2016年4月1日に「障害者差別解消法」が施行されましたが、世の中にはどのような合理的配慮(ごうりてきはいりょ)が飛び交い、障がいのある人々は日々、どのような合理的配慮と向き合っているのでしょうか?
そんな日常に潜む合理的配慮【GO!HI!(ゴーハイ!)】を紹介するこのコーナーは、当事者の日常で起こる「合理的いいね!」や「合理的じゃないね!」をお伝えしていきます。
【GO!HI!(ゴーハイ!)】は南日本新聞でも連載していますが、今回の記事はweb版限定、「福祉タクシー」についてのお話です。
道端で呼んでみたいよ 「Hey,タクシー」
車いすユーザーに限らず、公共交通機関を利用している人で、少しモヤモヤな体験をしたことがある方は少なくないと思います。トリプル☆リーの3人は運転免許証を持たないので、公共交通機関を大いに利用していますが、先日こんな出来事がありました。
半年に一回の定期検診のため病院に行った時のこと。
その病院は道のりが遠く、JRとタクシーを乗り継いで行きます。
道のりは遠くても長年通っているため慣れたものですが、その日はこれまでとは違う初めてのことがタクシーを利用するときに起こりました。
いつもは行きだけ予約をして、帰りは電話をして利用しています。
それは、予約をしようとすると「終わり次第連絡をください」と言われるからです。当日であっても「予約を〜…」と言うと、運転手さんは「連絡をください」と言います。
これまで、その方法でこれと言ったトラブルもなく、スムーズに帰ることができていました。
その日も、そのつもりで「さあ、帰りましょう!」と福祉タクシーを呼ぶと、次のようになりました。
電話対応の方は、何か不満があったのか、元々そんな感じの方なのか…丁寧語は使っているものの、とても機嫌が悪く言い方がひどいものでした。
運転手さんに「帰る時間が決まった時点で電話してくださいね」と言われたことを伝えても「福祉タクシーは全て出払っているので、迎えには行けません」「一番早くても1時間以上後になります」「なぜ、予約をしなかったんですか?」と一方的に言われました。
しかも、完全に「できません!」というわけではなく、電話は何度も保留に。その間、対応できる福祉タクシーを探していたのかもしれませんが、なかなか迎えは難しい状況でした。
いよいよ、違う方法を探して帰らないとその後の予定が厳しくなってきたなと思った時、電話口の向こうで声がして、その後すぐ「今から10分後に行きます」と、手配をしてくれました。
無事に帰ることができて、ホッとしたのですが、対応の変わり様に、思わずツッコミたくなり、あの時間は一体何だったのかとモヤモヤが残る出来事でした。
おそらく、運転手さんと電話対応の方の伝達ミスだったのではないかと思いますが、タクシーしか帰る手段がない場合、本当に不安になります。
そんなモヤモヤが解消されないうちに、また同じ方面に行くことがあり、今度こそは帰りもきちんと予約をしようと同じタクシー会社に電話をすると…。
Illustration by *マリコ*
同じ声の方が出られて、しかも、今度は「18時以降は暗いので、乗せられません」と言われました。
今まで夕方以降の乗車は断られたことがありますが、「乗務員の数が足りない」や「乗務員さんの目が悪く夜は見えづらいので」という理由でした。
「18時以降は暗いから」と初めて言われ、たしかに暗くて危ないのは分かりますが、危ないからこそタクシーを使いたいと思うのは、わがままなのでしょうか?
都市部と違って、まだまだ車でしか行けない場所が鹿児島にはたくさんあります。
公共交通機関を使うしか、移動手段のない私たちにとって、福祉タクシーはとってもありがたいものです。
全車種が福祉タクシーになるか(呼ばなくても走っているタクシーをつかまえて乗ってみたい!)、自動運転の車が一般化されるか(ちょっとした試験だけで免許が取れて自分で運転している感覚になってみたい!)、そういう夢のような世界に早くなると良いのになぁと思っています。
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