鹿児島の火山灰は半端ない!”防灰”対策で楽しい観光を
大河ドラマ「西郷どん」が好評放送中とあって、西郷隆盛ゆかりの地を巡るなど鹿児島を訪れる観光客が増えています。
観光客の多くが驚くであろう噴煙上げる桜島の迫力と”降灰”。
遠くで見ている分にはいいのですが、頭上から降ってくる灰は非常に厄介。そんな時、何の対策もなしに出歩くのは危険なことも。
降灰が楽しい観光に水を差すことにならないよう、簡単な「防灰対策」もご紹介します。
かごしま名物「桜島」と「降灰」
鹿児島のシンボルといえば桜島。市街地に近い場所に火山があるというのは世界的にも珍しく、国内外から訪れる観光客にも桜島の迫力と噴煙は喜ばれているようです。
(ちなみにオススメは”夕暮れ時の紅に染まった桜島”。燃えるように赤く美しく、迫力の増した桜島を見ることができます。)
桜島が噴火した際に立ちのぼる噴煙。遠目に見ている分には「絵になる風景」といったところですが、火山灰が降ってくる「降灰」のある場所では、そんな悠長なことは言っていられない状況になっています。
車は灰に覆われ灰色になり、家の窓が開いていると部屋の中はザラザラ、洗濯物も外には干せず。畑の野菜や果樹などに積もれば出荷ができなくなることも。
雨が降るまでは家々の屋根や木々に積もった灰は残ったまま。でも、雨が降ったら降ったで路上の灰で滑りやすくなったり、積もり方次第ではタイヤがはまって動けなくなったり。被害を挙げればキリがなく、北国の雪のように地元住民にとっては厄介な存在なんです。
鹿児島市在住の友人から届いた画像
マンション駐車場の桜島の降灰😵
これはひどい
久しぶりの「どか灰」
窓も開けられないし、洗濯物も屋外に干せないですね
早く、ちょっと強めの雨が降って流れることを祈ります❗#桜島#火山灰 pic.twitter.com/SWMSQe7Jlx— 富重 浩生Hiroo Tomishige (@tommythesoul) 2018年6月16日
路上の灰を収集するロードスイーパーが走ってはいますが、灰はまた降ってくるので、まるでイタチごっこです。
@chadmaru 別名ロードスイーパーと言いまして、桜島の火山灰を除去するための車ですわ♪ってか、スタッドレスタイヤ?年間通して不要なんで持ってないスww pic.twitter.com/37ACIlWoDs
— 土岐 元治 (@toki_okasiya) 2016年1月24日
降灰の最上級「ドカ灰」!
少しの降灰でも厄介ですが、一度の噴火でさらに大量の灰が降ってくることを「ドカ灰」と鹿児島では呼んでいます。
桜島から噴煙が上がったと思ったら、あっという間に頭上から降灰が。そして瞬く間に、目の前の景色が”灰色の世界”へと変わっていきます。(県民は「白くなる」と表現する人も多いです)
風で舞った灰で視界は悪い、目は痛くなる、口の中はジャリジャリするなど普通に歩くのも大変。
運転中のドライバーも視界が悪いので、ライトを点灯しなければならないほど危険な状況となります。
今日の鹿児島市内の様子。
桜島の噴煙が4700m上がって一面は火山灰だらけ😭鹿児島で言う<ドカ灰>ってやつです💦
昨日、車を洗ったばっかりなのに…。#鹿児島 #桜島噴火 pic.twitter.com/AdI7FKw3Sj— めぐみ (@megu_tommy0805) 2018年6月16日
とにかく大量に降って積もるので、降っている時間は短時間でも影響は非常に多大なものです。
ひどい時は荒廃した世界のよう・・・。
この世の終り感ありますが桜島の噴火です。迫る火山灰。#桜島#volcano pic.twitter.com/I78jp4v7zE
— せば (@sevasevasevaco) 2018年6月15日
「火山灰」は「焼却灰」とは違う
火山の噴火によって降ってくる「火山灰」は、物を燃やした時に残る燃えがらの「焼却灰」とは似て非なるものなんです。火山灰の特徴を知っていると、降灰時に誤った対処を取らずに済むはず!
