先日、ゴールボール女子日本代表、ロンドンパラリンピック金メダリストである浦田理恵選手(シーズアスリート)の講演を聞く機会がありました。
「普通の人」が金メダリストに。ゴールボールが変えた、浦田理恵の毎日 https://t.co/TF1ZiWo7TV pic.twitter.com/5sh9LkTcyg
— webSportiva (@webSportiva) 2017年11月28日
ゴールボールは、視覚障がいを持っている選手たちが行う対戦型のチームスポーツです。ボールの転がる音や選手同士のかけ声、相手の動く物音、床の振動やラインの感触など、視覚以外のすべての感覚を研ぎ澄まして戦うボールゲーム、パラリンピックの正式競技となっています。
浦田選手は、今、左目は全く見えず、右目も五円玉の穴くらいの視野しかないそうです(視野と言っても、光を感じられる程度とのこと)。
彼女の第一印象は、凛としてキラキラしている素敵な方。
しかし、今の彼女からは想像できないどん底の時代があり、そこから抜け出すのに一年半の時間を要したそうです。
どん底からキラキラオーラ満載の今に至った経緯を分かりやすく、丁寧に話されている姿を見て、何かを失っても、また、新しい何かを得ることができれば、自分が予想もしなかった世界に身を置くことができる、勝負することができるんだなと、勇気と希望をもらいました。
誰にも言えない
彼女が目の異変に気づいたのは20歳をすぎた頃。小さい時からの夢…小学校の先生になるために実家を離れ、教員養成校で学んでいた時だったそうです。急激に視力が落ちていき、矯正をしても回復せず、狭くなっていく視野。黒板の文字が見えない、試験では問題文を読むのに時間がかかって最後まで解けない…彼女の病気は、網膜色素変性症でした。
症状が進行し、日常生活がままならなくなってきても、友人にも家族にも、誰にもその事実を伝えられなかったそうです。失望させたくない、重荷になりたくない…だから相談できないと。必死に目が見えるふりをしながら。
目が見えなくなる恐怖に加えて、孤独感、諦め、自己否定、自暴自棄、一年半の引きこもり生活…その体験は、わたしたちには想像もできない、本人にしか分からない、凄まじい、きつい、きつすぎる時間だったと思います。
一歩踏み出す勇気をもつことで
ひとりで抱え込む時間、考える時間…ムダではないと思いますが、クライシスに陥っている時は、とても危険な感じがします。できることなら、早めに誰かに助けを求めることが必要かと。
目が見えなくなった事実を誰にも伝えられず、彼女の時間は止まっていましたが、お母さんに告白することで少しずつ動いていきます。
できることを増やすため実家には戻らず一人暮らしを続けること、自立するために訓練校に通うこと、鍼灸・マッサージの資格を取得すること、そして、ゴールボールとの出会い。
誰かにきつい時にはきついと、助けて欲しい時には助けてと、伝えることって簡単なようでなかなか難しいと思います。特に近い関係のひとには。でも、勇気をもってその一言を伝えることで、滞っていた何かが流れ出し、少しずつ前に進めるような気もします。
「夢」
途中で障害や困難に遭遇しても
それは意味のあることだと解釈する
その障害や困難は
夢や目標を実現させるエネルギー
自分を信じて未来に一歩踏み出す 。#パフォーマンス #生き様 #やり続ける #メンタルトレーニング #トレーナー— 森西 美香 (@mika_morinishi) 2017年11月26日
前に進んで行く中で、閉じていた世界が徐々に開いていくうちに、何個か乗り越えなければならない壁が出てきます。その多くは自分の中にあるようにわたしには感じます。
自分の凝り固まった考え、恥ずかしさや変なプライド、自分が障害をもったという自分に対する偏見など。
そのような自分自身と向き合って、どう勇気を持って一歩を踏み出していくか…そこがもう一度這い上がる肝になる部分なのではないかと思います。
選択の仕方で世界が変わる
浦田選手とゴールボールとの出会いは、アテネパラリンピックでの女子チームの奮闘ぶりを学校のテレビで観た時でした。
アナウンサーの実況や視力が残っている友人の説明を頼りに試合を観ていると、目が見えなくても俊敏に動けていること、世界の舞台で戦っていることなど、そこには想像もしていなかった世界が広がっていて、とても興奮したそうです。そして、わたしもやってみたいと。
体育の成績は2か3。運動音痴と自分で語っている浦田選手ですが、そこで実際に行動を起こします。なりたい自分になるために。
地元のクラブチームに入って競技を続け、のちに、北京・ロンドン・リオと三大会連続でパラリンピックに出場。それもロンドンでは世界一、金メダリストになりました。
何かやりたいことが見つかった時、それを掴みに行くか否かで、その後の人生は随分変わっていきます。自分のアンテナに引っかかったものにチャレンジしてみること…とても大切に思います。
私もゴールボール好きです♥
とくに浦田理恵さんが😍
この本も持ってます😆https://t.co/3Hm1zGsalq pic.twitter.com/sOPvWKPhzn— 🍍みづち 🍍 (@Mizuchi2001) 2016年8月22日
途中で障害を負って、今まで出来ていたことができなくなると、自分の人生を諦めたり、将来を悲観したり、自暴自棄になったりする方が多いように感じます。わたしは身体の障害ではありませんが、精神障害者となった時、正直「終わったな」と思いました。障害を受容することは本当に難しいです。
障害受容はバランスが大切。障害を受け入れすぎると障害を理由に何もできなくなってしまうし、障害を改善しようとそれだけになると何処まで行っても普通になれない自分に苦悩する。
私としては、「怠ける訳でも頑張らない訳でもない。生きやすく生きようとする」過程に障害受容があると考えている。— ◎ (@Jetstarmans) 2017年11月2日
浦田理恵選手の好きな言葉は、「困難や問題は神様からのプレゼント」。
様々な壁を乗り越えてきたから、乗り越えた先の世界を見たからこそ、この言葉をチョイスするのだと思います。
お話を聞く中で、今、彼女が輝いているのは、ほんとの意味で目が見えない自分を受け入れ、できることに焦点を当て、一歩一歩確実に前へ進み、言い訳をせず勝負しているからなのではないか…と感じました。ますますファンになりました。
もっともっとゴールボールのことを知りたいと思いましたし、応援したいなと思いました。
2020年東京パラリンピックでの活躍、期待しています!
幕張メッセ Cホールで、浦田理恵選手をはじめとしたゴールボール女子日本代表の満面の笑顔…見たいですね。
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