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2022/011/10:フリーペーパーvol.80発刊!

新たなる才人、Tobias Wildenの音楽に迫る!

私とTobias Wildenとの出会い。

私がTobias Wilden(トビアス・ヴィルデン)の音楽を発見したのは音楽配信サービス、Apple Musicを利用していた時のことでした。Apple Musicにはリスナーの好みに合った音楽をプレゼンしてくれる、という機能があり(現在は「今すぐ聴く」というボタンを押すとプレゼンの画面が出てきます)、私はそれをよく利用しています。そこでお勧めされたのがTobias Wildenの音楽でした。

最初に聴いたのは「A Path To Open Air / Minute Maps」という作品でした。一曲目「Daybreak」から、ニック・ドレイクのギターを思わせるようなアコースティック・サウンド。2014年の作品とは思えないほど1960〜70年代のフォーク・ミュージックに通ずる空気を感じさせる、煩雑な俗世間から隔絶されたようなその音楽の響きに、一瞬で魅了されました。

それから私はTobiasの音楽をひたすら聴き続け、今も入眠時には欠かさず聴いています。しかし日本ではTobiasの名前も音楽も、あまり知られていないのが現状です。そこで今回は私を絶え間なく魅了し続ける、Tobias Wildenのパーソナリティ、そしてその音楽について皆様にお伝え致します。

Tobias Wildenとはどのようなミュージシャン?

Tobias Wildenはドイツ在住のギタリスト・ピアニストです。ニック・ドレイク、カーキ・キングといったギタリスト、ドビュッシーやラヴェルなどクラシック界のピアニストに影響を受け、独学でギター、ピアノ演奏を追求します。

2009年初頭から音楽制作を始め、Bandcamp・Soundcloud(いずれもネット上での音楽配信サービスのひとつ)を中心に音源をリリースしていき、録音、マスタリング(最終的な音圧の調整)もTobias自身が手掛けています。
音楽以外にも写真家としても活動し、アルバムのアートワークも自らの写真を用いています。仕事は写真の編集や、スクリーンデザインをしているそうです。

Tobias Wildenの作品を一作ずつレビュー!

ここからは、Tobias Wildenがこれまでに作り上げてきたアルバムを一作ずつレビューしていきます(BandcampやSoundcloudにも音源がリリースされていますが、今回は一般的な音楽配信サービスにて配信されている5作をレビュー致します)。

「A Path To Open Air / Minute Maps」

2013年にリリースされた「A Path To Open Air」と2012年にリリースされた「Minute Maps」の二作を同じアルバムに収めた2イン1のアルバムです。独自の変則的なチューニングによるアコースティック・ギターの多重録音が中心となった作品で、前述したようにこの作品は私がTobiasの音楽に興味を持つきっかけとなりました。

確実な技巧と綿密な計算に裏付けされた、徒然なるギターの音色に心が癒される感触を覚えます。そしてアルバム全体を通して、美しいメロディー、透明感のあるサウンドに対する執念めいた物を感じます。とにかく全ての音が綺麗に鳴っていて、触れたら崩れ落ちそうなほどに繊細。そうあるが故に伝わる、静かな熱情。複雑なコード進行や緻密なギター奏法をこの上なくエモーショナルに聴かせる表現力・才覚にも唸らされます。
とにかくまずTobiasの音楽を何かしらの方法で知りたい、という方にこのアルバムはお勧めです。

「Artifacts/Scenes – Piano Works」

「A Path To Open Air / Minute Maps」と同時期にネット上で発表されていた「Scenes, In A Day」「Artifacts」を1作にまとめた作品です。タイトルにある通り全てピアノのみの演奏で、その静けさと切なさを帯びたメロディーは昼にも夜にもぴったりな、時も場所も選ばない普遍性と永久性を獲得しています。私は入眠時にはこのアルバムを聴きながら眠りに就きます。

