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2024/12/10:フリーペーパーvol.105発刊!

2019年の春、日本へ。クリムトの魅力とその人物像

世界の名画の展示が続く、日本の美術館

力強く波打つタッチと、両手で耳をふさぎ、目や口が大きく開いた表情が印象的なムンクの「叫び」。
その作品で有名なムンクの展覧会が現在、東京都美術館で開催されています。
(「ムンク展―共鳴する魂の叫び」は来年1月20日まで。)
また、今年の夏は鹿児島でもミュシャの作品が展示され、多くの人を魅了しました。
そして、2019年。
クリムトの作品が日本にやってきます!

油彩画約20点。日本では過去最大級の展覧会です!

クリムト展 ウィーンと日本 1900」は4月23日~7月10日まで、上野の東京都美術館にて開催されます。
その後は7月23日~10月14日の間、愛知県の豊田市美術館に巡回されます。
初期の作品から風景画、「黄金の時代」と呼ばれる金箔が施された女性像、全長34mにもなる壁画の複製画など、その数約20点!
没後100年を記念した今回の展覧会は、日本の展覧会では過去最大級のものになります。
また、東アジアや日本の文化に影響を受け、作品に投影していたクリムト。
クリムトが影響を受けた日本の美術品や、同時期にウィーンで活動していた作家の作品も展示される予定です。

儚く官能的なクリムトの世界観とその背景

クリムトの作品のイメージといえば、やはりゴールド
そして、植物や幾何学模様で彩られ、オリエンタルな雰囲気の女性像でしょう。
そんな「黄金時代」の作品は、人間の「」や「」がテーマとなっています。
今回はその黄金時代にフォーカスし、クリムトの魅力をお伝えします。

「黄金時代」、そのルーツは日本美術

「黄金時代」のクリムトの絵の特徴は、リアルな女性の表情やしぐさに対し、衣服や背景は平面的でデザイン的であるところです。
この表現は日本の浮世絵や、古代エジプトの芸術から影響を受けました。
また、この時代は植物や昆虫などの自然美を曲線で表現したアール・ヌーヴォーと呼ばれる装飾運動も起こり、その影響も受けています。
代表作の「接吻」。

女性はやわらかく、男性は力強く描かれており、神々しさを感じます。

「ユディト」に隠された昼顔な1面と、クリムトの人物像

今回の広告としても起用され、メインとなる作品は「ユディトⅠ(ユーディットとホロフェルネス I)」。

※「ユディトI」は、向かって左側←の絵画になります。

「ユディト記」に登場する未亡人のユディトを題材にしたもので、ユディトは街に侵攻してきた将軍に近づいて殺害し、街を守った人物です。
また、生涯独身を貫いたクリムトですが、アトリエには常に絵のモデルとなる女性たちがおり、何人もの女性と関係を持ち、なかには妊娠した人もいたといいます。
この「ユディトI」の絵のモデルとなった方とも愛人関係にあったとか。
うーむ。
クリムトの妖艶な作風はそうやって生まれた…と思えば、なんともいえません(笑)。

そんななか、生涯行動をともにしたのはエミーリエ・フレーゲ
彼女はブティックを経営をし、当時としては珍しい経済的に自立した女性でした。
クリムトとは恋人の関係ではなかったといわれますが、何度も手紙を送りあい、クリムトの最期の言葉は「エミーリエを呼んでくれ」だったといいます。
代表作の「接吻」のモデルは、このエミーリエとクリムト自身との一説もあります。
恋多きクリムトにとって、エミーリエは精神的につながっていた相手なのでしょう。

クリムトは自分自身に興味がなかったそう。
ちなみに、たくさんのねこも飼っていました。

時代背景

話は変わり、クリムトが活躍した時代は19世紀末から20世紀初期、いわゆる世紀末でした。
近代化や科学的な思考が急速に広がり、変わりゆく社会に興奮する一方、不安に感じる人も多かったようです。
その不安な思いは芸術面にも表れ、それまで主流であった目に見えるものを表現する「印象派」のスタイルから、人間の内面を掘り下げたもの神秘的な題材を扱う作家が現れました。
(今年の夏、鹿児島で展覧会が行われたミュシャも同じ時代を生きています。)
クリムトは、その新たな芸術を切り開いた先導者でもありました。
そのため、クリムトの作品には賛否両論あり、ウィーン大学からの依頼で描いた天井画「医学」「法学」「哲学」は批判され、後にナチス軍によって燃やされてしまいます。
批判された理由はその描写もありますが、依頼の際にどのようなものを表現してほしいかを伝えられたにも関わらず、クリムトは真逆のテーマで絵を完成させたのです。
「哲学」は光ではなく闇、「法学」は正義ではなく悪、「医学」は健康ではなく死を。

※実際の天井画はカラーでした。
それは怒られても仕方ないのかもしれません(笑)。なんてロック!
この作品、わたしはとても好きです。

クリムトの絵に感じる死への思い

一見、やわらかで華やかなクリムトの女性像。
その奥に現れる、逃れられない死や闇との対比がとても人間らしく、人々を魅了する力となっています。
わたしは死者の日の装飾も好きなのですが、クリムトの絵と似たものを感じます。
死者の日は日本でいうお盆にあたり、ラテンアメリカの祝日です。
街中も墓地もきらびやかにカラフルに彩られ、笑顔で魂を迎える日なのですが、そのカラフルさから死や故人への思いもひしひしと感じるのです。

過去最大規模のクリムトの展覧会。
機会がありましたらぜひ、クリムトの魅力に触れてみてください。
わたしも行きたいっ!
九州にも巡回されることを願っています。

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