キングオブコント2017決勝に初登場した男女2人組芸人「にゃんこスター」が、高い評価を受けて約1ヵ月が経ちました。

決勝1回目のネタに付けられた5人の審査員の評価はとても高いものでした。
設楽統90点、日村勇紀89点、三村マサカズ97点、大竹一樹93点、松本人志97点、合計得点466点で1回目の順位は1位。

その発表と同時に彼らのファイナルステージ進出が決定しました。

にゃんこスターに対するその後の評価は賛否両論です。
「何がおもしろいの?」という声もあります。

そこで、なぜにゃんこスターは高い評価を受けているのか考えてみました。

大塚愛「さくらんぼ」

コントは「スーパー3助」の登場から始まりますが、主役は終始無言で縄跳びを飛び続ける「アンゴラ村長」です。

スーパー3助による流暢なネタの解説とともに、アンゴラ村長は難易度の高い技を飛び続けます。
その間、流れ続ける曲が大塚愛の「さくらんぼ」です。

やがて、さくらんぼがサビに入った良いタイミングで、アンゴラ村長は縄跳びをやめます。
なぜ、せっかくのサビで技を見せないのか?
その謎がこの笑いの原点です。

曲とネタをかぶせる演出は成功だと思います。

さくらんぼが流れるだけでにゃんこスターを思い出すだろうし、あのネタなら子どもたちにも人気が出るでしょう。きっとそこが狙いです。

コントの形式ってなんだ?

通常、お笑いにおいて重要視されるオチ

コントであれ漫才であれ、最終的な評価を分ける分岐点で彼らが選んだのは、星型に囲まれた猫の絵が描かれたボードを掲げ、「私たちのコンビ名は『にゃんこスター』でした」と発表するというものでした。

オチは芸人にとって、自分たちの芸のレベルの高さを示す最も重要なパートといえるでしょう。
サラッと終えたり含蓄を残したり、なんらかの伝統的な手法を用いるものです。

しかし彼らはまるで素人参加番組の仮装大賞で一般視聴者が行うような自己紹介でネタを終了しました。

そこに、何らかの意味があるのかもしれません。

カギを握るのはスーパー3助

スーパー3助は、本名を一釣良太(いちずりりょうた)といいます。

ネタの間ずっとアンゴラ村長の動きや自分の心の変化を解説する役を努めます。
その間、彼の喋りが極めて流暢であることに感心した人も多いのではないでしょうか?

スーパー3助は芸歴15年のベテランで、アンゴラ村長との結成が最近の5ヵ月というだけです。

もとは裸芸なども披露しており、同じ裸芸で共にR-1優勝を勝ち取っているハリウッドザコシショウアキラ100%などとも親交があります。

裸芸で培った緊張をはねのけるハートの強さも、成功を呼び寄せた要因なのかもしれません。

ネタの中盤から度々、アンゴラ村長は憎たらしいふくれっ面で無言のまま奇妙な踊りを始めるのですが、このネタはもはや形式など無視し、自分がやりたいところをやっているだけのようにも見えます。

でも、それが芸の開拓というものではないかと思うのです。

それがあるから、この大会KOCが開催される意味もあるのでしょう。

これはコンテストであって、一発屋的な評価を受けるのも仕方のないことです。
たった1回のネタにすべてをかけるのですから。

笑いを求める視聴者は、閉塞感にうんざりしています。
それは、新しいネタが必要とされている証とも呼べるものです。

にゃんこスターが一部とはいえ高い評価を受ける理由は、形式にとらわれない彼らのコントへの取り組みに、形式に縛られながら生きている視聴者からの、憧れにも似た視線が集まるからではないでしょうか。

彼らの本当の力は、視聴者が時期尚早に評価しなくても、時間が教えてくれます。

彼らがどれだけ続くのか、見届けましょう。