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発達障害への偏見を少しでも減らすために

A girl standing with her back decorates a tree with heart-shaped postcards with colorful puzzles inside as a sign of support for children suffering from autism syndrome

人口に膾炙した発達障害

発達障害のことは多くの方々に認知されていると言ってもいい。

X(旧Twitter)で、毎日のように発達障害がトレンド入りし、話題になることも多い令和の時代、発達障害の周知が社会全体に伝わっていくにつれ、誤った情報が拡散されているのだ。

その中に、発達障害は「少年犯罪者になりやすい」、「感性がない」、「ワガママだ」、「迷惑だ」、「能力がない」、と言った明らかに一面的な見方で広まっている。

発達障害は果たしてそんな負の面ばかりだけなのだろうか。発達障害者である私がその件について考察する。

発達障害はその人自身の性格が色濃く反映される

発達障害は、その当人の性格がかなり反映される障害だと言える。これは発達障害者の方々に多く知られている事実だと思う。

余談になるが、私個人は小説や詩集・短歌・俳句・文学が好きで、他者との会話のときに文学の話をすると、一日が盛り切になるほど好きなのだ。

しかし、専門書には「発達障害の全ての人が文学好きだとは限らない。むしろ、発達障害の人は文学など、言語に関する分野は苦手な人が多い」と書かれている。

実際、前の当事者会で出会った発達障害の当事者は文学にまるで関心がなく、好きなゲームについての話していた。ちなみに、私はほとんどゲームに関心はなく、発達障害の当事者がよく好きというポケモンなどもあまり知らない。

発達障害の文学者・横道誠さん

「発達障害の当事者は文学が好きじゃない」と、多くの専門書に記載されていたのを鵜呑みにしていた私だが、「ついにこれだ!」、と思うような文学者の本と出会った。それは、「自閉スペクトラム症(ASD)」の当事者であり文学者でもある横道誠の『みんな水の中』だ。本屋の立ち読みで、「私はこれだ!探し求めていた本はこれだ!」と思い立ち、大急ぎで購入したのを覚えている。

著者の横道さんは多読家で、昨今の話題作や名作、隠れた秀作の書物をたくさん読んでいる。青色が好きな横道さんの依頼通り、本も綺麗な青色だった。

村上春樹好きでもある。「村上春樹や大江健三郎の作品には自閉症スペクトラム障害の痕跡もある」、という大胆な仮説を立て、当事者として障害と文学を語っているのだ。

少年事件と関連された過去

発達障害の当事者ならば知っている方も多いだろうが、発達障害は過去、凶悪な少年犯罪と過剰に結びつけられた時代があった。

1997年に起きた神戸児童連続殺傷事件の元少年Aが、医療少年院でASDの診断が下りたことを皮切りに、2000年代から2010年代にかけて発達障害だけが犯罪の原因のように、報道、拡散された不幸な過去がある。

私が10代の頃、図書館に行けば、発達障害と言えば少年事件としか括られない本ばかりがあった。発達障害の解説本は少なく、まるで腫物扱いだった。そもそも、犯罪の原因は一つではなく、あくまでも障害は障害の一つでしかないのだ。

それなのに、発達障害だけを犯罪の原因のように報じて断定し、犯罪の本来のありとあらゆる原因から目を背けられた過去は、決してあってはならない事実だと言える。

まだまだ偏見はあるが

発達障害への偏見はまだ多く、ネット上にも悪意に満ちた書き込みはなかなか減らない。

しかし、インフルエンサーの『みらいのリスト』さんのような、発達障害を啓発するアカウントがグッと増え、X(旧Twitter)のトレンド入りも何度も果たすなど、多くの当事者が発信しているのだ。発達障害だけでその人を見ないで欲しい。

発達障害だから空気を読めないのではなく、読みすぎて辛い人がいることも知って欲しい。小説や詩集・短歌・俳句・文学が好きである私でも、10代の頃から、発達障害への偏見や誹謗中傷で複雑性PTSDと解離性障害を発症している。

発達障害への偏見が少しでも減って欲しい。「一人一人が同じ人間なのだ」、と知って欲しい。

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