fbpx
2024/3/10:フリーペーパーvol.96発刊!

『ハンデがあっても明るく生きる』YouTuberえりかんさんへインタビュー

発達障害(ADHD)の当事者であるえりかんさんへインタビュー

ある日、YouTubeを見ているとニコニコ笑顔でハイテンションな女性を見つけた。彼女の名前は【えりかん】現在20歳。彼女はADHDという発達障害と境界知能の当事者である。

YouTubeでは【えりかん】というチャンネル名で活動しており、チャンネル登録者数は3000人超え。

(写真提供=えりかんさん)

私は、えりかんさんの動画を見てから虜になった。動画を見る度にえりかんさんに元気をたくさん貰っていた。

境界知能の当事者でもあるさくらももえは『えりかんさんの話を是非聞いてみたい』とえりかんさん本人にインタビューのお願いをした。「いいですよ!」とえりかんさんは、HIFUMIYO TIMESのインタビューに快く応じてくれた。

YouTubeでいつも見ているえりかんさんが画面上に現れ、嬉しさでニヤケが止まらない私は、ずっとえりかんさんにお礼ばかり言っていた。終始ニヤケが止まらないが、えりかんさんへインタビューしていこうと思う。

『勉強が理解できない』周りとの学力の差で生きづらさを感じた学生時代

えりかんさんは、幼少期から自分と周りとの差で生きづらさを抱えていました。

「小さい頃から、集団行動が苦手でした。体を動かす運動でスキップをしていたのですが、一人だけ遥かに周りと遅れていて、スキップが出来るまで時間がとてもかかっていました。小さいながらに、生きづらさを抱え幼稚園に通っていました」

『小学校に上がれば、勉強ができる』と思っていたえりかんさん。実際、小学校へ進学すると『なんで皆勉強ができるんだろう』と周りとの差を感じることになりました。

さくらももえ 私も、簡単な計算問題が出来ずよく担任の先生に怒られていました。

「一緒ですね。算数も難しいですよね。

小学生の頃、周りとの学力の差でいじめにも遭いました。そして中学校へ進学後も、自分の障害にはまだ気づいていませんでした。中学でも勉強することが難しく、周りとの学力の差を常に感じていました。部活動は、陸上部に所属していました。しかし顧問の指示が理解出来ず、怒られることが多かったです」

さくらももえ  えりかんさんの得意な教科などはありましたか?

「英語が得意でした。クラスで1位を取ったことがあって、50点満点中、50点の満点でした!」

さくらももえ えぇ!頭がいいですね! 

「いえいえ。理数系はほぼ0点を取ることが多く『一度でいいから満点を取ってみたい』と思っていたので、得意な英語で満点を取れて嬉しかったです」

『一度でいいから満点を取ってみたい』と思い実行に移し、得意な英語のテストでクラス順位1位を取ったえりかんさんの話を聞き、『凄すぎる。努力してる姿をみるともっとえりかんさんのことを応援したくなる』と画面越しで感動する私。

『自分は他の人と少し違うかも』幼少期から抱いていた違和感の原因が分かってホッとした

 

高校へ進学後、えりかんさんはあるテレビ番組で「発達障害(ADHD)」の特集を見ていました。テレビ画面に映し出されたADHDの特徴を見ていると『自分に当てはまるな』と思い、翌日書店で発達障害の本を読み『やっぱりADHDの特徴に当てはまっている』と確信。

後日、病院を受診し発達障害(ADHD)の診断を受けました。

「発達障害の診断後、自分の生き辛さの原因が分かり心がとても軽くなりました」

そして高校2年生の時、勉強が出来ないという悩みがあり『もしかしたら学習障害(LD)も合併しているのかも』と思い、もう一度病院へ行くことになりました。

「IQテスト(WAIS)を実施したところ「軽度知的障害」と診断されました。

帰宅後、母親に『私、知的障害って診断された』と報告すると『そうだよ』という驚きの言葉が返ってきました。『母親は、私に知的障害のことを隠していたのでは?』と思っていましたが、母親は幼い私に『知恵遅れ』と言っていました。しかし、私はその言葉の意味が理解出来ていませんでした」

えりかんさんが小さい頃、母親と療育手帳の更新に行った際『自分は何のために連れて行かれているのだろうか』と疑問に思っていたそうです。

「自分の障がいが分かった高校生の頃に、あれは自分に障害があったから、療育手帳の更新に行っていたんだということが理解できました。そして20歳になる前にもう一度、療育手帳の更新へ行きました。

すると、高校生の頃よりIQが上がっていました。『私は軽度知的障害なんですか?』と、知能検査を実施してくださった担当の方に聞くと『境界知能(グレーゾーン)になる』と言われました。私は『境界知能か』とすんなりと受け入れていました」

一般的なIQは100と言われており、知的障害はIQ70以下(自治体によって異なる)、境界知能は70〜84以下。

見た目が普通だからこそ自分の特性について気づいて欲しい

 

ー境界知能での悩みや苦労したことなどはありますか?

