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2024/4/10:フリーペーパーvol.97発刊!

東京―沖縄間221円、地方間最低賃金格差問題

国内の労働者に保証される最低賃金が近ごろ、急速に上昇しています。
全国の最低賃金は平均で848円。

最高額は東京都の958円で、最低額は沖縄、鹿児島、宮崎、熊本、大分、長崎、佐賀、高知県の737円です。東京と沖縄の間には221円の差があります。

同じ日本に住む同じ日本人が同じ仕事をしても、日本国内のどこの地面の上でその仕事をしているかという理由によって、賃金が大きく変化するのです。

地方間で最低額の異なる必要性

都市と地方で物価に最も差の出るものといえば家賃でしょう。

テレビでバラエティー番組を見ていると、東京を拠点として活躍する芸人の方が「家賃3万円の古いアパートで暮らしていた」などと売れなかったころの話をする場面を見ますが、最低賃金が全国最低である鹿児島県の一般的な1Kや1Rの家賃は3万円で普通です。

しかし、居住費が高いからといって同じ仕事をしているのにその都合を加味して最低賃金を高く設定するというやり方は、同一労働同一賃金という考え方に矛盾するのではないかと思います。

物価はそれほど違わない

家賃に大きな差があることは、東京に住む友人から話を聞いて少しは知っています。

東京23区内や都内のその他の市、県境に接する川崎市などの家賃水準は、最低賃金鹿児島県の約2倍、実額の差は3〜4万円程度となるでしょう。

時給額の差221円を、1日8時間労働で月に20日出勤するとして計算してみると、221×8×20=35,360円となりますから、家賃に関しては時給の差が適切に反映されているのかもしれません。

しかし、それ以外の生活費に関しては、物価に家賃ほどの差があるとは考えにくく、地方と東京の最低賃金の差額を貯蓄としてそのまま残すこともできるでしょう。

ネット通販が発達した昨今の事情に加え、東京の優れた流通網を主な理由として、量販店の家電など、物によっては地方よりむしろ東京の方が安く買える機会が多いことも考慮に入れなくてはなりません。

労働内容そのものだけで賃金は決定されるべき

東京では、人口の多さや競合他社との市場競争から、同じ業種でも内容的により厳しさが求められるのかもしれません。だから、賃金も高いと。

しかしその分多くの人手を充てたり、人材が豊富なだけ入れ替えもしやすく教育に十分な余裕を割けるわけです。ですから、同一労働同一賃金の理論は東京と地方の間でも成り立つはずです。

それでも、1時間あたり最大221円の差が生まれる現状は、労働の内容を正しく反映できていないのではないでしょうか。

確かに、労働者が提供する労働力を寸分の狂いもなく正確に賃金に反映させる作業は難しいでしょう。何を基準に賃金を設定すればいいのか、厳密な基準はどこにも無いのですから。

このように賃金格差が広まれば、特に家族を持たない独身の若年労働者なら、都会に生活の場を移して働きたいと希望するのも理解できます。

労働環境を提供する企業の人材確保という市場競争において、賃金や生活の利便性という点で地方が東京に勝てていないということです。

現に、地方の人口は都市部に流れており、さまざまな地域おこしが行われるなか、それでも人口流出は止まりません。

今までほぼ最低賃金で人件費を抑えることの出来ていた中小や零細の企業からは、最低賃金の上昇に反対の意見が出ています。

労働者は高い賃金と優良な労働環境を望んでいます。
それは人間の素直な気持ちとして当然のことでしょう。

地方は家賃も物価も安いから都会より賃金が低くても大丈夫、という考え方を見直すべきです。

生活費が地方で低く抑えられるのは事実ですが、賃金は仕事の内容によってのみ決定されるべきです。
物価など生活環境の問題は、別で考えなければなりません。

かりに、日本全国の最低賃金が東京から沖縄まで同じになって、それで人件費の面でやっていけない企業が出るのなら、それは地方も東京も関係なく、その企業は市場競争の場で正当に無くなるべきだったものというだけの話です。

最低賃金が企業の経営状況に照らし合わせて決められているのなら、その基準は労働の内容のみによって決定されるべき賃金のルールから逸脱しています。

最低賃金が地域性にともなう経営環境によって左右されているとしたら、それはあまりにも労働者にばかり負担のしわ寄せが偏っていると思わずにはいられません。

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