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2024/12/10:フリーペーパーvol.105発刊!

昇降口から転落した高齢女性、助けたのは乗客、運転手は黙って通過

出勤するためにいつものバス停に立ち、朝8時19分到着のバスを待っていました。

その日はで、バスが遅れることは承知していました。
案の定、到着は20分遅れ
停留所に貼られた時刻表は、もはや意味を成していません。

そして、私が乗るそのバスの到着する約5分前に、気になることがありました。

昇降口から転落した高齢女性

「やっと来たかな…」と思ったバスは行き先の違うもので、私は少しがっかりしてさらに続くバスを待っていました。

止まったバスの昇降口が開き、少しずつ人が降りていくなか、突然ドサッと転落した人がいました。驚いて目を向けるとそれは高齢と思われる女性

足腰も弱い様子で、立ち上がるのに苦労していました。
私は驚いてしまって、一瞬、助けようと走り寄ることもできませんでした。
絶対ありえないと思っていたことだったから。

アスファルトには小さな水たまり。
女性はスカートの裾を濡らし、苦痛の声で運転手に何か訴えていました。

助けたのは乗客

起こさなきゃ」と思い、正気に戻ると同時に降りていた数人の乗客が手を貸して女性を助け起こしていました。

降りる乗客が全員降り終えると、運転手は女性が歩けることを見届け、昇降口を閉じるとそのまま発車しました。助けもせず、をかけることもないままに。

女性はトボトボと、足場の悪い路面を歩いていきました。

私は無性に腹が立って、バスの車両ナンバーと、日時と、その日の時刻表に該当する車両到着時刻も、スマホのメモ帳に記録しました。

これで、運転手が特定できるはずです。

運転手は黙って通過

それから5分後、私は自分の乗るバスに乗って、仕事場へ向かいました。

職場に着いて朝のことを話すと、あまりの酷さに皆、呆気にとられていました。私と同じように、朝のバスが遅かったという同僚もいました。

その日は雨だったから、バスの乗客も多めだったし、道路そのものも渋滞していたからでしょう。

あのとき、転落した女性は歩いていましたから、一番恐れていた骨折は無かったのだろうと思います。

同時に、黙って行ってしまう運転手が、ではなぜ黙って走り去ってしまったのかということについて、考えました。

運転手はどのような労働環境に置かれ、毎日運転業務についているのか?
バス会社は人員を十分に配置しているのか?
賃金は、休日は、勤務時間は?

もちろん、今回の出来事でバスを走らせていた運転手は間違っていたと、今も私は思っています。

しかしもし、運転手が過酷な労働条件に置かれ、頻発するトラック運転手事故のような過労状態での勤務を余儀なくされていたとしたら、責任は誰にあるのだろうと考えました。

バスの車両ナンバーもその他の情報も、メモに残しています。
乗客からの相談として、話すべき機関もどこであるか知っています。

今はまだ、それをしていません。
相談なら、おそらくご本人およびその家族がしているだろうと思ったから。

それに加えて、昨今の労働環境問題を考えると、末端の運転手、会社なら営業マン、量販店なら店員ばかり、責めていればいいものなのだろうか?という疑問が、いまだにずっと頭から、離れないからです。

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