フィンランド語の子音について
フィンランド語の子音の数は全部で13個の子音があります。
また、フィンランド語の子音には子音階程交替という現象が現れます。
今回はフィンランドの子音について書いていきます。
フィンランド語の子音
フィンランド語の子音は、p, t, k, d, s, h, v, j, m, n, ŋ, l, rです。
jは/j/、rは/r/です。
この中でŋは独自の文字がなく、現れる環境が限定されています。
ŋは子音一つつまり単音としてはnで表記され子音kの前に現れます。
子音二つつまり重音としてはngと表記されnkの弱階程として母音の間のみに現れます。
(弱階程については後に書いてあります)
二重子音
d, h, v, j, ŋを除くフィンランド語の子音は、母音の間において長短の区別があります。
音の印象としては、日本語の促音(「ヨット」「タッパー」など)に似ています。
この子音の長短の区別は単語の意味の区別にも使われています。
opi「学べ」:oppi「学説」
kuka「誰」:kukka「花」
子音階程交替
フィンランド語の子音には、子音階程交替という現象があります。
これは子音k, p, tのみに起こる、単語に格語尾などをつけた時、格語尾の直前の音節の子音k, p, tの数や音が変化する現象です。
つまり単語(の語幹)に格語尾などがついた際、k, p, tがあれば何かしら音が変わるという事です。
この子音階程交替が起こると
- 長音の子音が単音になる(量的交替)
- 音が交替する(質的交替)
という現象が見られます。
子音階程交替には強階程、弱階程の区別があります。これは交替する閉鎖音(k, p, t)の直後の音節が開音節か閉音節かによって決まります。
開音節、つまり母音で終わっている場合に現れる交替形を強階程、閉音節つまり子音で終わっている場合に現れる交替形を弱階程と呼びます。
量的、質的階程交替で起きる強階程:弱階程は次の通りです。
-
- 量的交替で起こる階程交替
tt:t
ntt:nt
ltt:lt
rtt:rt
pp:p
mpp:mp
lpp:lp
rpp:rp
kk:k
ŋkk:ŋk
lkk:lk
rkk:rk
-
- 質的交替で起こる階程交替
t:d
nt:nn
lt:ll
rt:rr
ht:hd
p:v
mp:mm
lp:lv
rp:rv
k: (音なし)
k:v
ŋk:ŋŋ
lk:l
lk:lj
rk:r
rk:rj
hk:h
hk:hj
参考
言語学大辞典セレクション ヨーロッパの言語(三省堂)
ニューエクスプレスフィンランド語(白水社)