車椅子ユーザーの視点で、美山の魅力をたっぷりお届けします!
12月2日、この日は介護旅行ナビさん主催によるエクスカーション(体験型ミニツアー)の日。(企画・実施:鹿児島県旅行業協同組合 ふた旅魅旅、企画協力:日置市、日置市観光協会)
電動車椅子ユーザーのわたしと手動車椅子ユーザー2名、県内外のトラベルヘルパーさんや福祉タクシーの業者さん、日置市のガイドさんなどと一緒に、リフト付き観光バス「PREMIUM X LINER」に乗って美山へ向かいました。
赤ちゃん連れ・車椅子ユーザーさん・介護関係の方々・旅行観光関係者・一般の方といった多様な方々が参加した今回のツアー。中には要約筆記者・トラベルヘルパー・公文の先生などといった方も!今回は、賑やかな雰囲気での体験型ツアーについてご紹介していきます。
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鹿児島県最大の薩摩焼の里、美山を散策
美山は鹿児島市のお隣の日置市に位置し、車で30分ほどの距離です。
唯一、日置市のなかで人口が増えており、なんとその6割が移住者なのだそう。
そして、美山といえば薩摩焼!
その歴史は400年以上前にさかのぼり、島津義弘が朝鮮出兵の際に陶工を連れ帰ってきたことが始まりでした。
沈壽官窯をはじめ、現在は11の窯元がその技術を伝承しています。
窯元、木工、ガラス工房、ギター工房やギャラリー、喫茶店、飲食店、雑貨店などが半径600メートル内に並んでいます。
わたしたちも実際に、Bizanchin蔵から沈壽官窯までは散策しながら移動しました。
古民家やモダンな建物、大きな竹林や茶畑があり、石垣や看板も風情があり、とてもゆったりとした空気が流れていました。
狭い道や坂道、段差もいくつかありましたが、電動車椅子ユーザーのわたしは介助なしで移動ができました。
共同駐車場もあります。
「ぐるっと美山 通行手形」や、日置や美山をより知って楽しめるパンフレットともに、ぜひ散策してみださい♪
奇数月の第1日曜には美山の朝マルシェ、GWには窯焚きコンサート、11月初旬には美山窯元祭りもありますよ!
Bizanchin蔵
最初に着いた場所は、Bizanchin蔵。
ご夫婦ふたりが築200年の建物を改装して始められた古民家カフェです。
表の入口は階段がありますが、車椅子ユーザーは裏から入店可能。
オーナーが手作りされたスロープがあり、お手洗いも工夫されております。
少し狭い道もありますので、大きいサイズの車椅子を使用されている方は確認されるとよいかもしれません。
スロープ
1番めのスロープは、車椅子の横幅に合わせて調整が可能です。
室内に入る3番めのスロープは電動車椅子の重さで一瞬軽く浮きましたので、ゆっくり進むことをおすすめします。
スロープの間にある小さな流しがかわいく、こちらの流しの水を使って車椅子のタイヤを拭いていただいてから店内に入りました。
お手洗い
お手洗い内も広く改装されております。
ドアの幅は一般家庭のサイズで、横幅約55cmの電動車椅子がギリギリ通りました。
車椅子ユーザーが予約した際は、事前にドアを外してくださるそうです。
そのため鍵は掛けられなくなりますが、手作りの札で空き状況が確認できるようになっていました。
便座が横向きに設置されており、人によっては介助が必要になることと思います。
個人的に、お手洗いの窓が障子だったところが好きです。
店内の様子
店内も広く、車椅子ユーザーが数名が訪れても楽しめることと思います。
ルワンダのガイドさんによる料理とお話を楽しむイベント中で、今回は見学のみでした。
普段は美山の窯元さんの器で、薬膳料理やスイーツをいただけるようです。
コーヒーを頼むと、自分で挽くことが出来るそう!素敵です!
店内はハンドメイドの雑貨も販売されており、とてもあたたかな空間でした。
なにより車椅子ユーザーも楽しめるように考えてくださったことが嬉しく、オーナーご夫婦の思いを感じました。
※Bizanchin蔵は完全予約制のため、前日までにご連絡ください。
田中ギター工房・木の工房
次に、紅葉に出迎えられて着いた先は、田中ギター工房・木の工房です。
職人歴50年近くになるオーナーであり作家の田中さんは、前川清さんなど有名人のギターもつくられるそうです!
実際に手作りのギターの音色を聴かせてくださいました♪
今回、工房内には入らなかったのですが、ギターの他にもテーブルウェア、スプーンやカップなどの木の作品が並んでいるそうです。
ツリーハウスと四輪バギー!
そして、外にはツリーハウスと、たくさんの四輪バギー!
滑車でバケツを上下させて、ツリーハウスに物を運べるようになっていたり、お庭でコーヒーが飲めるようになっていたり、ハンモックがあったり。
田中さんの好きなもので溢れた空間は、まさに大人のおもちゃ箱!
訪れた瞬間から、ワクワクが止まりませんでした。
しかも、この四輪バギーは公道も走れるのだそう!
わたしはスカートを履いてきてしまったために、バギーに乗れず…。
いつか挑戦してみたいものです。
陶遊館
車が行き交う広い道路へ出て、陶遊館へ。
店内の様子
外観は和風ですが、ゆるやかなスロープを上って館内に入ると、ロッジのような木のぬくもりを感じるつくりになっており、そのギャップに驚きました。
あたたかな灯りのなかで一堂に並ぶ、美山の窯元さんの作品たち。
とても贅沢な空間です。
器やカップ、時計や香炉、花器。磁器やガラス製の小物も販売されていました。
お手洗い
広々としたお手洗いは館内同様、木のぬくもりを感じます。
しかし、低身長のわたしにはトイレットペーパーの位置が遠くて高く、ドアがとても重くて動かせませんでした。
車椅子ユーザーがひとりで使用する際はドアの開閉はお願いし、お手洗い内に呼び鈴や非常ベルなどを設置していただくと安心感が増すことと思います。
また、展示棚の下に砂利が敷かれて少し低くなった場所がありました。
お気をつけて、ご鑑賞ください。
陶芸体験
陶遊館では陶芸体験も行っており、ロクロは常時6台、手びねり体験は50人まで可能だそうです。
鹿児島ならではの、薩摩ボタンの絵付け体験もできます!
土の香りや粘土の感触はとても癒され、自分でつくったものを使う喜びは格別です。
いつか、ぜひ体験してみたいです。
※予約はお電話、またはWebサイトの予約フォームから受け付けています。
美山の旅はまだ続きます
魅力あふれる美山の街!
伝えたい場所や写真は、まだまだたくさんあります。
後編もぜひ、読んでみてください♪
後編はこちら>>「車椅子ユーザーと外出介助のプロが巡る、美山の体験型ツアー(2)」
前編は陶遊館にいた、かわいい子で締めさせていただきます。
ちらっ!