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2024/4/10:フリーペーパーvol.97発刊!

棚田、伝統ある稲作農業の芸術

棚田、日本農業の芸術は「稲作をあきらめない」

棚田は、日本農業の芸術的な産物です。

稲作は、米を生産して販売し、利益を得ることを経済的目標としています。とはいえ、棚田は小さな面積の集合体にすぎず、経済効率が高いとは言い難いでしょう。

山の斜面までをも農地として利用した農業遺産としての棚田は、日本の農家が生み出した芸術です。

これから、動画鑑賞も交えて、棚田をご紹介していきたいと思います。

棚田とは?

学校の教科書にも出て来る言葉ですから、特別に農業に詳しい人でなくてもご存知の方は多いと思います。

「棚田」という漢字からも、田が棚のように階層を成している様子が想像できるでしょう。

棚田の定義

傾斜地に階段状に作られた、面積の小さな水田の総称を棚田といいます。

1988年、農林水産省は棚田の面積を量的に把握する必要に迫られ、「水田要整備量調査」で対象とした「傾斜1/20(水平方向に20メートル進んだときに1メートル高くなる傾斜)以上の土地にある水田」を棚田と定義しました。

棚田の出来る理由

日本の稲作には、安定して水が確保できる水路の管理しやすい土地が適切です。

農業用の土地には傾斜が必要ですが、傾斜のない完全な平地の場合、湿地となってしまうおそれがあるからです。

地勢的に、日本はもともと山が多く、傾斜のある土地で稲作する場合に農学や土木の技術が必要でした。

棚田の持つ重要な役割

稲作のために棚田が存在することは明らかですが、米を生産する以外にも保水などの重要な役割が、棚田にはあります。

保水作用

日本の山は、斜面が急勾配であることで知られています。
森林は幹や根に水を蓄え、棚田は一時的な平地を確保し水の流出を防ぎます。
森林も棚田も、山の急勾配の中で水資源を確保するという重要な役割を担います。

山に降り注いだ雨水は棚田に収まり、水源となります。
棚田に住む微生物が複雑な生態系を成し、ミネラル豊富な水が生まれます。

もし日本に森林や棚田がなかったら、雨水は猛スピードで海に流れてしまいます。
日本独自の潤い豊かな森林資源は、得られなかったかもしれません。

景観としての棚田

棚田の存在意義として忘れてならないものに、棚田の持つ芸術性があります。

動画サイトにも棚田を紹介する投稿があり、日本だけでなく海外からも賞賛の声が寄せられています。

それでは、さまざまな棚田の風景を眺めてみましょう。

棚田の鑑賞

段々に重なった棚田のそれぞれの水面が、頭上の太陽を景色とともに反射する様子はとても神秘的です。棚田を頻繁に見る機会は少ないでしょうから、動画を見てこの機会に良さを発見できるといいですね。

丸山千枚田・三重県

日本一の棚田との声も上がる、三重県の丸山千枚田です。幾重にも重なる棚田が幾何学的な美しさをかもし出しています。

土谷棚田・長崎県

夕陽の沈む美しい玄界灘を目の前にする長崎県松浦市の土谷(どや)棚田は、自然が生んだ芸術と呼べるでしょう。

棚田は効率的な稲作のため

棚田は、効率的に稲作を進めるため考案された、農家による知恵の結晶です。

手作業だった田植え

稲作を行うために理想とされたのは、平地と水源です。

しかし、もともと斜面の多い日本列島でその条件を満たす土地は少なく、国内で安定的な稲作が行える土地など、ほんの一握りだったはずです。

米を作ることは、日本の中心的な産業でした。
江戸時代において、石高は国の力を示す指標でした。

機械化の進んだ日本の稲作

現在の日本の稲作は、田植えから雑草の除去、農薬や堆肥の散布にいたるまで、可能な限り機械化が進められています。

田畑を出来る限り平地にならし、大量の稲をトラクターやコンバインを使って一括管理する手法に技術を集約してきました。

現代の機械化された稲作において、「棚田」は生産性の低いものになってしまったのかもしれません。

しかし、もともと稲作は手作業で行われていました。
手で1株づつ稲を植えていく姿を、小さな兼業農家や個人所有の田んぼでは、目にすることがあるかもしれません。

手作業の稲作という考えに立てば、棚田が生産性を失うことはありません。

むしろ、日光の効果的な活用や水資源の確保という点で、実用的に優れた技法だったのです。

農業技術の生み出した芸術

農家が試行錯誤の末に編み出した棚田は、現在でも芸術性あふれる民族文化として、その価値を失わず存在し続けています。

農業の機械化がどれだけすすんでも、多面的な役割を担う棚田が失われることはないでしょう。

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