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2024/12/10:フリーペーパーvol.105発刊!

記憶を思い出すキッカケに必要な5つの方法

記憶の呼び起こし

記憶したものを呼び起こすとき、私たちは何かをキッカケとして思い出すような気がします。
たとえば、ハリウッド映画に登場する主人公を演じている人の名前です。顔の特徴やヘアスタイル、映画のワンシーンなど、頭の中でキッカケを探していますよね。映画を例に挙げたように、何かをキッカケとして思い出すことは、アウトプットすることが出来て「記憶」に変わるような感じがします。
そこで今回は、記憶したことを思い出すユニークな5つの方法をご紹介していきたいと思います。自分に合うものがあるか、試してみてはいかがでしょうか。

匂いを嗅ぐ

ドイツのフライブルク大学のユルゲン・コーンマイヤー氏らの研究チームは、バラの匂いに満たされた部屋で、学習をしたり、睡眠を摂ると学習の効率が上がることを発見しました。

研究では、54名のドイツ人学生を被験者として、
1. 無臭
2. 学習と睡眠中にバラの匂い
3. 学習とテスト中にバラの匂い
4. 学習と睡眠、テスト中にバラの匂い
の4グループに分けて実験を行いました。

結果、学習と睡眠中のグループと学習と睡眠、テスト中のグループは良い成績を残しました。加えて、英単語の記憶率が約30パーセント増加しました。
バラの匂いに限らず、「匂い」は私たちの記憶を呼び覚ますトリガーです。暗い気持ちがアロマの匂いで明るくなったり、ふっと鼻に入った香水の匂いが、恋愛の懐かしい思い出を呼び起こしたり、記憶と感情を結び付けてくれるのです。
人は記憶や忘れた感情を呼び起こすとき、香りを手がかりにして思い出します。これは嗅覚が五感の中で唯一、喜怒哀楽と関わる大脳辺縁系に直接つながっているためだと言われています。
不安でいっぱいのときや、テストで学習したことを思い出すときなど、香水の匂いを嗅いでみるのもよいかもしれませんね。

自己説明をする

合計6000人が参加した64のメタ分析先行研究によれば、さまざまにある学習法と比較して、自分に対して説明を促すことが効果的と判明しました。
説明する相手が、たとえ自分自身であっても因果関係などの理解がなければ上手く伝えることができません。また、「説明する」という行為は、学習者自身が「分かっていない部分」を発見するチャンスにも成ります。このプロセスは「理解していない情報」を浮き彫りにし、次にするべきことを明確にしてくれます。
学校で授業を受けてインプットすることも大切ですが、強い記憶定着にはアウトプットが大切だと言われています。自分自身に対して説明することは、記憶したい情報の整理と深い理解に必要な作業です。加えて、「説明する」ことは殆どの学習分野において利用できるので試す価値はあるでしょう。
「分かっていない」「なんとなく分かっている」について、「自己説明」ができるかどうか試してみるといいかもしれないですね。

手書きをする

ノルウェー科学技術大学の研究によれば、手書きの方が子どもの学習スキルや記憶力を向上させることが判明しました。手書きをすることで脳の感覚運動野と呼ばれるところが活発になり、筆圧や文字を書く音などの感覚が脳をくすぐることで、学習内容が頭に残りやすくなるようです。加えて、手書きによって生じる感覚が、さまざまにある脳の領域間を相互接触させて、学習効果が最大になるとのこと。
手書きの効果は「大人」にも同じようにみられ、早い時期から手書きの習慣をつけることが重要で、脳の成長にはある程度の「遠回り」が必要なようです。
最近では文字や言葉の意味が分からないとき、スマホやPC、タブレットを用いて手っ取り早く報酬(答え)を得る傾向にありますが、これだと脳の活動が最小化されてしまって学習効果が低くなってしまいます。
「手書き」は現代のやり方と比べると、時間と労力が必要なために非効率のように感じますが、それは脳の成長にとって実は効率的なことなのです。「手書き」という遠回りな困難は、潜在能力を発揮して人の脳を成長させるようですね。

休憩する

spacing effect(間隔効果)と呼ばれる学習スケジュール方法があります。2007年に行われた研究で、覚えた記憶を思い出したい日までの期間の10パーセントのインターバルをはさみながら学習するというものです。

たとえば、1ヶ月(30日)後にテストがあるケースだと、30日の10パーセントにあたる3日間をインターバルとし、その日学習してから3日後に復習することです。
2012年に行われた研究報告では、言語学習後に被験者に3〜6ヶ月の学習の休憩期間を与えたところ、その後の文法テストにおいて、成績の落ち込みはみられなかった結果も出ています。
研究者の間では、「手続き記憶」が長期記憶になったのではないかと考えられています。手続き記憶とは、楽器を演奏したり、運動をするときに使われる記憶のことで、いわゆる「体が覚えている」状態です。
資格試験やテスト当日までの残り日数から、学習のインターバルを計算して取り組むと良いでしょう。

クラシック音楽を聴く

クラシックは脳の活性化させる働きがあることは、研究者の間で長く言われていることです。実際に、クラシック音楽が空間認識能力や、学生のテスト成績向上に12パーセントも貢献したという報告があります。

ベートーヴェンの「エリーゼのために」のようなクラシック音楽が、学習するときに適しているようです。

まとめ

今回は「記憶」に関する方法を5つ取り上げていきました。不思議なことに記憶は、場所によっても思い出せるスコアが変わっていきます。「自宅では出来たのに、試験会場では思い出せなかった」などの経験はありませんか。
数ある研究によれば、図書館やカフェなどの「自分以外の人がいる場所」で学習することは、大勢の人がいる試験会場でテストをおこなう空間と似ていることから本番で強くなると言われています。
加えて、記憶の中でも「手続き記憶」が長い間脳に記憶されやすいようです。たとえば、スマホやPCで情報を得るより、「本」という選択肢をあえて選ぶことは結構「近道」だったりするかもしれませんね。

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