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2021/04/10:フリーペーパーvol.61発刊!

上司からの叱責がパワハラになる場合・ならない場合

厳しい叱責だけがパワハラではない

昨今、パワハラは大きな社会問題となっています。

殴る、蹴るのようなあからさまなパワハラは流石に少なくなりましたが、「俺の若い頃はこのくらいは当たり前だった」とか「君の成長のため厳しく接している」というような独善的な考え方で、本人が自覚のないままパワハラを行っている上司はまだまだ少なくありません。

一方で、パワハラを受ける部下のほうも、「自分はパワハラを受けている」ということに気付かないまま、どんどん追い詰められてしまったり、最悪の場合は自死に至ってしまうこともあります。

そこで、今回は、法的な観点から客観的に、何がパワハラに該当し、何は該当しないのか、ということを説明をしていきたいと思います。

物理的に威圧するのはパワハラ

まず、物理的に威圧しながら叱責することは明らかにパワハラです。直接身体に殴る・蹴るなどの暴行を加えるだけでなく、「机を叩く」とか「壁を蹴る」といったような、物に対して有形力を行使して威圧することもパワハラに該当します。

人格攻撃をすることはパワハラ

次に、物理的な有形力を伴わない場合であっても、その人の人格攻撃をすることはパワハラに該当します。

どんなに穏やかな口調であったとしても、「こんなミスをするならば小学校からやり直してきたほうがいいんじゃないかな?」とか「あなたみたいな人は生きている価値が無いんじゃないの?」といったように、人を馬鹿にしたり、精神的に追い詰めるような発言はパワハラに該当します。

叱責の対象となるのは、あくまでも仕事上のミスや落ち度であり、決してその人の人格そのものではありません。

追い詰めることはパワハラ

たとえば、売上目標(客観的に見て合理的な目標であることが大前提)を達成できなかった営業職の部下に対し、目標を達成できなかったことを叱責し、改善を促すことは、上司の部下に対する指導の範囲に含まれます。

上司の部下に対する指導というのは、本人に不足している部分を気が付かせ、具体的な改善行動につなげるということが前提にあれば、多少言葉がきつくなってしまったとしても、不適切ではあれ、違法なパワハラとまでは言えません。

また、製造業や建設業などで、不注意に危険なことをしようとしている部下に「ちょっと待て、バカヤロー!」と叫ぶのも、「バカヤロー!」自体は決して良い言葉ではありませんが、部下を危険から守るために反射的に出てしまった言葉であればパワハラとまでは言えないでしょう。

部下を成長させたり、守ったりするためではなく、自分の怒りやストレスに任せ、部下に乱暴な言葉を浴びせたり、たとえ上司が心の中では部下の成長を望んでいたとしても「目標が達成できないのは気合が足りないからだ」というように、精神論のみを繰り返して部下を追い詰めることはパワハラです。

また、言葉は柔らかくても「目標を達成できないとなると、君の居場所は無くなるし、うちの会社にとってはお荷物だよ」というように、突き放すような言葉をかけることもパワハラになります。もちろん、実際に仕事を取り上げて、いわゆる「干す」という行為をすることもパワハラです。

私生活への干渉もパワハラ

パワハラは業務上の指導に限ったことだけではありません。仕事上の優越的地位を利用して、部下の私生活に干渉するようなこともパワハラです。

本人が拒んでいるのに有給休暇を取得する理由を聞き出そうとしたり、部下の個人情報を第三者に暴露したり、SNSでつながることを強制したり、といったことは、代表的なパワハラの事例に該当します。

このように、パワハラに該当する行為は、一般的に世の中で考えられているよりも幅広く
存在します。

パワハラ防止法でパワハラ防止が義務化

2020年6月から、パワハラ防止法が施行されており、企業には、従業員に対するパワハラを防止する法的義務が課せられるようになりました。

パワハラ防止を周知すること、パワハラが発生した場合に迅速な相談対応、改善対応ができる体制を整えることなどが企業には必要とされています。

労働者の方は、自社のパワハラ防止体制が整えられているかを就業規則などで確認してみてください。一方で、経営者や人事責任者の方は、パワハラ防止法で求められている体制が社内に確立されているかを確認し、もし確立されていなかった場合には迅速に対応をするとともに、パワハラを発生させないような経営や労務管理に努めて頂きたいと思います。

 

プロフィール
榊 裕葵(ポライト社会保険労務士法人代表)

大学卒業後、製造業の会社の海外事業室、経営企画室に約8年間勤務。その後、社会保険労務士として独立し、個人事務所を経てポライト社会保険労務士法人に改組。マネージングパートナーに就任。勤務時代の経験も生かしながら、経営全般の分かる社労士として、顧問先の支援や執筆活動に従事している。また、近年は人事労務freee、SmartHR、KING OF TIMEなどHRテクノロジーの普及にも努めている。

主な寄稿先:東洋経済オンライン、シェアーズ・カフェオンライン、創業手帳Web、打刻ファースト、起業サプリジャーナルなど

著書:「日本一わかりやすいHRテクノロジー活用の教科書

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