサービスを広めています。

さらに、生鮮品市場に Amazon が参入していることも今では有名な話です。

資本集中の功罪

現在では Amazon や楽天に限らず、地方を本拠地とする全国各地のホームセンターなどが、独自にネット通販を運営し、自社独自の購入サイトを開設して販売配送しています。

目的の大型テレビが、仙台の今まで名前も知らなかったホームセンターで最安だから、地元には地元の家電量販店があるけれど、ネット通販で鹿児島から注文して購入することも簡単にできる時代です。

そういった、全国各地の小売店がそれぞれいくらで同じ商品を販売しているか公開する価格比較サイトも存在し、小売店の安値合戦は今や対象とする地域に留まりません。地域の一番店になるだけでは足らず、日本全国の店舗同士で競争相手になっているという現状があります。

通常、市場競争は健康的なサービスの向上を生むものですが、お金はあるところにさらに集まるものです。

それまで地域でアフターサービスを顧客囲い込みの主力要素として経営していた小規模の小売店が、昨今、続々と廃業に追い込まれています。さもなくば、大型ショッピングモールの店子に入り、モールの拡大に参加することになるのです。

そうして、地方の資本が続々と人口流出のように巨大な市場を誇る都市部に流れてしまう現象は、インターネットショッピングが消費者にとって必ずしもプラスになるわけではない理由の一つです。

小売をなりわいにする者が、市場競争にさらされるのは当然であり、それで勝てないなら正当に負けたのだから仕方がない、という杓子定規な裁定が間違いではないことも、確かに分かります。しかし、市場主義を突き詰めていくと、商業的な敗者は増加するでしょう。

仕事を失った経営者は社会保障の対象者になることもありえるわけで、利益が分散することによって、経済はバランスを取っているのではないでしょうか。

インターネットで価格が完全公開されることは、確かにフェアな競争の姿であるとも言えるでしょう。だからこそ私たちは、安値を追い求めるばかりに巡り巡って、自分に跳ね返ってくる市場主義のもたらす負の側面にも目を向けなければなりません。

現在の経済復興は主に大企業、都市部の経済復興により効率的にもたらされたものです。
時価の高い会社、人口の多い自治体の経済を立て直す方が効率が良いからです。

自治体の大小に比例する貧富の差は、資本規模の大小に従って序列付けられた日本の企業体力の差に似ています。もちろん、小売に価格だけではない魅力を探せというのは、確かに難しい面もあります。

それでも私たち消費者は、流通問題、再配達問題、排気ガス、ドライバーのブラック雇用化問題を身近なこととして捉え、企業が CSR企業の社会的責任)を遵守するかのように、消費者としての社会的責任を心がけるべき時代を生きているのかもしれません。

ネット通販に対抗して地方の小売店が勝ち残る秘策は、そんな小さな心がけにも、まだ残されているのだと信じています。