病でUターン その2
突然うつ病を発症した私の物語。
当時、どのような状況だったのか、どのように苦しんだのか、どうやって前に進んで行ったのか(現在も奮闘中ですが…)、どうにかこうにか日々を生き抜いてきた男の話をエッセイ風にして書いてみました。
どうぞご覧ください。
辞-SHOCK
大変なことになってまいりました(前回ぶり2度目)。仕事を続けるための助言を得るべく電話をかけたところ、逆に仕事を辞める提案を頂いたのだ。この提案をしてくれたかかりつけの先生いわく、「病欠が終わるからといって仕事に無理に復帰しても仕事は続かない。むしろさらに病状を悪化させて退職する人が非常に多い(意訳)」とのことであった。
この言葉は私の心に衝撃と共に飛び込んできた。正直、嫌々ながらでも続ける以外に道はないし、まわりの人も辞職には反対するだろうと思っていたので先生のこのお言葉はまさに青天の霹靂、驚き桃の木山椒の木であった。しかし辞めることも手段の一つというワイルドカードを手にして、少しホッとしたのは事実である。
といえども、この言葉だけで勢いづいて仕事を辞めるのは向こう見ずこの上ない。ここは努めて冷静さを保ちつつ、頂いた助言と自分の信条を基に自分の生きやすい未来を考える必要がある。そう思い立った私はまた新たな意見を頂戴することにした。今度の相談相手は鹿児島でお世話になっている心理士の先生である。
『貴方の体が一番大事。貴方の意志を尊重しなさいよ』
仕事辞めるかぁ~~~~
そうだ、実家帰ろう
というわけで辞職することを心に決めた私。しかしそれは第二の故郷、福岡との別れも意味していた...
モロボシ・ダンがアンヌに自分の正体を告げた時もこのような心持ちだったのだろうか。(なんのこっちゃと思った人は『ウルトラセブン』を最終回まで見てみよう)
(図)
いずれにせよ学生時代から数えて5年弱続いていた福岡一人暮らし生活もとうとうエンドマークである。未練はある。とってもある。この文章を作成している今(2024年3月某日)もまだちょっとある。
どうにかして働かず福岡にて高等遊民生活を送れないか考えたこともあったが、そんな図太さもお金も持ち合わせてなかったので泣く泣く諦めざるを得なかった。パトロンか何かつかないかとも思ったりしたが、あったこともないうつ病ニートに金銭的支援をする酔狂な金持ちなど、私の知る限りこの地球上には存在しない。
なにより今(当時)の苦しみに満ち満ちた状態で福岡に滞在していても、その生活の中で楽しみを見いだすことはもはや不可能だった。この底の見えないうつの暗がりに落っこちてしまえば、そこから這い上がるのは極めて困難である。もしこの暗がりに落ちたのが現役時代の室伏広治だったとしても脱出は不可能であろう。※
※(これは類まれなる筋力を持っていたとしてもうつ病からは抜け出せないだろうという個人の見解に基づく比喩表現であり、室伏広治氏を貶める意図は一切ございません)
であるならば、家族に甘えることにはなってしまうが最低でも衣食住が保証される実家に戻った方が良い。心と体の英気を回復させつつ、未だくすぶっている社会への恐怖心を緩和できる環境に移らなければ未来はない。
こうして辞職&帰郷の覚悟を決めた私は、職場との話合いの末2020年の大晦日を持って職を失うことに無事成功したのだった。
あばよ、福岡
2021年1月25日、私は床と一体化していた。ついにこの日がやってきた。第二のふるさと、福岡としばしのお別れのときがやってきた。
今までも何度か言及していたが、福岡での私の居住地は会社が借りたマンションである。なので仕事を辞めるとなったら当然マンションを引き払う必要がある。とは言え、辞職したら即座に出ていけというほど職場、いや前職場は鬼ではなかった。引っ越し準備等でおおよそ一ヶ月ほどの猶予を頂ける運びとなり、その期限が1月25日までだったのである。
その間私は福岡を全力で名残惜しんだ。時間よ止まれ!と何度も考え、でもうつ病のまま時間が止まっても精神衛生上よろしくないのでやっぱり時間よ進めと考え直す日々であった。
そしてその日がやってきた。どれだけ続きそうな物事にも終わりというのは来るものである。
『笑っていいとも!』も終わった。平成も終わった。『嵐』5人のグループ活動も終わった。
その終わったものの中に、私の福岡生活が追加された。
引っ越し、掃除、後片付けが終了し、襟裳の春並みに何もなくなった部屋の真ん中で私は大の字でヒトデのように床にへばりついていた。鹿児島に帰る前に部屋の中に残った「福岡の気」を吸い込めるだけ吸い込み、体の中だけでも「福岡」で満たしていこうと思ったのである。(意味があるかはともかく)
(図)
かくして私の福岡生活はこれにて終了し、次回からは鹿児島での生活模様をお伝えしていきたいと思う。お付き合い頂ければ幸いでございます。
次回へ続きます。
お楽しみに!