情報に踊らされず、自らが必要な情報の選択をする時代
私達が生活する社会ではインターネット・本・雑誌・テレビ、さまざまな媒体でさまざまな情報があふれかえっています。そして得た情報の中から、自己責任で情報を取り入れる取捨選択を行わなければならない時代だと感じています。
新型コロナウィルス(COVID-19)に関する情報も、さまざまなものが良いといわれては、のちに否定されています。
ざっくり
情報の取捨選択を上手くできるようになろう
自分が信じる情報にこだわらず、新しい情報を取り入れる柔軟さも大切です。しかし自らが主体となって必要な情報の取捨選択をする能力がないと、情報に踊らされてしまう時代だと痛感しています。
食物アレルギーによる食物制限を経験して理解できたこと
個人的なことですが、いま私はアレルギー症状の悪化により大幅な食物制限をうけて生活しています。
自分の食物アレルギーが表面化するまでは、病気やアレルギーで食べることができない人も、好き嫌いの多い人も、申し訳ないほどにまとめて面倒な人だと思ってきました。
病気や体質で食べてはいけない食物がある人も多いし、好き嫌いも、もしかしたら身体に合わないと感じるから自然と食べない選択をしている可能性も高いのです。
アナフィラキシーショックから食物制限を経験して気がついたこと
いまや私がその面倒だと思っていた中でも、面倒臭さナンバーワンくらいの身になってしまいました。アレルギーは好き嫌いは関係なく、好きでたくさん食べるものに突然反応をおこすこともあります。
私も今後入院してさらに詳しく検査を受ける予定ですが、いまはただそれを待ち、アナフィラキシーショックを起こさないように気をつかう日々を送っています。検査がすすめば食べられる食物は増えると思いますが、いまは一番制限の多い時期だと思います。
私がアレルギーによる食物制限を受けるようになってから気がついた、自分の嗜好で意外だったこと。それはもともと習慣的に菓子類を食べないことでした。
コンビニ利用は疲れてスーパーへ行けない時にたまに寄る程度で、スーパーでも菓子コーナーは飛ばしてまわります。だから甘いものが食べたい!スナック菓子が食べたい!コンビニ行きたい!とはなりませんでした。
そのかわりに本当にお菓子に興味がないらしく、アレルギー対応菓子などの情報が目にとまりません。外出先で空腹を我慢して過ごすくらいならば、手軽に各コンビニで買えるグルテンフリー菓子の情報も覚えて上手く活用すれば良いとは思うのですが、私の脳内はまだまだ余裕がなくて、一日三食の食事をつくることで精一杯です。
小麦不使用のレシピやお店は、なぜか米粉を使ったお菓子の情報であふれていて、私はもっと最低限の生活に必要な食の工夫などの情報を必要に感じています。
そうはいっても私も「パンやスパゲティを食べられない」と制限があると、せめて似た食感のものを食べたくなります。もし甘いお菓子が好きであれば、ケーキや菓子類が恋しくなって代替え食を探していたと思います。
もちろんある程度の検査が終わったら、たまにはコンビニ弁当にスイーツの日もほしいと願っています。
社会であふれるさまざまな情報
先述したように、いまはアレルギーに関してもインターネット・本・雑誌・テレビなどからたくさんの情報を得ることができます。
いま私は暇さえあればアレルギーに関することに目を通していますが、これは元来好きな分野だからこそやっていられると思っています。もし私が食物栄養に全く興味がなくて、勉強も調理もしたことがなければ、管理栄養士に指導を受けたとしても理解に苦しんでいたと思います。興味がないことへ知識を深めるのは、とても難しいことです。
カロリー計算がメインの時代から、必要がない時代への変化を体感して
私が勉強した30年も昔の食物学と、基礎の部分はいまも変わりません。しかしそれらを活用した食事に関する考え方は、大きく変化しています。
たとえば当時は糖尿病食の管理でもダイエットでも、『カロリー計算』がメインでした。身内に糖尿病患者がいて食事管理をみて育ちましたが、私にも将来は関係があるかもしれないことだと思い真剣に勉強した記憶があります。当時は基本的にカロリー計算で考え、揚げ物を減らすような指導でした。おひたしや煮物など、味の薄い和食が一番良いとされていました。
しかし今は、ほぼカロリーの摂取量は気にしないで良い流れです。油もカロリーの敵のようにいわれていましたが、むしろ良質な油は積極的な摂取が必須になっています。
