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2019.11.10:フリーペーパーVol.44発刊!

高精度の「線虫ガン検診」検診料は数千円

費用と時間のハードルを下げる「線虫」ガン検診

1981年以来の38年間、日本人の死因1位として名を連ねている病気が、ガンです。日本人のガンによる死亡者数は、2018年において年間37万人を超えています。

近年では、薬剤や手術などの治療法の改善、医療機器の向上なども後押しし、早期の発見と治療によってガンは治る病気とされています。自治体でも、無料健康診断の診察券などが発行され、40歳以上の成人を主な対象としたガン検診が、積極的に行われています。

しかし、検診には多くの場合に時間と高額な費用がかかるうえ、発症するガンを必ずしも見つけ出せるというわけではありません。

精度の問題もあり初期のガンは発見しづらく、検診の費用対効果はそれほど高いものではありませんでした。

線虫ガン検診「N-NOSE」

2015年、九州大学大学院理学研究院の広津崇亮・助教の研究グループが、線虫の持つ「ガンの匂いを嗅ぎ分ける能力」を利用した、新たなガン検診の方法を発表しました。

体長約1ミリの線虫が、約95%という高い精度でガンの発症を突き止め、これまでなら熟練した技術者がせいぜい1日3人程度しかできなかった検査を、2020年の実用化にあたり数百人分できることができると見込まれています。

ガン検診の一般的な費用

病院でガン検診を行う場合、これまで一般的に数十万円を超える費用がかかりました。線虫を利用した新しい方法なら、線虫の安価な飼育コストなどを理由として、数千円の費用で済むことが予想されています。

ガンと経済力

ガン検診が遅れがちになる大きな理由には、費用と時間の問題があります。ガンは、発症する患部ごとに別の検査が必要で、それぞれの検査に時間と費用が必要です。

受診者が仕事を持つ40代以上の社会人と考えた場合、期間的にあらかじめまとまった休みを取り、高額な検診費用を用意することは、簡単なおとではありません。

尿を使った線虫による検査が当面のところ判別するものは、ガンの「有り無し」です。ガンの発症を高い精度で確認した後、患部の特定などの詳細な検査を行います。この2段階の検診を行うことで、年間で数回にもおよぶガン検診の費用を抑えることができます。

ガン治療に日本の医療費のうち莫大な部分が使われていることを考えれば、検診の段階で高い精度での結果を得られるこの方法が、予算削減に大きな効果を持つことは明らかです。

ガン保険の加入の有無や高度な医療行為など、症状を抱える患者の経済格差から医療と保証の品質に差が生じるといった、格差の解消を計る効果も期待することができるでしょう。

発展途上国への期待

線虫を利用するといった、検診コストを抑制する効果の期待できる検診方法が開発され、一般人が真っ先に心に思い浮かべることといえば、発展途上国のような経済的に貧しい国の人たちも検診を受けることができるという点です。

開発途上国では、がん患者が増加し、小児がんも止む気配を見せません。

イギリスで発行する医学誌「ランセット・オンコロジー(Lancet Oncology)」に掲載された国際研究チームの発表によると、世界の小児がん患者のうち、半数近くが診断もされず治療も受けていません。

世界保健機関(WHO)の傘下にある国際がん研究機関(IARC)からは、未診療の小児がん患者のほとんどは確実に死亡するといった調査結果が明らかにされています。

最貧国においては、1日の食費が2ドル(200円程度)未満という報告があります。

そういう、世界の経済状況を考えれば、もしかすると、この線虫を利用した安価な検診ですら、やはり経済的に受診できない人たちが世界中に存在するのかもしれません。経済的にそこまで逼迫した人たちが、仮に癌が明らかになったところで、その後の本格的な治療を行う経済的な余裕があるのでしょうか。

今回の研究結果の恩恵を受け、多くのガン予備軍の多くの患者は助かるはずです。それはもちろん素晴らしいこと。しかしその中にあってさえ、予想を超える貧しさというものがこの世には存在し、そのためにやはり死んで行くしかない人たちもいるでしょう。しかも、その人たちがあまりにも少数派であるあまり、報道すらされないといった例も存在するのではないでしょうか。もちろんこれは、ガンという病気に特定されることではありませんが。

おそらく、日本人のほとんどは、この新しいガン検診を受ける程度の経済力を持つ者が多数派であるはずです。検診料を大幅に下げたことは、受診できる境遇の人を増やし、多くの命を救ったことと同等の価値を持ちます。それだけでも、十分に素晴らしい開発です。

でももし、世界に数少ないながら存在する優れた研究者が、その能力をさらに発揮して限りなく研究を極めてくれるなら、そのこだわりに終わりの無いことが多くの命を救うでしょう。研究者というものは妥協のないことを旨とするものです。突き進む気持ちが一つまた一つと命を救い続けるなら、それほど素晴らしい生き方はないとすら思えてくるのです。

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