火山灰の成分を簡単に説明すると「鉱物の結晶・岩石の破片・ガラス成分」からなり、形状は”細いガラスのように尖って”います。
つまり降灰は空から細かいガラスが降り注いでいることになります。
細かいガラスが目に入ったり、口から吸い込んでしまうことを考えると、無防備な格好でその中を歩くのは危険だということがわかると思います。
桜島の火山灰。発泡した火山ガラスがありますね。斜長石にはインクルージョンが入ってます。写真横約3mm。 pic.twitter.com/UHXZNOvix2
— Shoji Nishimoto (@nagoya_granite) 2015年6月11日
降灰への備え「防灰」対策を整えておこう
防灰対策といっても、簡単な方法で不快な思いを軽減し身を守ることができます。
〈降灰から身を守る〉
- マスクやハンカチで口を保護する
少量の火山灰を吸い込んでも健康への影響はありません。しかし、気管支炎など呼吸器系の持病がある場合は、症状が悪化・重篤化する恐れがあるので注意が必要です。マスクはPM2.5対策用マスクなどがオススメ。 - コンタクトレンズをメガネに替える
コンタクトレンズを装用していると、眼球との間に火山灰がたまりやすくなるため、外さないと危ないそうです。また、伊達メガネも目を守るのに効果的だそう。 - 傘や帽子で髪と服を守る
髪や服に付着した火山灰は、洗髪や洗濯では簡単に取れない場合もあるので、傘や帽子は、降灰が髪や服などに付着するのを防ぐのに大いに役に立ちます。
〈降灰後にしてはいけないこと〉
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- 絶対に目をこすらない
火山灰は細かいガラスです。目に入ったからと手でこすってしまうと、角膜を傷付けてしまいます。角膜剥離や結膜炎になる危険もあるので、水や洗眼液でしっかりと洗い流しましょう。
- 車のフロントガラスに積もった灰をワイパーで払わない
観光ではレンタカーを利用する人も多いでしょう。運転中に降灰で視界が悪くなっても、慌ててワイパーで払うのはNG!目と同様でゴシゴシと拭いたり払ったりすると、キレイになるどころか研磨している状態になり傷だらけに。メジャーな除去方法は、とにかく「水だけで洗い流す」ことです。
- 絶対に目をこすらない
積もりまくった火山灰を流す!#火山灰 #鹿児島 #桜島 #スバルXV #SUBARU #SUBARUXV #スバル pic.twitter.com/rxSMUqRUgd
— クマゴロウ (@RJNCRicc1wus5IZ) 2018年6月17日
降灰地域は季節によって変わる
噴煙の流れる方向は桜島上空の風向きによって変わるため、灰が降ってくる場所もそれに伴って変わります。
テレビの気象予報などでは、翌日の桜島上空の風向きや噴煙の流れる方向の予想が毎日報じられているんです。この情報を知っていれば、灰が自分のいる場所に飛んでくるかどうかがある程度わかります。
また、季節によっても噴煙の方向は変わります。
春〜夏は主に薩摩半島側(鹿児島市内方面)、秋〜冬は主に大隅半島側という傾向にあります。風向きによるので必ずしもその通りに飛ぶわけではありませんが、観光の計画を立てる際は風向きも考慮してみては。
最近では新燃岳が活発な動きを見せていますが、こちらも上空の風向き予報が出ています。
青春ツアー鹿児島。天気や気温を気にされている方が多いかと思います。鹿児島ではもうひとつ気にしなければならない気象情報があります。降灰情報です。つまり、桜島上空の風向き。鹿児島の天気予報では必ずこの情報が流れてきます。最近は新燃岳上空の風向きも。時間帯、季節で変化します。 pic.twitter.com/oonMISdvPS
— なんくろ (@nan_kuro) 2018年6月7日
鹿児島県は活動的な火山の多い地域のため、地元住民にとって降灰は日常風景の中の一つです。
しかし、県外から訪れる人にとっては非日常的な体験でしょう。降灰は厄介なものですが、これも地球の息吹が感じられるものの一つ。火山のある地域ならではの体験として思い出に残してもらえたら。
7:19に噴火したそうや
イメージと全然違うけど
こんな桜島見たことないのでアリwただこれで洗濯干せないとか
灰の積もり具合が加速するだとか朝 風向きとかニュ-ス見て生活するという
まさに桜島と生きている鹿児島、、、街ゆく人誰も気にした様子もない
日常茶飯事なんやろなw pic.twitter.com/wHpc2hzO7o— ロン (@blueaquashark) 2018年6月15日
そうは言っても、せっかくの観光を”灰色の思い出”だけにしてほしくありません。
灰をかぶることがないよう、防灰対策の準備を整え、上空の風向きなどの情報も上手く活用して、”かごんま”の豊かな自然と歴史を存分に堪能してください。