ちょうど昨年身内でいまの糖尿病食の食事指導を受けたものがいるのですが、いまはカロリーはおおまかな目安には使うけれど、それよりも大切だと言われていることは、栄養価を効率よく摂る調理法、バランスの良い食事を食べる方法と時間(良いタイミングでゆっくり食べること)、その食べる時の順番(繊維質のもの→少しずつ糖質の高いものを摂取)と、良質な油の摂取(エクストラ・ヴァージン・オリーブオイル、あまに油、えごま油など)に指導の重点がおかれています。
和食のマナーとしても、一つのおかずを全部食べてから次にいくのはご法度でしたが、いまは健康のためにはできるだけ血糖の急上昇を避ける食べ方が身体に良いと言われています。和食に良いものが多いことは今もかわらずですが、好きなものを食べることを制限してまで和にこだわらない方法を探る継続しやすい内容での指導になっています。
そこで思うのは、あらゆる情報において、根本から常識が覆ることが多分にあるということです。だからいま信じている常識が、10年後には大きく変化している可能性も高く、一般的な生活を送るにも常に柔軟な情報収集が必要だということです。
食物アレルギーに関する情報も選択が必要に
私が小麦へのアレルギー反応があるとわかったときに、まず勉強したのはテニスのジョコビッチ選手の本でした。
偶然すすめてもらったのがきっかけでしたが、グルテン(タンパク質の一種)への不耐性による体調不良をかかえていたジョコビッチ選手が、食生活を大きく変えて世界一にもなったことを書いた本です。アレルギーについても初めて知ることが多く、とても勉強になりました。
しかし読んでみて、違和感をもった部分もありました。私はアスリートではありませんから、当然そこまでストイックには…という内容も多いし、海外のお金持ちと私の生活レベルでのギャップも感じました。
本のとおりには実践できない現実
ジョコビッチ選手は、男子テニス界で世界一をキープするアスリートです。そして大金を稼ぐ、セルビアを代表するセレブです(主催したパーティで、世界中から非難される騒ぎもおこしました)。
私の生活環境では、本で紹介されているカタカナだらけのレシピを作るための材料調達方法の面でも費用面でも、取り入れられることは自ずと減ってしまいます。オーガニック食材だけでの生活が農薬だらけの食材よりも良いとは思いますが、それもお値段的に長く取り入れられません。そして私には専属の調理をしてくれる人も、毎日そばにいる栄養管理をする人もいません。
なかなか実践できないこともありますが、その半面すぐに取り入れられる情報も多々あり、まったく手がかりのない新しい食生活の基礎を探る手助けになりました。
次に日本の医師と管理栄養士が出している、グルテンフリー料理のレシピ本も読みました。
基本はジョコビッチ選手の実践している考えに基づいていますが、グルテンや小麦のアレルギーに関しても詳しく載っていて、より簡単にわかりやすく説明されています。
レシピは日本人が取り入れやすい食材を使用しています。残念ながら私は小麦以外のアレルギーへの配慮も必要なので、いま丸ごと真似して食べられるレシピはそれほど多くありませんが、この本はグルテンや小麦アレルギーに関する知識をクリアにし、日本の生活でグルテンフリーの食生活を行うために現実的な情報が役立ちました。
いまは別の日本人医師が書いた、アレルギーと腸内細菌に関する本を読んでいますが、それぞれの主張する内容は同じでも、取り入れ方はさまざまです。それらの情報から、自分が無理せずに継続しやすい情報を選択して、少しずつ増やしていくことが大切だと思っています。
さまざまな意見を比較検討して自分の考えを引き出したい
日本アレルギー学会では、遅延型のアレルギー検査(血中食物抗原特異的IgG抗体検査)の有効性を認めていません。
グルテンフリーダイエットの流行で、SNSなどでも海外の会社が行うこの検査を受けた人たちを目にします。しかし日本の医療では一部の医師が、グルテンによりさまざまな不調を起こす可能性があることを訴えかけている状況にすぎません。
さまざまな考えを読むことで、情報の選択に慎重になり、自分が新しい情報のどこまでを取り入れるかを決めることができます。一つの考えに心頭しきってしまえば、周りがみえなくなってしまいます。どのような生活スタイルを選ぶかは個人の自由ですが、「比較は情報の選択に重要な要素」だと思います。
まとめ
さまざまな情報から自分に必要なことを取捨選択することは、自分がなにを取り入れてどのような人生を送るかを自分で決めることです。
新型コロナウィルスや食物アレルギーと向き合う生活を経験して思うことは、一つの情報に流されず、違う角度からの意見にも目を通し、常に学びつづけて柔軟に取り入れていくことの重要さです。