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2018.11.10:フリーペーパーVol.32発刊!

「圏域行政」ってなんだろう?新しい地方行政の形

高齢化と人口減少に悩む地方を救う「圏域行政」という構想

地方の市町村で過疎化と高齢化が進み、医療や公共交通などの行政サービスが滞る状況が生まれています。一地方の単独行政では成り立たなくなる過疎の地域が、今後さらに増えることが懸念されています。

かつて、日本全国で大規模な市町村合併が進み、地方行政に一定の解決を目指しましたが決着を見たとはいえません。

圏域行政は、合併ではなく連携、自治体同志の協力を基調としています。
高齢化、少子化、それに伴う人口減少に、待ったをかけることはできません。

地方行政の救世主「圏域行政」とはどのようなものか、一緒に見ていきましょう。

地方制度調査会への諮問

今月7月5日、安倍総理は地方制度調査会に対し、複数の市町村で地方行政を担う「圏域」のあり方などを検討するよう諮問しました。

2040年

政府は、2040年を地方の行政サービスが滞る一つの区切りと見ており、複数の近隣自治体が協力して行政サービスを提供する圏域について発表しました。

菅義偉官房長官は4日に記者会見し、自治体の意見も聞きながら前向きに考えていく意向を示しています。

新たな行政単位

総務省は有識者による見解を3日に示しており、高齢化、少子化により、このままの人口構成が進めば地方行政は市町村単位では働き手を確保できなくなるとの見解を示しました。

高齢化がピークを迎えるのが2040年と見られており、総務省を中心に各省庁が連携した対応を見せるよう諮問がなされたのです。

圏域行政とは具体的にどうなる?

圏域行政という言葉は、まだ広く普及しているとは言えません。

競争から協力へ

例えば、鹿児島県にある人口400人程度の三島村と、千葉県の市であり、地方として定義される人口60万人あまりの船橋市が、同じように地方行政をそれぞれまかなうのはそもそも無理のあることでしょう。

ここまで極端に人口差のある例でなくても、地元の県庁所在地の行政サービスが充実する一方で、自分の居住する県における人口3位の市が、不便に思えるようなサービスもあるかもしれません。

例えばゴミの焼却にしても、設備の充実している市に隣接する小さな町村が、その市と共同で行えば費用も労力も大幅に削減できるにも関わらず、無理して焼却炉を新設する必要があるでしょうか。

地方中枢拠点都市

行政サービスについては2013年、「地方中枢拠点都市」という考え方も姫路市を中心に提案され、政令指定都市、新中核市などが中心となり圏域全体の経済のけん引役を担うことが提案されています。

市町村同士で協力する「圏域」という生活関連機能サービスの向上が、すでに数年前から考えられているのです。

圏域行政が解決する地方問題

古くは高度経済成長から始まった、日本の経済成長を基調とする発展思想は、個人や企業単位、自治体ごとの競争を推し進めてきました。

暮らしやすさの追求

それにともなってここ先進国日本においても、相対的貧困家庭の増加など、貧富の差が顕著になる例も増えています。

貧しさや不便は、努力して経済成長すれば解決する、との思想は、高齢化、少子化、人口減少が避けられない状況となった現代の日本において、必ずしも解決の切り札とは言えなくなってきました。

国土交通省の名のもとに、日本が圏域行政を検討する状況となった事実は、成長一辺倒では国民の暮らしやすさを実現することが難しくなってきた、これまでの経済成長志向との決別を示すものかもしれません。

しかし、「競争より強調」が、必ずしも従来の地方行政からのギブアップを示すものというわけでもないでしょう。

地方行政と圏域行政

日本では、競争の果てに年間3万人以上の自殺者を生んだ経緯があります。

大都市も小規模市町村も同じく自治体内ですべての行政サービスをまかなう「フルセット」行政からの脱却は、日本を全体で見たとき、国民一人ひとりの必要不可欠な暮らしを実現する適切な着地点のようにも思えます。

現在、構想段階にある圏域行政は、都道府県や市町村の区分けを「分断」から「融合」に変えてくれそうな、希望の垣間見える構想とも言えるでしょう。

今から100年後、私たちの多くが目にすることのないであろう日本が、今とどのように変わっているか、発展しているのか、想像してみると、とても楽しみです。