イタリア北部に位置するトレント市のUFE(ウッフェ)の活動の様子を聞くたびに、鹿児島でも日本でもこのような取り組みが広がらないかな…といつも思います。
わたしは以前から当事者(約15年前、うつ病と診断されました)として、精神的に困難な状態からリカバリーした方、または、リカバリーしている最中の方との出会いを求めていました。そして、常に自分の居場所と心の拠り所が欲しかった…。
今もその思いは続いていますし、そのような場所を作りたいとも思っています。この思いがある中で聞いた、トレントで活躍しているUFEの存在。そして、その活動内容と役割を知っていく中で、自分が求めているものはコレなのではないかと思うようになりました。
UFE(ウッフェ)とは?
わたしがUFEの存在を知ったのは、今年の5月くらい、通院している診療所での集団精神療法を受けていた時でした。
UFEは、Utenti(当事者)、 Familian(家族)、 Esperi(専門性の、エキスパートの)の頭文字を取っています。
UFEとは、直訳すると、エキスパートである当事者およびその家族。
精神的困難を経験し、それをくぐり抜け、その経験から得たものの価値に気がついた当事者と家族であり、また、その経験から得た知識を元に、今も困難のトンネルの中にいる当事者と家族に対して、自然かつポジティブな関係を提供できる人のことです。
ピアサポーターとの違いは?
ピアサポート、ピアサポーターに関しては、わたしも興味があり、少しは学んでいるつもりではいます。しかし、フォーマルなもの、インフォーマルなものがあると思いますし、まだ、自分にはしっくりきていません。地域活動支援センターや精神科デイケア、就労継続支援B型事業所などでピアサポーターやピアスタッフとして働いているイメージがありますが、その立ち位置がよく分からないのです。
今のわたし自身の理解しているところによると、仲間として気持ちが分かり合える良き理解者…という感じでしょうか。その活動範囲も限られている気がします。
一方、UFEに関しては、幅広い活動をしていますし、現場では大きな役割と責任を担っており、信頼度も高いです。日本のピアサポーターの範疇ではないと思います。
例えば、重度の精神疾患を持っている方々が生活するグループホームであれば、夜勤をしたり、運転手をしたり、食事をつくったりするのもUFE。地域の医療サービスを受ける患者の保証人にもなっていますし、精神保健局のあらゆる分野でUFEは活躍しています。
まず、専門知と経験知が同等になる社会に
日本における医療従事者と当事者、家族との関係は、すべてとはいいませんが、個人的には専門的な知識を持っている医療従事者が優位にたって治療を進めているイメージがあります。特に医師に関しては…。
今まで多くの医師の治療を受けてきましたが、病気の知識は確かにある、薬に関しても。でも、実際、患者の苦しみをどのくらい分かろうとしてくれているか、どのくらい自分事として向き合ってくれているのか…疑問に思うことが今まで多かったです。
トレントでは、UFEの活動が公に認められていることもあって、専門知(専門の知識)と経験知(経験の知識)が同等に扱われています。ということは、医療従事者と当事者、家族の関係も自ずと同等に。
10月6日(金)、イタリア全土のUFEの大会に、日本の代表として鹿児島の就労継続支援A型事業所「ラグーナ出版」のメンバーがスカイプを通して參加したとの話を聞きました。どんな話題が出たのかとても興味があります。
イタリアで行われていることをそのまま日本に持ってきても、なかなか浸透しないだろうと思います。しかし、たくさん参考にすべきことはあると思いますし、特に、UFEのような取り組みが日本で本格的に導入できるのであれば…精神障害者と呼ばれる方々とその家族の立ち位置が変化してくるかもしれません。
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