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2024/4/10:フリーペーパーvol.97発刊!

蓮についての小話

泥水に咲く清らかな花「蓮」、雑学3選

ふわりと水上に薄桃や白の花を咲かせる「蓮」。その凛としたたたずまいと、どこか儚げな雰囲気が魅力的な植物です。泥中から美しい花を咲かせる様子はとても神秘的ですね。古今東西を問わず、蓮は人に親しまれてきました。今回は少し変わった蓮の雑学を紹介します。

ミャンマーに伝わる希少な織物「藕絲織(ぐうしおり)」

蓮の茎から取れる繊維を糸にし、その糸を織り込んで作られた織物を「藕絲織(ぐうしおり)」と言います。茎から採取した繊細な糸を繰り返し擦り合わせ、蓮糸を作ります。一本の茎から取れる糸が非常に少なく、また、茎から採取した繊維を紡績する工程が難しいため、高価な織物として知られています。

蓮を神聖視する仏教国では、仏像や高僧への供物を作成するために用いられてきました。現在ではストールや帽子といった衣料品や、ハンドメイドに使用されています。

中国の楊貴妃も愛した「蓮茶」

蓮は、全ての部位が様々な用途で使われています。一般的に知られているものとしては、れんこんの和え物や蓮の実を使ったお菓子「蓮蓉包」でしょうか。撥水性のある茎をストローにしたり、葉っぱでちまきを包んだりなど、部位ごとの特徴を生かした使用法もあります。

蓮をまるごと楽しめるのがお茶です。蓮茶は主にアジア圏で愛飲されているお茶で、民間療法にも用いられてきました。抗酸化作用のあるフラボノイドや、鉄分や葉酸を多く含んでいることから、「美人茶」とも呼ばれています。また、アルカロイド類が豊富なので不眠症の特効薬としても有名です。蓮の部位によって味わいは異なるそうなので、自分好みのものを探してみて下さい。

俗世を忘れさせる甘美な「ロートスの実」

古代ギリシャの叙事詩『オデュッセイア』にこんな話があります。トロイア戦争後、ギリシャを目指し航海に出たオデュッセウスは、北風と波によって航路を外れてしまいます。難航した船は、ロートスの実を常食するロートパゴス族が住む島に漂着します。このロートスの実は、食べた者を心地よい眠りに誘うという魔力を持っていました。

オデュッセウスは部下に島の偵察に行かせましたが、誰も戻ってきません。訝しんだオデュッセウスが様子を見に行くと、恍惚状態の部下を発見します。部下はロートパゴス族から貰ったロートスの実を食べ、家族や故郷のことを忘れてしまっていたのです。オデュッセウスは夢見心地の部下を無理やり連れ戻し、その島を後にしました。

ロートスの実はナツメに似ていて、とても美味だとされています。また、ロートパゴス族の英語名「lotus-eater」には、夢想家、怠け者という意味もあります。

蓮は古来から神聖な植物とされてきました。仏教では極楽浄土に咲く花として、ヒンドゥー教ではラクシュミーを象徴する花として、崇められてきました。また、「古事記」の雄略天皇と赤猪子のエピソード、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」など、蓮が登場する作品も多々あります。

宗教的にも、文化的にも人々に愛されてきた蓮。そんな蓮の魅力が少しでも伝われば幸いです。

不染世間法 如蓮華在水(ふせんせけんほう にょれんげざいすい)

世間の法に染まらざる事、蓮花の水に在るが如し

「法華経」従地涌出品第十五

 

 

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