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グルテンフリーを4ヶ月続けて感じること

治療で行うグルテンフリーの厳しい現実

私がグルテンフリーを始めてから、4ヶ月が経過しました。
グルテンフリーを始めるきっかけは、食事で起こしたアナフィラキシーショックでした。

検査で小麦へのアレルギー反応をおこし、ある日突然、自分の意思とは関係なく、いままで食べてきた大好きな食物の多くを禁止されました。
グルテンは小麦にしか含まれないといわれていますが、私はアナフィラキシー時にもち麦(大麦)を摂取していたことから、小麦・大麦・ライ麦・オーツ麦などの「麦がつくもの」、他にも検査でアレルギー反応を示した食物(りんご・トマト)と、アナフィラキシー時に摂った食物(卵・白米・オクラ・長芋)を除去した食生活をおくりながら、検査を受けることになりました。

しかしこの食生活をいまの日本で行うのは、本当に大変だと痛感しています。全てを米粉に置き換えれば糖質過多になり、日本食なら良いと思われがちですが、多くの食材に「麦」がつくものが使用されています。

その反面、身体は疲れや痛みが取れやすくなり、頭痛が軽くなり、下痢がなくなり、体重は少なくとも8キロは減り、以前よりも元気な時間が増えました。肌の調子もすこぶる良いのです。何より、食後に具合が悪くなることが減ったのは、とても楽です。
同時に糖質を抑えた食生活にもなっているので、果たしてグルテンでの改善が全てかはわかりませんが、最近よく聞かれる『グルテンフリー』について、みなさんにも知っていただければ、と思います。

グルテンフリーとは何なのか?

グルテンとは、小麦に含まれるタンパク質のひとつです。タンパク質というと肉や魚、卵などが頭に浮かびますが、穀物や野菜などにも含まれています。
小麦をつかったパンや麺類で楽しむことができる、もちもちとした食感のもととなる粘りや弾力性の正体が「グルテン」です。小麦粉に含まれるグリアジンとグルテニンという2種類のタンパク質に水を加えてこねると、これらのタンパク質が絡み合い「グルテン」となります。
このグルテンを食生活から排除する食事法が、「グルテンフリー」です。
もともとは治療食ですが、ダイエットや体質改善のために取り入れる人が増えたために、現在では広く知られるようになりました。
また大麦・ライ麦は小麦に対する交差抗原性(グルテンに似た構造のタンパク質)がみられるため、除去が必要な場合があります。

「ノングルテン」という言葉も見聞きします。「グルテンフリー」と同様にグルテンを含まないという意味ではありますが、表示の対象が米粉や米粉使用製品に限定されています。

グルテンフリーを必要とする病気や体質

主に「セリアック病」、「小麦アレルギー」、「グルテン過敏症」、「グルテン不耐性」などがグルテンにより体調不良を起こす病気や体質です。
中でも「セリアック病」はグルテンにより小腸がダメージを受け、栄養が吸収できなくなる病気です。
「グルテン過敏症」、「グルテン不耐性」は、グルテンにより何らかの体の不調がでる体質であり、グルテンをとることで腸の免疫システムがグルテンを異物と判断してしまい、過剰に反応するために炎症を起こしている状態です。
慢性的な疲労感、下痢や便秘、集中力の低下、肌荒れ、PMS(月経前症候群)、生理不順、不妊、アトピー、ぜんそく、鼻炎など、さまざまな症状が起きるため、原因がグルテンにあると気が付かないケースが多くみられなす。
「グルテンフリー」は、このような患者のための食事療法でしたが、実践すると体調や精神状態がよくなったというケースが増え、世界中に広まりました。

グルテンの何が問題なのか?

