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2024/12/10:フリーペーパーvol.105発刊!

「教員にこそゆとりを」フィンランドと日本の教育を比較して見えるもの

日本では失敗だったとされるゆとり教育は、生徒に自ら考え工夫し行動していく力を育もうとしたものでした。日本の学校で実践されたことは、教科の内容が簡易化されたり年間学習時間が減ったり、完全週休2日制が実現したり。

果たしてそれが子どもにとって良いことだったのか、もし失敗なら理由は何だったのか。これは、今でも正しい答えの出せない難しい問題です。

日本の学校の職員室

日本で教員と言えば、授業で科目を教えるイメージが強いでしょう。しかし、知人の教員に尋ねてみて、ほぼ全員が口を揃えて言うことは

勉強を教えることは教員の仕事のほんの2割に過ぎない

といったものです。もっと大変な仕事が、教員にはたくさんあるということでした。

PTAなど両親との対応、補導された子どもの警察からの引き取り、親からの苦情の相手、上司である校長からの指導方針の注意、その他風紀進路指導、生徒の家庭問題の対応など。

学校での仕事には多種多様なものがあり、担当する教科さえ教えていればいいといったものではないのです。

日本の学校1クラスあたりの生徒数は約40人前後。1人の教員が担任、部活の顧問、教員の不足している他の教科の授業までしたり(そのために容易に臨時免許が発行される)します。

多くの教員は、自分自身の心を安らげる余裕すらない労働環境にあるといえます。

フィンランドの学校の職員室

フィンランドで教員になるには、基本的に大学院で修士号まで取得しなければなりません。

教員たちは、壁による仕切りが無いオープンフロアーでソファにくつろぎ、お菓子をいただきながら談笑します。1人の教員が担当する生徒数は約10名程度。スポーツは日本のような部活ではなく、生徒は地域にある専門のスポーツクラブなどに通います。

心理面の相談には専門のソーシャルワーカーカウンセラーが対応します。教員には、教科指導にあたって複数の科目を横断して学習することを目的とした授業を練る時間もあるわけです。

教室は全面ガラス張りで、授業の風景もオープンな構造です。

先生の持つ影響力

両者を比較して思うことは、生徒が心にゆとりを持つためには、先生が心にゆとりを持っていなくてはならないということです。前に立つ先生の余裕が、生徒に伝わるのだと思います。

家庭でも、親の感情を子どもは敏感に感じとります。教員は親ではありませんが、それだけ生徒は先生を信頼しているということです。

例えば、いじめ問題が先生の心の余裕でたちどころに解決するとは思いませんが、クラスの全体的な雰囲気づくりに担任の占める割合は高いのです。

教員の人間的な資質が問われる部分だと思います。

フィンランドの教育が優れているからといって、日本とフィンランドの教員の間に、資質的な差があるわけではないでしょう。教員がその能力を存分に発揮して生徒と接するだけの環境が、日本では用意されていないだけではないでしょうか。

同様に、もしフィンランドの教員が日本の教育システムに則って仕事することになれば、今のようには上手くいかないでしょう。

予算をかけるべきは、一人ひとりの教員が思いっきり生徒と向き合って学ぶための環境整備だと思います。

以前、失敗に終わったものとは違った意味での「ゆとり」が、いま必要とされているのかもしれません。

http://www.tengakyouiku.com/category13/entry77.html

via:義務教育からの脱出

https://honcierge.jp/articles/shelf_story/2176

via:honcierge

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