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2024/11/10:フリーペーパーvol.104発刊!

世界中の人々の人生を豊かにする、マイナーなグリム童話3選

人生を豊かにする、マイナーなグリム童話3選

今回、人生を豊かにする、マイナーなグリム童話3作品をご紹介します。

グリム童話の物語には道徳的ものが含まれており、楽しみながら人生を豊かにすることのできる素晴らしい作品となっています。グリム童話は約200もの作品があり、「白雪姫」や「赤ずきん」など、メジャーな作品は殆どの方々に認知されておりますが、沢山の面白いマイナーな作品が眠られています。

フリーダーとカーテルリースヒェン

昔、ある家に、新婚夫婦が住んでおりました。夫は畑仕事をし、昼前になると妻は昼ごはんを作りました。ソーセージを焼いて地下室の樽からビールを注いでいると、犬がソーセージを咥えて行ったのです。

妻は追いかけましたが、疲れて戻りました。その時、樽の栓は閉まっておらず、床一面ビールの海となっていたのです。妻はビールを乾かそうと、1袋の小麦粉を地下の床へばらまきました。

夫が帰ってくると、「あなた!ビールを注いでいたら、犬がソーセージを盗んだのよ。追いかけるうちに樽の中のビールが全部流れて大変だったわ!でも安心して、小麦粉をばらまいたから、今ごろ乾いているはずよ!」と告げたのです。

それを聞いた夫は「駄目だろ、そんなことをしたら!ソーセージは盗られるし、ビールや小麦粉は全部無くすし…」と叱りましたが、「なら、最初から教えてくれればいいのに!」と返したのでした。

夫は、(妻には気をつけよう)と考え、妻に「このゲーム用のチップを牛小屋の飼葉の下に埋めておくから、そこへ近寄ったら駄目だぞ!」と言い聞かせたのです。

夫がいない間、壺を売りに来た悪党が家を訪れました。妻は壷を買うために、「牛小屋の飼葉の下を掘ればチップがあるから、それで買うわ」と場所を教えたのです。悪党は、飼葉の下を掘り金貨を見つけ、逃げて行きました。

夫が帰って来ると、「壺売りが来たから、チップのありか教えて代金を払わせたの。私はそこへ一切近づいていないわ!」と言ったのでした。「お前ね…、あの金貨はうちの全財産だったんだぞ!」と夫が叱っても、「じゃあ、最初から注意してくれればよかったのに…」といつものフレーズで返したのでした。

2人は悪党を追いかけるため、夫は先に行き、妻はバターとチーズを持って出かけたのです。上り坂に差し掛かかった妻は、車輪の通った地面のへこみを見て(地面が裂かれてるわ!)と哀れに思い、そのへこみにバターを全部埋めたのです。その時、ポケットからチーズが落ち、坂を転がって行きました。

「他のチーズが連れ戻してくれるはずだわ!」と妻はチーズを1つ転がしたのですが、当然、チーズは戻ってこなく、全部のチーズを転がしても戻ってこないのを理由に腹を立て、また歩き始めたのです。

先には夫が待っており、「腹が減ったからバターとチーズを頼む」と寄こすよう言ったところ、「道が裂かれていたからバターを塗ってあげたの。転がったチーズたちはもうすぐ返ってくると思うわ!」と告げたのです。

夫は呆れ、「お前ね…、道にバターを塗り、チーズを転がす奴なんかいないぞ!」と叱っても、またいつものフレーズで返したのでした。

夫は、妻に戸締まりをしたのかを聞くと、「してないわ。最初から言っておいたらいいのに!」と答えたので、「家に戻って戸締まりをしてこいよ、ついでに食べ物を持ってきてくれ」と頼みました。

家へと帰った妻は干し梨を持ち、上の戸にかんぬきを掛けたのですが、なぜか下の戸だけを外して背負い、「これで、誰も入れないわね!」と満足したのです。

夫の元へ戻った妻は「あなた、戸を持ってきたわ。これで家も安全ね!」と告げたので、「戸を持ってきてどうするんだよ!ここに置くわけにいかないから、お前が持てよ!」と、しょうが無く言ったのでした。

その後、森中を探し回っても悪党は見つからず、暗くなってきたので木の上で寝ることにしました。すると、そこへ悪党がやってきて、木の下へ座り盗んだ金貨を置いて火を焚き始めたのです。

この時、妻は荷物を重く感じ、一番重いと思った干し梨を下に落としました。それを見た悪党は「鳥の糞が落ちてきた…」と勘違いし、戸が1番重いと気づいた妻はそれを落とすと、すごい音を立てて落ちて行き、悪党は悪魔だと思い逃げて行ったのです。2人は木を降り、置かれた金貨を持って嬉しそうに家へ帰ったのでした。

幸せハンス

昔、主人の下で働くハンスがおり、母の元へ帰るために、7年間の給金として頭ぐらいの大きさの金塊をもらいました。

帰る途中、速く走る元気の良い馬が目に入り、「こんな馬があれば、早く家に帰れるのになぁ」と思いました。それに気づいた馬の主が「どうしたんだい?」と聞くと、「この金塊がかなり重くてたまらないんだ」と言うと、馬の主はその金塊との交換を提案をし、馬を受け取ったのです。

