握力はなぜ測るのか?
昨年、指定難病のアトピー性脊髄炎という病気になりました。その影響で、四肢に軽い麻痺がでて、元気な時の握力が10Kg ほど、手が疲れると脱力してさらに力が入らなくなります。
手に力が入らなくなったら、食事・入浴・身支度など様々なことで不便になりました。特にペットボトルの飲み物はキャップが開けられなくなり、100均で買ったオープナーを使ってやっと開けるようになりました。
そこで握力とは何なのか、素朴な疑問が湧いたので調べてみました。
平均的な握力とは
握力について調べてみると、病気・老化・障害など様々なことが原因で握力の低い人がいるようです。原因はわからないけれど、もともと力が弱い人も案外多いようです。私が先日入院した際の担当医も、もともと握力が10程度だと言っていました。
握力の平均値
平均的な握力が気になったので調べてみました。
文部科学省、令和二年度体力調査での年代別握力の平均は下記の通りです。
6歳の平均値 :男子32.67kg、女子31.73kg
20〜24歳の平均値:男性43.24kg、女性39.51kg
75〜79歳の平均値:男性35.62kg、女性35.71kg
握力が10kg以下とは、平均的な握力の三分の一以下だとイメージするとわかりやすいかもしれません。
握力を測定する理由
計測器を握る「握力測定」が、どうして病院でも測るほど重要なのか調べてみました。
握力は主に上半身の筋力で、全身の総合的な筋力と関連があることが多くの研究で明らかになっていることから測定されているそうです。
なんとなく握力測定を受けてきて、握力とは腕の力を測ると思っていました。全身の筋力を知るために測られていることを、ハッキリと理解していませんでした。
握力が低下すると日常生活で困ること
握力が低下した人がどのような事で困っているのか、調べてみました。すると多くの人が共通して、日常生活で困っていることをあげていました。
洋服のボタンをかけたり外したり、服を脱いだり着たりに時間がかかる
頭をシャンプーで洗うときやドライヤーで疲れやすい
重い荷物を持ち続けられない
器やフォーク・スプーンを持つのが疲れやすい
箸をうまく使えない
掃除機が重くて疲れやすい
文字がうまくかけない
布団が重くて干せない
握力が低下すると、以前なら簡単に出来ていたことが大変になります。全てまったく出来ないわけではありませんが、時間がかかったり、途中までしか出来ずに休む時間が必要になります。
いまの握力、把握していますか?
成人してからも握力を測り、把握している人は案外少ないかもしれません。私の場合、高校の体力検査で握力を測って以来、50代で難病の検査をするまで測る機会がなかったからです。
計測器を借りて握力を測りたい場合は、スポーツジム、公共の体育施設、教育施設、健康センター、病院のリハビリテーション室や機能改善室等に置いてあることが多いようなので、事前に使用できるかを確認すると安心です。
ネットでも、比較的安価で性能の良い計測器が流通しているようです。
握力低下の目安になる方法
なかなか握力を測る機会がない人は、ペットボトルの開け方を確認してみると良いかもしれません。
2021年に飲料メーカー伊藤園が鹿児島大学と協力して行った研究では、高齢者において「ペットボトル開栓の困難さを感じること」に加え、「開栓動作パターンを評価すること(「逆筒握り」か否か)」で握力の低下、つまり全身の筋力低下のサインを簡便に把握できる可能性が示唆されました。
日常でできる筋力低下のチェック方法として、ペットボトルの開け方を意識しておくことも一つの目安になりそうです。
握力測定はとても大切なものだった
今回握力について調べてみたら、全身の筋力のバロメーターだということがわかりました。筋力が低下すると、日常生活でさまざまな困難を感じるようになります。
健康な人も意識して握力を測ることで、筋力低下に早めに気づくことができます。そして握力の低下が気になったら、医療機関を受診して必要な対処をすることがとても大切です。
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