Tobiasの音楽には常に透明感のあるサウンドと、普段意識しない「切ない感情」を呼び起こすような旋律があります。ここまで純度の高い「切ない感情」が収められた音楽というのは、なかなか無い物です。それは演奏する楽器がギターだとしても、ピアノだとしても変わらないということをこのアルバムは証明しています。是非お聴き願いたい一作です。

「Outer Limits」

フィンガースタイル(指弾き)によるクラシック・ギターの演奏を中心とした作品です。
Tobiasの発言によるとこのアルバムはボサノヴァ、ショーロ、サンバなどのブラジル音楽に大きく影響されているそうです。確かにコード進行がこれまでのギター作品よりも複雑になっています。

全体的なメロディーは、これまでのような「切ない感情」の発露と比較すると、少し晴れやかな、希望を持たせてくれるメロディーが前面に出ています。夜、眠気のある時よりも朝方、目覚める時に聴きたいアルバムです。それにしても達者なギターワークです。Tobiasはまさに音楽の道を極めているアーティスト、という印象を与えてくれます。

「In Transit」

2014年にBandcampで発表されたアコースティック・ギターの演奏が収められたアルバムです。
今回のコンセプトは「都会」。都会の人々と空間の関係性からインスパイアされたという楽曲は、より明るい、陽だまりの下で鳴っているようなメロディーが収められた意欲的な物となっています。変則的なチューニングを活かした複雑なコード進行は不変のクールさです。

部屋で聴いても沁み渡る音楽ですが、やはりこのアルバムは「都会」のアルバム。街の中で、イヤホンもしくはヘッドホンを使用して聴くのがある種正しい聴き方であると思われます。

「Piano Sketches / Spark and the Wither」

2020年のピアノアルバム「Piano Sketches」と2017年の作品「Spark and the Wither」を同時収録した一作です。
一曲目から珍しくテンポの速いピアノの爪弾きで始まり、新たな旅立ちの予感を感じさせてくれます。これもやはり朝方、目覚める時に聴いていたいアルバムです。クラシック音楽の素養を感じさせる、摩訶不思議な、しかし見事に美しいコード進行の連続に、私はジョニ・ミッチェルのピアノ曲を思い出しました。
外の世界を歩きながら見つけた光景や、家族が残していた古いスライドのネガフィルムからインスパイアされたというこれらの楽曲は、どこまでも透き通った音色で聴き手の心をリセットしてくれます。日々の疲れに対して、精神をセットするための音楽という意味においても、Tobiasの音楽は素晴らしい物です。

この5作が現在、音楽配信サービスで聴けるTobiasの音源です。CDはなかなか手に入りづらい状況なので、Tobias Wildenを是非とも聴きたい!という方には、Apple MusicやSpotifyなどの良心的な音楽配信サービスがお勧めです。

Tobias Wildenという、この才人の音楽を聴き逃さないで頂きたい!

一度聴いて頂ければお分かり頂けると思われますが、Tobias Wildenの音楽は本当に才覚に満ち溢れた物です。これだけ様々な感情の動きを音に込められるアーティストは早々現れないでしょう。

毎日変動する生活の起伏、政治経済の流転に疲れを抱いている方は、今の時代には特に多いと思います。
ですが、この絶え間ない起伏・流転を持つ時代と同時代にTobias Wildenの音楽があることはまさに希望である、と私は思います。疲労感・倦怠感に押し退けられそうな時には、是非Tobias Wildenの音楽を聴いて、精神をリセットしてみて頂きたいです。

音楽には、メンタルをケアする効能が確実にあります。眠れない夜をTobiasの音楽とともに越えることでその効能を実感している私には、音楽を聴くなど、精神の逃げ場を持てず、不安を抱えたまま過ごすのは実に危険な行為である、とも思います(音楽を聴くこと自体が身体・精神に合致しない方もいらっしゃると思いますので、それぞれのケースに応じて音楽は機能したり、しなかったりする、とも思っています)。

Tobias Wildenの音楽は、是非とも聴き逃さないで頂きたい音楽です。私が責任をもってお勧め致します。

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