そしてうつである
突然うつ病を発症した私の物語。
当時、どのような状況だったのか、どのように苦しんだのか、どうやって前に進んで行ったのか(現在も奮闘中ですが…)、どうにかこうにか日々を生き抜いてきた男の話をエッセイ風にして書いてみました。
どうぞご覧ください。
(『一行でわかる前回のあらすじ』:外には出たくないが病院には行きたい)
驚きの診断結果はこの章の後すぐ!!
生まれたての小鹿のような足取りで、おっかなびっくり自宅を後にする男が一人。もちろん私です。
二日間の籠城生活を経た私はすっかり疲弊し、毒リンゴ食べた白雪姫のような寝たきり状態へと陥りかけていた。しかし私の周りには助けてくれる七人の小人はいなかったので、元気を取り戻すためには自力で病院へ行くしかなかった。(図)
午後4時、私は巨人に気付かれぬよう息を潜めるジャック(ジャックと豆の木ね)の如き心持ちで自宅を出発した。
いつ顔を指されるか、いつ上司が追いかけて来るかなどとビクビクしていたが、幸い誰にも会う事無く病院(へと向かう地下鉄)に辿り着けた。
現金なもので職場から遠ざかれば遠ざかるほど心の中に平穏が戻ってきた。
果たして(診断)結果は!?
色んな事を心配しつつも、特に何か起こることもなく病院に辿り着いた私はすぐさま診察室に駆け込もうとした。が、病院は予約順だったのでしばらく待機した。
ようやっとかかりつけの先生とお会いし、数日ぶり(体感的には幾千年ぶり、言い過ぎかもしれない)に顔を合わせて誰かと話すことが出来た。私はここ数日の自分の状態について洗いざらい吐き出し、先生の返答を待った。
果たして先生からは私がなんとなく予想していた答えが返ってきた。(ちなみにこの先生は1章で登場している先生とは別の方である。ややこしくてすみません。)
「うつ病だね、これは」
うつ病であった。(図)
私は頂いた結果を頭の中でしばらく噛みしめていた。不思議と拒絶反応は無く、すんなりと受け入れられた。むしろ仕事に行かずに済む大義名分が出来て「助かった...」とすら思っていた。
気が付くと体から力は抜け落ち、全身の骨が溶けたかのように脱力していた。ひょっとしたら頭の中では己の限界に薄々気づいていたのかもしれない。その日私は久しぶりに安らかな気持ちになった。うつ病と告げられて心の中に飛来したものは意外にも「安堵」であった。
一難去っても次の一難はすぐ後ろに控えております
そして先生は会社宛の私の診断書を書いてくださった。これを出せばしばらく会社と距離を置くことが出来る!と無邪気に喜ぶ私。しかし人生はそうとんとん拍子にはいかないものである。
先生「ではこの診断書はあなたが会社に直接出してきて」
私「はい。......えゑっっ!?」
先生「こういう書類は病院からは出せないのだよ」
何という事でしょう!事情の説明のためには私自身が職場に診断書を持っていかなければならないというのだ!落ち着いていたはずの私の心は再び奈落の底まで真っ逆さま、新たな苦しみと対峙することになってしまった。
次回へ続きます。
お楽しみに!