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2024/12/10:フリーペーパーvol.105発刊!

多発性硬化症と戦いながらパラリンピックで1大会2競技制覇

パラ大国の超新星「WHO I AM」
カディーナ・コックス
(イギリス / 陸上 & サイクリング)

国際パラリンピック委員会とWOWOWが5年に渡って取り組んでいる共同プロジェクト「WHO I AM」。世界最高峰のパラアスリートたちに迫るパラリンピック・ドキュメンタリーシリーズです。

今回取り上げるパラアスリートは、パラリンピック大国イギリスでも32年ぶりとなる「1つの大会で2競技制覇」の偉業を成し遂げた超新星、カディーナ・コックス選手です。

イギリス屈指のスプリンターだった

カディーナは10代から本格的に陸上を始め、100mを11秒台で走るイギリス国内屈指のスプリンターでした。しかし、2014年、彼女の体に異変が起こります。突如、腕や足に痙攣や麻痺の症状が出てきたのです。カディーナの病気は多発性硬化症という難病でした。

難病「多発性硬化症」とは

多発性硬化症(MS)は、脳や脊髄、視神経のあちこちに病巣ができて、様々な症状が現れるようになる病気です。英語では「MS」と呼ばれるのですが、これは「Multiple(空間的・時間的に多発する)」と「Sclerosis(硬化)」の頭文字をとっています。

MSは再発と寛解を繰り返す病気

MS患者の多くは「症状が出る=再発」と「症状が治まる=寛解」を繰り返すといわれています。カディーナにも、腕や足の痙攣や麻痺が繰り返されるという症状があります。症状が現れないように毎日の注射は欠かせません。

だから「今を楽しむ」

薬で症状を抑えていても、いつ痙攣などの症状が現れるかわからないのが多発性硬化症という病気です。だから「今を楽しむ」と彼女は言います。カディーナは立ち止まることなく、前に進み続けています。今はイギリス・マンチェスターで大学生として理学療法を学びながら、アスリートのキャリアを積み重ねているところです。

リオパラリンピックでの衝撃

2016年、リオパラリンピックで彼女は偉業を成し遂げます。サイクリングと陸上、異なる2つの競技で金メダルを獲得したのです。それも2つとも世界新記録で。

サイクリング(C4)500mタイムトライアルで金

カディーナのサイクリングでのクラスはC4。Cクラスは、切断・機能障害・麻痺などの四肢の障害がある選手がエントリーするクラスで、通常の二輪自転車を用います。C4は2番目に障害が軽いクラスとなります。

彼女が出場したのは500mタイムトライアル。力強いペダリングで中盤からの加速は凄まじく、最後まで失速しない圧巻の走りを魅せました。2位の中国選手を1.404秒も引き離す34.598秒の世界新記録での金メダル。実は2位の選手も世界新の走りをしているので、その強さは半端ないです。

陸上(T38)400mで金

カディーナの陸上400mのクラスはT38。Tは陸上のトラック種目を表します。T38は脳性まひの4つのクラスの中で一番軽い障害のクラスとなります。

サイクリングで金メダルを獲得したのは9月11日。陸上(T38)400m決勝は9月14日でした。この短期間で違う競技に出場するだけでも凄いことなのに、今までの記録を1.40秒短縮する1分00秒72の世界新記録での金メダル獲得。凄すぎます!

陸上は400mの他にも出場しており、100mで銅、4×100mリレーで銀と、サイクリングも合わせて4つのメダルを獲得しました。彼女はなんというポテンシャルの持ち主なのでしょう。

ありのままを楽しむ

多発性硬化症は悪化すると自分の免疫機能で体を壊すこともあります。いつどうなるかわからない病気です。

だからこそ、「今を楽しむ」「ありのままを楽しむ」「ありのままを受け入れる」「歩みを止めない」彼女の姿勢が生まれてくるのかもしれません。

TOKYO2020で、カディーナ・コックス選手がどんなパフォーマンスを魅せてくれるかとても楽しみです。そのときの状態に合わせたベストな走りをきっとしてくれることでしょう。2大会連続2競技制覇!ぜひ期待したいですね。

彼女の強さの根源は、やり続けることにあります。常に努力を惜しみません。歩みを止めません。

※ 11月15日(木)よる10:00(再放送:11月18日(日)午後0:00)から、パラリンピック・ドキュメンタリーシリーズ WHO I AM パラ大国 2競技制覇の超新星:カディーナ・コックス がWOWOWプライムにて放送されます。

via:WOWOW

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