現在の私は精神障害者だが、精神障害者になる前は一般企業に働いている普通のサラリーマンでいわゆる「健常者」であった。その頃の私はニュースでの事件報道を見るたびに「犯人は精神障害者」だとクローズアップされることが多かったからだろうか、「精神障害者=犯罪者予備軍」と、心の中ではどこかで差別していたと思う。
そんな「健常者」としての私は、2014年に過労が原因で双極性障害と診断され「精神障害者」に仲間入りした。
社会復帰の過程で、精神科デイケアや自立訓練事業所、就労継続支援事業所B型で、多くの人と出会った。その人たちと接してみても、私には健常者と精神障害者の違いが分からなかった。みんな、普通の人「健常者」に見えたのだ。これは精神障害者となるまでの自分自身が持っていたイメージとまったく逆であった。
だからこそ、それまで自身も抱いていた「精神障害者は犯罪を犯す」というイメージに疑問を感じた。
ここでは、少し古いが平成25年におけるデータを元に精神障害者の犯罪率について冷静に見てみたいと思う。
画像引用:法務省平成26年版 犯罪白書
精神障害者等の検挙人員は3,701人(※交通事件をのぞく全刑法犯の1.4%)となっていてとても低いことがわかる。
精神障害者等/検挙人員総数の比率は、殺人15.1%、放火19.5%だけ他に比べ高めだが、それでも2割を超えていないので「精神障害者=犯罪者予備軍」の考えはかなり偏ったモノの見方ではないだろうか?
次に、健常者と精神障害者の犯罪率を比べてみる。
*健常者の犯罪率
健常者人口は1億2410万人(総人口マイナス精神疾患患者数)
健常者の検挙人員は25万8785人(検挙人員総数マイナス精神者障害者等)
健常者の犯罪率は25万8,785人÷1億2,410万人✕100=0.21%となる。
*精神障害者の犯罪率
精神障害者人口は320万人
精神障害者の検挙人員は3,701人
精神障害者の犯罪率は3,701人÷320万人✕100=0.12%となる。
統計からしっかり見ていくと、健常者の犯罪率の方が高いという結果に。
これは、一般が抱いているイメージとは全く違う真実だ。
最近では、精神障害だけでなく発達障害だから犯罪を犯すというような風潮の報道が一部事件で生まれている。マスコミの伝え方で世の中の真実が歪んでしまう一例だ。
精神科医の片田珠美氏は心の病と犯罪について、このように語っている。
「精神科などのクリニックに通院している人は、周囲も本人も病気であるという認識を持っていることが多く、薬物・精神療法で病状をコントロールしていますし、重い統合失調症等で日常生活を送るのが難しいと判断された患者さんは長期の入院生活を余儀なくされる。無差別大量殺人のような特殊な犯罪を精神疾患だけで説明しようとするのは無理なんです。犯罪は様々な要因が重なり合って起こるもので、心の病気だけで犯罪が引き起こされるわけではないということをわかってほしい」
結局のところ、健常者だろうが精神障害者だろうが、誰でも犯罪者になり得るということだろう。罪を犯すのは結局は人である。
※日本の総人口は1億2,730万人(平成25年)。日本の精神障害者数は320万人(平成25年)として計算しています。
via:NEWSポストセブン
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