「グルテン」が問題となる理由は、先ほどの粘りの性質から腸の消化・吸収でのトラブルを引き起こすからです。グルテンは非常に消化しにくいタンパク質のひとつで、腸の炎症を起こす原因になるといわれています。
通常タンパク質は消化酵素によって消化され、アミノ酸となって小腸から吸収されます。しかし小麦タンパクである「グルテン」は、消化酵素では分解しづらい形をしています。そのために消化されずに小腸に到達してしまいます。このことにより腸の粘膜に炎症を起こし、腸粘膜を荒らしてしまいます。
腸粘膜が炎症で荒れると目の粗いザルのような状態になり、充分に分解されていない大きな分子も通すようになってしまいます。それが原因で免疫システムが過剰に反応し、アレルギーを発症したり、腸が行うべき解毒作用にも弊害が起きます。これが「リーキーガット症候群」といわれる状態です。
「リーキーガット症候群」はアレルギー反応以外にも、ウツやイライラ、ADHDなどの多動性、自閉症にも関わりがあるといわれています。

なぜ最近グルテンが問題になっているのか

昔はグルテンの問題や小麦アレルギーなんて聞かなかったのに、なぜ最近は問題になっているのか?、疑問に思う方も多いと思います。
1960年代以降、生産性を高めるために背が低くて実がたくさん実るように品種改良された小麦が使用されるようになりました。現在流通している小麦の多くは、古代小麦に比べてグルテンの含有量が増えてしまったものといわれています。

そして私たち日本人の食生活も、戦後の高度成長期を迎えてから、急激に小麦ををつかった料理であふれるようになりました。朝食にパン食が取り入れられ、お昼に麺類、おやつにスナック菓子、夕食にシチューやカレーなど、子供が喜ぶメニューの多くにも小麦がたくさん使われています。
安価な小麦は、酒類、さまざまな製品のつなぎとしても使用されています。

グルテンを除くために食べられないもの

「麦がつくもの」を使用しているパン、パスタ類、ピザ、うどん、そうめん、ラーメン、そば、餃子、シュウマイ、お好み焼き、たこ焼き、揚げ物、天ぷら、カレー、シチュー、スープ、スナック菓子、ケーキ、チョコレート、クッキー、アイスクリーム、和菓子、ファストフード、練り物、惣菜、弁当。パン粉を使用した揚げ物、とんかつ、ハンバーグ。
「麦がつくもの」を含む調味料も使用できません。醤油は小麦と大豆から作られているものが多く、穀物酢、味噌、コンソメ、チューブの生姜やニンニク、ドレッシング、だし、ソース、タレの多くに、つなぎとして小麦または小麦由来成分を含んでいます。
小麦はその便利な粘性と安価なことから、現代の日本で食べられている一般的な食事や、酒類の多くに使用されています。大麦も「もち麦」、「押し麦」、「◯穀米」などで使用されています。
私は大丈夫!と思ってスーパーで買った、「とりの味噌焼き」を食べて具合が悪くなり、後から味噌に麦の粒があることに気がつく、という事もありました。鹿児島で使用される味噌のスタンダードが、麦味噌であることをすっかり忘れていたからです。

買い物や食事で困ること

基本的に毎回、「成分表」や「アレルギー表示27品目」、「コンタミネーション(同製造ラインで小麦使用)」などを確認してから購入しています。
同じ商品でも、使用される成分が突然変更になることがあります。工場が変わってコンタミネーションのために、成分が変更されることもあります。触ったものを戻すのは申し訳ないのですが、食べられるものを探しながら購入する方法になってしまいます。

一般に売られている米粉パンという商品では、原材料に小麦も併せて使われることが多々あります。
町のパン屋さんで調理器具や製造ラインを分けて、コンタミネーションに配慮するのは難しいだろうと思っています。また、「グルテン」などの添加物を使用して、小麦使用だと認識していないパン屋さんもあります。

スーパーやコンビニの弁当、惣菜類、個人商店の製品には、詳しい成分が書いていないものもあります。一見、大丈夫そうかと思っても、確認できないことも多いですし、コンタミネーションの可能性が高ければ、できるだけ避けるようにしています。

