聴覚に問題を抱えている人をサポートする
あなたは聴覚に問題を抱えていて、日常生活に困っている人を見かけたらどうしますか?自分から声をかけるのか、気にしつつもスルーするのか。見ただけではわからない彼らにどう接していいのかわからない、という人もいるのではないでしょうか。
「要約筆記者」とは、主な言語を手話としない難聴者や失聴者に話をわかりやすくまとめて、文字として相手に伝え、聴こえの問題を抱えている方たちをサポートする人たちのことを要約筆記者と呼びます。
要約筆記を知った日
私は中学2、3年生の頃、学校になじめずに保健室に登校していました。そんな私のところにスクールカウンセラー先生はよく来てくれ、いろいろな話をしてくれたことを今でも覚えています。明るく優しくて他の生徒からも人気がある先生でした。
ある日、先生との雑談中に「私が所属しているサークルに入ってみない?」と、いつも通りの朗らかな声で誘われ、先生が所属している要約筆記のサークルのことを教えてもらいました。
その頃の私は、要約筆記のことは何も知りませんでしたが、その先生がいるサークルなら居心地がよさそうだなぁと思い、要約筆記のサークルに入ることにしました。
要約筆記の現状
先生が所属しているサークルは、九州のメセナ大学の生涯学習の一環として開催していました。
とある公民館で、要約筆記の講座が行われていると先生から聞き、要約筆記者の講座へ行くことに。
教室に入ると、穏やかなご年配の方々が迎えてくれました。簡単な自己紹介の後、私は要約筆記の歴史や現状について学びました。
世間での要約筆記の認知度は低くく、サービスを受けられるということはあまり知られていないということを知りました、また、聴こえに問題を抱えていることに気づかず、人間関係でトラブルになってしまうという話を聞き、「そういえば、私の家族にもあてはまるような…」とふと思いました。
私の母や祖父は、大きな声で呼びかけないと気づかなかったり、よく聞き間違いをして、「言った」「言ってない」と言い争いになることが多いのです。私は、要約筆記の講座での話を聞き、私の母や祖父のように聴こえに問題がある人たちのサポートをしたいと思い要約筆記を学んでみようと思いました。
要約筆記者というパートナー
要約筆記のサークルでは、ラジオや講演を聞きながらノートテイクをしたり、聴こえに問題を抱える人たちのトラブルの原因と対処法を話し合ったり、時にはお互いにアドバイスをし合いました。そこで、ベテランの方のノートを見せてもらったのですが、ノートの中身がとてもわかりやすくとても参考になりました。
私は、要約に慣れるまで時間がかかりました。
要約筆記はスピードと正確さが命なのですが、ここは注意しないといけないと思うことがいくつもありました。あまり漢字を使いすぎると読みづらくなることや、書くスピードが遅くなってしまうこと。いかに早く筆記でき、相手に正確に伝えることができるのか、私はとても苦戦しました。
私が要約筆記をしていたのは1年間という短い期間でしたが、たくさんのことを学びました。不安な時に支えてくれる人のあたたかさ、気にかけてくれる存在のありがたさ。
もし、聴こえに問題がある方があなたの目の前で困っていて、あなたが何もできなくても「どうしましたか」「何かお手伝いできることがありますか」そのひと声だけで安心する人がいます。
あの時、先生が私に声をかけてくれた時のように。「自分には何もできない・・・」そう思っている人も勇気を出して、声をかけてみませんか?要約筆記という支援が、聴こえに問題がある人や、その方たちの周囲にいる人、また要約筆記者を知らない人にも興味を持っていただけたら幸いです。
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