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2022/011/10:フリーペーパーvol.80発刊!

第167回直木賞受賞作、「夜に星を放つ」を読んでみました!

「喪失」と「かすかな光」が織りなす短編集

久しぶりに直木賞受賞作品を読んでみました。直木賞は正確には直木三十五賞(なおきさんじゅうごしょう)と名称があるそうです。大衆性を押さえた長編小説作品あるいは短編集に与えられる文学賞です。今回は窪 美澄(くぼ・みすみ)の「夜に星を放つ」が受賞しました。

小説を読むことからずいぶん離れてしまい、今回、「夜に星を放つ」を読みましたが、とても読みやすく、五つの短編集のどれもが、それぞれに強くみずみずしい力を持っているように感じました。今回は少しそれら五つの短編集を紹介させていただきたいです。

「真夜中のアボカド」

コロナ禍になった世界。三十二歳の女性、綾(あや)は婚活アプリで出会った恋人、麻生(あそう)と少しずつ愛を育む。このまま関係が続くと思っていたが…。

読んでいて、久しぶりの小説のせいか、とても現代的に感じました。とてもフランク。コロナのせいでずいぶんと変わってしまった、人間関係の築き方。それが見事に文章化されていると思いました。

「銀紙色のアンタレス」

十六歳になった、海が大好きな少年、真(まこと)は田舎のばあちゃんの家で、幼馴染の少女、朝日(あさひ)と夏休みを過ごす。多感な真に夏は色々な経験をさせる。

とても生命力に満ちた作品。僕も海がすぐそこにある家で育ったので、真の気持ちがまぶしく映り、もう戻らない十代を想い、少しセンチメンタルな気分になりました。

「真珠星スピカ」

交通事故で母親を亡くした少女、みちる。そんなみちるの前に母親の幽霊が現れる。母親の幽霊と、奇妙な同居生活が始まる。

読後感は五つの作品の中で、最も清涼感があると思います。みちるは学校であまり喜ばしくない状況におかれます。体調も崩し、高校生活が苦しかった僕は、みちるに自分をオーバーラップしてしまいました。心に何か感じるものがありました。

「湿りの海」

離婚した妻と娘は遠いアメリカのアリゾナに行ってしまった。傷心の沢渡(さわたり)は隣りに引っ越してきた船場(ふなば)というシングルマザーと出会う。お互いの距離が徐々に近づき、傷と傷が触れ合う。そんな矢先に…。

喪失感が作品の中で、強く渦巻いています。かといって読む事を拒絶するような気持ちにはなりません。逆に僕はページをめくる手が止まりませんでした。「読ませる力」をひしひしと感じさせる作品。

「星の随に(まにまに)」

弟が生まれたというのに、小学生の男子、想(そう)は新しいお母さんのことをまだ「渚(なぎさ)さん」としか呼べていない。そんな中、小学生には酷な出来事が起こってしまう。想を取り巻く色々な人々。小学生の心の揺らぎは何処へ向かうのだろう。

とてもデリケートな作品だと思います。心がギュッと掴まれるほど繊細な描写。「大人になりきれない大人たちの中で、少年は大人になっていく」そんな感想でした。

いかがだったでしょうか

五つの作品すべてに、星にまつわるエピソードがあります。まるで「喪失」を優しく包むような「かすかな光」のように僕は思います。誰もが何かしらの共感ができる作品だと思います。機会があれば是非とも読んでいただきたい本です。
それではこれにて「夜に星を放つ」の紹介を終えさせていただきます。読んでいただきありがとうございます。(8月12日時点)

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