桜島が迎えてくれた、その先は…
2021年12月11日から1月30日まで、長島美術館で酒井駒子さんの展覧会が開催されました。
いつか原画を拝見してみたいと思っていた作家さんの初の大規模個展!
鹿児島で開催されることも嬉しく、とても楽しみにしていました。
酒井駒子さんについて
酒井駒子さんは兵庫県出身の絵本作家です。
2013年からは森のなかのアトリエと東京を行き来しながら制作を行っており、ぬくもりと、ほんのりダークさも感じる世界はまさに森のなかにいるよう。
海外からの評価も高く、ニューヨーク・タイムズの「子供の絵本最良の10冊」に選ばれたこともあり、子どもだけでなく多くの人を魅了しています。
みみをすますように
凛とした雰囲気で、ぽてっとしたフォルムの子どもや生きものたち、絵の切り取り方、空気感。
日々の楽しさや嬉しさ。
悲しさや寂しさからも目を背けず、優しく包みこむあたたかさ。
観ていると胸がぎゅっとなるような懐かしさを感じる、酒井駒子さんの作品。
今回の展覧会は杉からつくられた木枠や展示台、子どもサイズのテーブルセット、私物のアンティークのおもちゃや小さな靴がその世界観をさらに広げ、静かで優しい時間が流れていました。
森や絵本の映像、光を落とした「くらやみ」をテーマにした展示方法もとても素敵でした。
「まばたき」の似ているようで次の瞬間を描かれた連作にハッとし、「くまとやまねこ」にじんわり。
「ビロードのうさぎ」は持っている絵本のなかで特に好きな作品なので、原画を観られたこと。
ラフや修正の跡、コラージュ作品も拝見できたことにも感激しました。
暗闇の心地良さ
暗闇があるから光を感じられる。
とはよく言われますが、暗闇そのものはあまり肯定的に語られることがないように思います。
夜、ちょっと外に出て目を閉じてみる。
遠くから聴こえる人の声、生活音、動物の鳴き声、自然の音。匂い。
自分と周りとの境界が曖昧になって溶けていくような感覚、わたしは暗闇にそんな心地良さを感じます。
酒井駒子さんの作品はその暗闇のぬくもりを描いているように思うのです。
初めて購入した本「金曜日の砂糖ちゃん」の表紙は日に焼けて、すっかり色あせてしまいました。
これからどう変化していくか、時に暗闇を覗きながらまた楽しみたいです。
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