自宅近くのスーパーでは、まだ気軽に買えるアレルギー配慮食品の扱いが少なく、アレルギー対応をできるレストランも市内にごく少数です。
外食では、事前にアレルギー対応ができるかを確認して利用しなくてはなりません。突然入って色々質問しても、働いている方も使用している調味料の成分まで把握しているわけではないからです。
私はこの4ヶ月で一度だけ、外食を利用しました。ステーキ店のランチで、「アレルギーご相談ください」と書いてあったので、お店の方にじっくり相談してから利用しました。肉に添えられているポテトには何か粉をまぶしていないか?、ソースには小麦を使っていないか?などを確認しました。スープ、サラダ、パンは無しですが、それでも一つ大きな壁を乗り越えた感覚で嬉しかったです。

何が食べられるのか?

では反対に、何を食べられるのか?、簡単に紹介します。

食べられない物が多いぶん、必要な栄養素を食べられる範囲で摂取することになります。
私がいまよく食べている食材は、肉、魚、野菜、豆、海藻、果物、チーズ、大豆製品です。
根菜類やイモ類、キノコ、ハーブ、良質な油(エクストラヴァージンオリーブオイル、亜麻仁油、ココナツオイル)、オリゴ糖、酢も意識して取り入れています。他にもミネラルウォーターを飲んでマグネシウムやカルシウムを補っています。

料理する際には、豆腐、厚揚げ、しらたき、春雨、高野豆腐などでかさ増ししたり、キヌアも時々つかいます。ツナ缶やサバ缶も常備しています。
調味料は、すべて小麦不使用のものに入れ替えて使用しています。
スタートが7月の暑い時期だったので、火を通したものを葉物のサラダに乗せて、スパイスや酢を変えて味を変えたり、ヒスパニック系のアメリカ人直伝のワカモレを乗せたりして食べる日が多かったです。カリフラワーライスや小麦不使用の発芽玄米パスタが買えた時は、それらも使用していました。

涼しくなってからは、しょうがを沢山入れて具沢山の味噌汁やスープ、鍋や煮物を和風・洋風・中華、スパイシー系、いろいろな味でいろいろな食材を偏らないように食べられるように、大きな鍋で作って工夫しています。
今後は栄養指導を受ける機会も、ぜひ欲しいと思っています。

やってられない!という気持ちを代弁してくれた仲里依紗に感謝!

私はグルテンフリーをやるしかない状況ですが、生半可な気持ちでは本当に続けられないと思います。

SNSをみていると、アメリカの西海岸やオーストラリアの大都市ではグルテンフリー食が一般の生活に馴染んでいて、スーパーでもレストラン、スイーツ専門店でも選択の幅が広いようです。日本のように米粉への代替えばかりではなく、さまざまな食材があり、グルテンフリー食のことも広く知られていると感じます。
でも世の中の美味しいものの多くには、小麦や小麦由来成分が含まれています。それを突然、『全部、食べちゃいけません』というのは、最初は「拷問か?」と思う状態に陥りました。
そんな私の気持ちを、仲里依紗さんがYouTubeで吐露してくれました。
開始9分くらいで、彼女が3ヶ月グルテンフリーを試した感想を話してくれています。

グルテンフリー生活まとめ

まったく何も知らないところから、アナフィラキシーを起こすことなく4ヶ月も過ごせたのは、自分が本当によく努力して、よく頑張っているからだと思います。
主食にできるものを探す検査の進行が予定よりも遅くて、いまでも「この生活はいつまで続くのか」と考えることがあります。
とくにスタート時は野菜が高騰している時期で、馴れない生活に悪戦苦闘し金銭面でも大変でした。

最近の自分の血液検査の結果をみると、以前よりバランス良く栄養が摂れているようです。

その他にも該当する食物を除いた状態で卵や白米を食べてみると、体調不良を起こしていることも判りました。じんましん、お腹の張り、下痢、強いめまいや怠さがでるのです。常態的にある症状だったので、いままで気が付きませんでした。

でもグルテンフリー生活は、食べることが大好きな私には、治療目的でなければ絶対にできないと思う生活です。

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