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2018.9.10:フリーペーパーVol.30発刊!

ラグーナ出版〜人間の尊厳を回復するために作った会社〜

人に仕事を合わせていくという考え方

2018年2月26日で会社設立10周年を迎えた株式会社ラグーナ出版。メンタルヘルス関連の本の出版と精神障がい者の自立訓練(生活訓練)を主に行っている会社です。ラグーナ出版で働いている社員は43名。そのうち30名が精神疾患を患っています。

社員一人ひとりの特性や個性を理解したうえで、人に仕事を合わせていく…。この会社の姿勢が、仕事の継続が難しいと言われている精神障がい者の働くを可能にしているんだな、と川畑善博社長のお話を伺って感じました。

(障がい者雇用の成功事例として、どの会社を取り上げたら良いか、わたしたちなりに考えてみました。その中で一番最初に頭に浮かんだのがラグーナ出版でした。そこで株式会社ラグーナ出版 川畑善博社長と河野豊福祉事業部 部長に取材をする運びとなりました。)

人として接する

川畑社長への取材の中で一番印象に残った言葉が「人として接する」でした。印象に残った理由としては、一番多くおっしゃった言葉であり、人として接することが何故働くことに必要なのかを具体的に説明してくださったからだと思います。

「(川畑社長)人として接するというのは、その人の強みを細かく知ってね、できる仕事を任せることである。ということと、その人が生きてきた過去。過去を知れば、病気になった背景が分かると、ものすごい苦労しているんですよ。まず、そこに関心を示すということがとっても大事だなあと思っています。あと、もうひとつ置かれている状況ですね。だから3つですね。人として置かれている状況・その人の過去を知ることその人の強みを知ること。

この話を聞いていると、その人のことをもっと知りたい、知ってどうにか自信を取り戻させてあげたい、そういう気持ちが詰まっているように感じました。

人間の尊厳は働くことで回復する

川畑社長が2012年に西日本新聞で連載したコラム『夢とつながりの中でー精神障がい者就労支援ー』を1冊にまとめた著書『働くことと回復』。精神障がい者が働くことで人や社会とつながりを持ち、生きる勇気と力を得ていく姿などが綴られています。

ここでは、川畑社長が精神疾患を持っている方が、働くことで回復すると感じたきっかけや軸となっている思いなどを聞いてみました。

「(アルコール依存症の方が)タフな社会には戻れない。タフな人たちが作った。帰るところもないし、働く場所もない。」

「(元教師の方が作業所の体験を行った後)職業に貴賎はないけど、一度この病気になったら、わたしの経験はもう生かせないんですね。」

「(病院の集団精神療法の時)トイレ掃除の人がうらやましい。あの人たちはわたしたちのためになっているけど、わたしは何の役にも立っていない。役立たずだ。」

「(病院の方針で患者さんの役割をなくそうとした時、やかんでコップにお茶をつぐ役割の方とやかんの取り合いをした際)なんで俺の役割を奪っとよ。」

このような言葉や体験から、

「(川畑社長)何か誰かの役に立つということですね。あー、これでどんだけ人間の尊厳が回復するんだろうと思ったんです。で、外でね、そういったものを作っていけば、みんな尊厳・誇りを持ってね、あー、生きていくいい鹿児島になるだろうと思ったのがきっかけですね。」

今回は4名の方とのエピソードを挙げてくださいましたが、まだまだ多くの方のことを思い出していたように感じました。精神科病院に長期入院している患者さんの行く場所、働く場所。

人間の尊厳を失った、失いかけている患者さんたちが尊厳を回復するために作った会社、それがラグーナ出版です。

シナプスの笑い〜精神障がい体験者がつくる心の処方箋〜

ラグーナ出版設立のきっかけとなった雑誌『シナプスの笑い』
病の体験を言葉と力に変えて伝えていこうという志のもと『シナプスの笑い』が生まれたそうです。

わたしはこの『シナプスの笑い』の存在を知り、手にとって読んだ時泣いてしまいました。わたしが読みたかったのはこんな本だと思ったのを今でも覚えています。

創刊号の『シナプスの笑い』が売れた時のことを今も鮮明に覚えているそうです。

「(川畑社長)シナプスの500円の本を初めて売った時、その本に思いが詰まっているわけですよ。つまり、会社の思いというか。ものすごく、売れた時泣いたの覚えていますよ。そして、書店の人が「売れたから持ってきてください。」と言われた時のみんなの誇らしげなというか、やっぱり、つまり、この商品にどう思いを詰めるか、価値をつけるかだと思うんですよね。(中略)今まで書いた人は役に立たないと思っているわけですよ。そんな言葉かけてもらったら天国ですよ。ほんと、うちの良かったのは、出版業にしたこと。思いが詰まっているじゃないですか。」

2006年3月の第1号から12年と3ヶ月。6月20日には『シナプスの笑い vol.35』が発売されました。

ラグーナ出版は証明してくれている

ラグーナ出版は社員一人ひとりをとても大切にしている会社だと思いました。

「人として接する」「人間の尊厳を回復する」

企業として、この姿勢を貫くことは容易でないと思います。しかし、会社設立時の軸になっている気持ちをブレることなく持っているからこそ、会社設立から10年、『シナプスの笑い』刊行から12年続けてこれていると思います。

株式会社ラグーナ出版は働くことで精神障がい者が人間の尊厳を回復することが可能であるということを証明してくれている会社です。