馬に乗ったハンスは速く走らせると、急に速度が増し、投げ出されたのでした。ハンスが起き上がると近くに牛がいたので、「牛はゆっくり歩くからいいなぁ…乳も飲み放題で、チーズも作れる」と思い、牛使いから馬と牛を交換したのです。ハンスは大喜びで牛を引き、歩き初めました。

昼になり、暑さで喉が渇いたハンスは牛の乳を搾り出そうとしますが、要領が悪く出てきません。するとそこへ、ブタを運ぶ肉屋が通りかかり、(ブタはいいなぁ…油が乗ってそうで、ソーセージにできるし)と思って牛とブタを交換したのでした。ハンスはまた大喜びで歩き始めました。

ある村で、ガチョウを持った若者と会いました。若者は引いていたブタを見て「ブタを引いて歩くのは危険だよ。前に、ある村のブタが盗まれ、村人たちが探し回っているんだ」と忠告したので、ハンスは恐怖に陥り、ブタとガチョウをお願いして交換したのです。

ハンスがガチョウを抱えて歩いていると、楽しそうに歌っている研ぎ屋に会いました。研ぎ屋は、「研ぎ屋はいいよ!砥石だけを使うだけで、ほら、この通り!」とポケットの中の金貨をチャラチャラ鳴らしたのです。ハンスは、その砥石を欲しがり、ガチョウと交換したのでした。

しかし、砥石は重く、歩いているうちに喉が乾いてしまい、井戸へと向かいました。砥石を傷つけないよう井戸の縁に置いて水を飲もうとしたところ、手が滑り、砥石を井戸の底へと落してしまったのです。砥石を無くしたハンスは「軽くなった!」と大喜びしました。

今までのことを思い浮かべたハンスは「こんな嬉し続きで、自分は幸運の持ち主だなぁ!」と、心をウキウキさせながら母の元へと帰って行ったのでした。

恋人ローランド

昔、ある家に魔女と娘と継娘が住んでおりました。娘は顔や心が醜くいのですが、実の娘なので魔女に可愛がられました。継娘の方は、美人で心優しい性格でしたが、いじめられていたのです。

ある日、娘が継娘の持つエプロンを欲しがったので、魔女はその夜、継娘の息の根を止めエプロンを奪おうと2人の寝室へとやってきたのですが、暗闇で顔が見えなく、間違って実の娘を殺したのでした。

夜が明け、目を覚ました継娘は死んでいる娘を見てビックリし、自分も殺されると思い、愛人のローランドの元へ向かったのです。事情を聞いたローランドは「一旦家へと帰り、魔女の杖を奪って娘の血に魔力をかけ、家のあちこちに垂らせばうまく行く!」と告げたのでした。

継娘は早速、家へと戻り、魔女の寝室から杖を奪うと娘の血に魔力をかけ、階段と台所とベッドに垂らし、彼のところへ戻ったのです。

魔女は、エプロンを渡すために娘を呼ぶと、階段に垂れた血が「私はここよ!今、階段にいるの。」と答えたのです。階段を見ても居なかったのでまた呼ぶと、台所に垂れた血が「台所にいるわ!」と答えたのでした。台所を見ても姿が見えなく大声で呼ぶと、「ベッドにいるわ!」と垂れた血が答えたのでした。

魔女はベッドへ行き、娘が死んでいるのを見ると怒り狂い、継娘を追いかけました。継娘は魔女の存在に気づき、魔法の杖で恋人を湖に、自分をカモの姿へと変えたのです。魔女はそれに気付かず、どこかへ行ってしまいました。

2人は魔女を倒すためにイバラの茂みへと行き、魔法で継娘は綺麗な花へ、恋人はバイオリン弾きへと姿を変えました。やってきた魔女はその綺麗な花が欲しくなり、イバラの茂みに入ると恋人はバイオリンを弾き始めました。すると、魔女は勝手に踊りだし、イバラのトゲに刺れ死んだのです。

2人は自由の身になり、ローランドは「今から自分の家で結婚式の準備をするから待っててくれ」と言いました。しかし、ローランドは帰る途中に別の女に魅了され、約束を忘れてしまったのです。継娘は待ち続けても姿を現さなく、悲しくなりました。

その後、ローランドと女の結婚式が開かれました。継娘は心を痛め、参加しないつもりでいましたが、娘たちにより無理に連れて行かれました。継娘が歌い始めると(この地方では、結婚式に歌を歌う風習があります)、その声を聞いたローランドは継娘を思い出し、「あなたが本当の花嫁だ!」と告げたのです。それを聞いた継娘の心は悲しみから喜びに変わり、2人は結婚して幸せに暮らしたのでした。

あとがき

3つのグリム童話はいかがだったでしょうか?

私は、会社の人間関係で疲れ、人に嫌気が差し、人生が楽しめなくなった時がありました。ある時、ふとグリム童話物語を読んでいると、嫌な人にもいろんな物語があることを知りました。

「嫌な目に遭わせているのではなく、人を思う気持ちがそうさせている。ただ要領が悪いだけ」と気づき、怒る相手の心がわかるような思いとなりました。

嫌がらせをしている場合、その人の心は死にたいほど辛い状態になっており、宴会などの催しの場で悩みを聞いてあげるとお互いが通じ合い、人間関係が良くなるかと考えるようになりました。

このように、グリム童話には良い人生を送れるヒントが描かれており、世界中の人々を幸福にさせる力が備わる、素晴らしさがあると言えるのです。

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