「見た目が普通なので自分の障害に気づかれないのがとても悩み。バイトや仕事は覚えることが多いので、一気に覚えることができません」

さくらももえ 私もたくさん指示されると頭がパニックになります。

「境界知能当事者あるあるですね。軽度知的障害の方や、境界知能の方は、ワーキングメモリ(一時的に記憶し、処理する能力)が劣っているので、脳内に記憶することが難しく、すぐに覚えることが困難です。何より、見た目が普通なので自分から『ハンデがあります』と言わないと、初めて会った人などに自分の特性を分かって貰えないことが多いです」

さくらももえ とても分かります。『普通に見られる』からこそ余計生きづらさを感じますよね。因みに、日常生活で困ってることなどありますか?

「困っていることですか・・・レジのお会計で困ることが多いです。例えば洋服を買うときに値札を見て『レジにて30%OFF』っていう値段表記を見ても計算ができないです」

さくらももえ  私も%OFFが咄嗟に出てこないです(汗)因みにお金の管理とかってどうしてますか?

「小学生の頃は、お金も貰った分だけ使うことが多かったです。でも『お小遣いを全部使ってしまったら好きなものを買えなくなる』と分かると、きちんと計画的にお金を使うようになりました。今は支出など把握出来るように、スマホで家計簿をつけるようになりました」

さくらももえ 私はレシートすぐ捨ててしまうので、えりかんさんを見習います(汗)

「あと、漢字の書き取りもとても苦手です。読みは出来るんですけど(笑)」

さくらももえ 今はパソコンやスマホで文や文章などを打つことが多いですからね。書くことってほとんどなくなってきましたよね。

「あれあの漢字どう書くんだっけ?ってすぐにネットで調べてしまいます」

さくらももえ 今の現代人あるあるですね!

(写真=HIFUMIYO TIMES編集部)

『就労移行支援に行ったら就職できる』そう考えていたが現実はうまく行かないことばかり

 

えりかんさんは高校在学中に、飲食店などでアルバイトをしていました。

「飲食店では覚えることが多く、店長などにも怒られていました。私は人に怒られると『辞めたい』と思ってしまうので、高校在学中のアルバイトもすぐに辞めてしまいました」

それからえりかんさんは『働くのが怖い』と思うようになり、高校卒業後は近くの就労継続支援B型事業所で、市役所などに置いてあるパンフレットを作成する作業をしていました。

その後就職活動をし、2019年の秋に障害者雇用枠で特例子会社へ入社。その会社では、ハーブティーなどのお茶を作る仕事をしていました。しかし、毎日同じ作業で仕事内容に飽きてしまい、入社して半年経った頃に仕事を辞めることになりました。

そして、2020年秋に就労移行支援事業所へ通うことになりました。『就労移行支援事業所へ行けば、どの会社でも採用してもらえるかも』と思っていたえりかんさん。

しかし、現実はそう甘くありませんでした。12社程面接を受けましたが、どの会社からも採用通知は来ませんでした。

やはり障害者枠は厳しいと感じ、一般就労のカフェに求人応募。見事採用され、2021年の10月からカフェで働くことになりました。

カフェでの仕事は覚えることがとても多く、店長から「あれもやって、これもやって」とたくさん指示をされ、えりかんさんの脳内はキャパオーバーに。

「お皿に盛り付ける作業も自分の不器用さが出てしまい、店長に怒られる日々。仕事から帰宅後、毎日家で泣いていました。怒られると『辞めたい』と思ってしまうので、採用されたカフェの仕事をすぐに辞めてしまいました」

今はハローワークで障害者雇用で仕事を探しているえりかんさん。「私はすぐに飽きてしまう性格なので、色んな仕事に就いてみたいと思っています」

(写真提供=えりかんさん)

当事者だからこそ困っている人に手を差し伸べたい

中学生の頃、殻に閉じこもる毎日だったえりかんさん。しかし、スマホで動画編集アプリを見つけ、少しだけ動画編集に挑戦してみると『動画編集って楽しい』と殻に閉じこもっていた毎日から、動画編集にハマる毎日になりました。

YouTubeを始めた当初は、Vlogなどを投稿していましたが、今は発達障害や境界知能の方へ向けた動画を毎週金曜日の19:00に投稿しています。

「困っている方へ情報発信し、何か手助けになればと思います。そして、当事者の方からの声を聞けることもありがたいです」

YouTubeチャンネル  えりかん

 

(写真=えりかんさん YouTuberチャンネル)

インタビュー取材を終えて

えりかんさんの『なんでも挑戦したい』という気持ちが伝わると同時に、ポジティブでもあり、アクティブで、見ているこちらが元気を貰った。『20歳なのに私よりしっかりしているな』と思った。私もえりかんさんのようなポジティブさを保ち、しっかりとした自立心も持ちたいと思う。

自身の障害についての特徴や、困っている方へ何かできれば、と手助けとなる動画を発信しているえりかんさん。視聴者への感謝の気持ちも忘れず、視聴者へ元気を届けるえりかんさんの今後にも大いに期待したいと思います。

 

 

最新情報を購読しよう!

就労継続支援・就労移行支援事業者様へ

HIFUMIYO TIMESでは毎月フリーペーパー版を発行しており、各エリア版の加盟店を募集中です。福祉事業者に最適なブランディングと広報力をご提供します。詳しくはお問い合わせください。