障がいや難病を持っている人たちの場合、「働きはじめる」という一歩は、健常者とはまた違った、とんでもない苦労があるのだ。障害者の就職はまだまだハードルが高いのだ。

そのような現実的な課題が残るなか、IT関連企業「アイエスエフネット」(東京)は、障害者雇用促進のために特例子会社「アイエスエフネットハーモニー」を設立した。

従業員113人のうち100人が障害者。うち5割が統合失調症やそううつ病など精神障害がある人たちだ。親会社からの事務作業に加え、パソコンの動作確認や設置など外部からの仕事も請け負う。2008年の設立から2年目で黒字化した。

この会社で特徴的なのは、独自の特性がある障害者たちがチームを作り、互いに補完しあっているところだ。このようなチーム体制だと一人で抱え込んでしまい、仕事が詰まってしまう事もなくなる。体調や気分に波のある障害者にとって、無理をしにくい環境が整っているとも言えるだろう。

 同社は09年、「ハートフルプロジェクト」として直営店舗での障害者雇用を始めた。総務人事担当の成澤岐代子さんは「精神障害者を受け入れている企業が少ないため、優秀な人材が埋もれていて、うちで成果を上げることができたのかもしれない」と語る。当初は客と接する機会の多い店舗での雇用を不安視する声もあったが、今では大きな戦力となっているという。

精神障害者の中には社会経験をしてきた人たちも多く、即戦力になることもある。他の会社は気がつかずに見落としてしまった点かもしれない。そして、この会社が何よりも物語っていることは、障がい者であっても正しい理解や、対応のもとに働く事ができれば仕事も続くし、仕事ができるのである。

冒頭で挙げた障害者雇用促進法では、一定規模の企業や自治体には、ある一定数の障害者を受け入れる義務があることを明記している。これに力を入れている「無印良品」のような企業ももちろんあるが、まだまだ数が少ないのが現状だ。

悲しいことに、「障がいに甘えるな」ということを思っている採用担当がいる企業もあるようだ。

ちなみに、障害者雇用枠で採用されるのは身体障害者が多いと言われている。精神疾患や難病などの、見た目で分からない内部疾患を持つ障害者にはさらに、高いハードルが待っているのだ。

これから未来の社会へ、障害者の特性や得て不得手を理解し、職場定着への支援にもっと力を入れていただきたいと切に願う。

そして、私達も自らが「どんな人間か」をしっかり伝える術を身に着けていくことが大切だ。

うまく互いが歩み寄れるような制度や社会がこれから先に、少しずつでもいいから作られていくことを祈るばかりである。

【生きる 働く 第12部】障害者 個性生かして<2>精神疾患 支援を模索 – 西日本新聞オフィスの玄関に入ると、一斉に「いらっしゃいませ」「こんにちは」と明るい声が響く。www.nishinippon.co.jp

via:西日本新聞