デジタルカメラなどで写真を「撮る」ためにシャッターのボタンを「押す」ことを、たまにシャッターを「切る」とも言いますよね。
かつてはフィルムだったカメラの、そのフィルムを切るの?
いや、そうじゃない。
ググってみると、昔の写真機は光を遮断するときに板のようなものを入れて露光を調整したことから、カメラで撮影する行為をシャッターを「切る」と呼んだのではないかとも言われています。
https://twitter.com/_ino__oni_/status/887796796130336769
いろいろな日本語
日本語には決まりごとが多く、この表現はこう言わなくちゃダメ!という決まり文句がたくさんあります。
たとえば副詞の呼応なら、「きっと…だろう」、「決して…ない」、「もし…なら」など。
「シャッターを切る」のような表現も、特にハサミで何かを切るわけではないのですが、調べてみると昔の写真機の構造を所以とするなど、新しいことが分かります。
その他、間違いやすい表現などとしては、「目鼻が利く」は間違いで「目端が利く」といいます。「熱にうなされる」なら、正しくは「熱に浮かされる」です。
「シャッターを切る」って言葉は最近は使わないのだろうか。シャッター幕がカメラにないもんな。「シャッターボタンを押す」とかか?味気ないし、スピード感が足らない語感。
— Yasushi Okano (@y_okn) June 19, 2017
さらに他の例
「怒り心頭に達する」とはよく言われますが、正しくは「怒り心頭に発する」です。
「采配を振るう」は「采配を振る」。
コミュニケーション下手で悩む人の多い現代、よく使われる言葉「間が持たない」は間違いで、「間が持てない」が正解です。その他、「足元をすくわれる」ではなく、「足をすくわれる」。
これらの表現も、正解するのは学校で勉強する時期に近い20代の方で、社会人経験の豊富な50代以上の方が間違いが多いようです。
「声をあらげる」ではなく「声をあららげる」です。漢字では「声を荒らげる」と書くため、読み間違えてしまうのかもしれません。
一生一度の晴れ舞台を表す「一世一代」はどう読むか?「いっせいいちだい」?
いや間違いです。
「いっせいちだい」が正解です。
神崎のナナメ読み: ×「間が持たない」○「間が待てない」、×「いっせい一代」○「いっせ一代」~誤りがちな日本語表現http://t.co/SOxiupfCH1
— 神崎 (@kanzaki_77) August 8, 2015
間違って普及してしまった意味
自分には見合わないほどの大きな仕事を任せられ、「わたしでは役不足です」と、へりくだる表現がありますね。これは意味が正反対に間違っていて、「役不足」というのは「自分ほど能力の高い人間には役が小さくて見合わない」という意味です。
知識や芸事の最初の一部だけ少し紹介することを「さわり」だけ、と言いますが、「さわり」というのは本来「最も中心となる重要な部分」です。「さわりだけお願いします」というのは核心部分を図々しく要求していることになります。
「ピンからキリまで」の「ピン」と「キリ」は、それぞれどちらが上を表しているでしょう?
ピンは「点」を表しサイコロでいう1ということから、1だから下とも言えるし1番ということで上とも言えます。キリはその逆ですから「ピンキリ」については現代ではどちらが上下か確定できません。
どちらかと言うと現代ではピンが上でキリが下と考える方が有力なようです。
しかし、語源的にはピンが下でキリが上だったようです。キリは「クロス(+)」でキリストの十字架から来ているともされ、数字的に小さなピン(1)から大きなキリ(10)までと考えられていたからです。
「シャッターを切る」話から大きくスピンオフ(?)してしまいましたが、日本語は曖昧をその特徴とするばかりにさまざまな解釈が生まれやすいことで知られています。
2016-09-05-SeaAir【言葉】「さわり」の誤用と語源と改善案 – 「この前の金曜ロードショーの『もののけ姫』、久々に見たけど面白かった」 「へぇー、さわりの部分だけでも聞かせてくれよ」… https://t.co/3yPcBr4swd
— ice (@cruelice) September 5, 2016
方言も他の地方の人にとっては外国語のように意味の分からないものだったりしますね。
言語学を専門で学んだ方ならご存知だと思いますが、本来間違った用法の日本語が幅を利かせている例も多くあります。でも、言葉とは多数派を占めればそちらが正解になるといった性格ものです。
そして、言葉をより使いやすいものに発展させるのは人類の仕事でもあります。
目くじらを立てて
「そ、そ、そ、それ間違ってるよ!!」
と、注意するのは自分が恥ずかしいですね。
言葉にこだわってみるとたまに面白い発見をするし雑学も身につきます。
本を読んでも良いし、インターネットを使えばどんどん情報が入ってくるので、時には言葉遊びを楽しんでみてください。
via:NIKKEI STYLE
via:ちょっと便利メモ
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