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2024/11/10:フリーペーパーvol.104発刊!

幼稚園に通わなかった子どもたち

日本の義務教育は小学校と中学校。高校から上は自分の意志で進学を決めます。

幼稚園保育園については、義務教育ではないので通園させる義務はないようですが、小学校に上がってからしばらくは同じ園出身の子たちで固まるので、子どもが少し心細い思いをするだろうと思います。

よほど経済的に困っているわけではないなら、1年でも通園させた方がいいですよ

保育園中退の子ども

家庭の事情で各地を点々とし、保育園の通園も約5ヶ月で終了しその後は頻繁な引っ越しを繰り返しながら、日中は主にひとり遊びに勤しむ子どもがいました。

父親はきちんと会社勤めし、母親は家事に労を惜しまず精を出す勤勉な両親のもと過ごす子どもは保育園での生活も楽しく友だちもたくさん。

子どもが生まれたことを機に子どもの前ではアルコールを飲むことすら止めることにした父親はしかし、ギャンブル依存の傾向が強く、消費者金融に借金をしてまでのめり込む始末。

保育園への通園費用を払うこともできなくなり借金取りは自宅まで押し寄せるようになり、両親は話し合った挙句父だけを残して、母と子どもと小さな下の子だけで父方の祖父母の持ち家で暮らすため夜逃げのように小さな飛行機で住んでいた地元を後にしました。

ハイレベルな家庭教育

住み始めた新しい家は古いものの広い2階建てで、庭も小さな子どもが遊ぶには十分な広さがありました。

5歳の子どもは通常なら幼稚園に通う年齢に自分があることも知らず、庭にある小さな池でカエルを釣って遊んだり庭にある柿の木に住むセミや夏みかんや金柑の木に住むアゲハの幼虫を捕まえたりして遊びました。

退屈になると母親にせがんで自分への計算問題を作ってもらい、小学校に上がる前の子どもがめったにしない二桁の繰り上がり有りの足し算引き算をゲームを解くように楽しんでいました。

本を読み始めると時間を忘れ夕方暗くなるまで何時間でもずっと図解入りの百科事典を読んでいました。

読めない漢字があると母親のもとへ走って、読み方を教えてもらいます。

決して「読んで」とは言いませんでした。
なんとしても自分で読みたいと思う頑固な子どもだったからです。

小学校進学と同時に優等生

4歳ですでに時計の読み方を強制的に教え込まれていた子どもは6歳になると地元の小学校に上がり、教科の授業が始まるとほとんど教科書すら読まず内容を次から次へと理解し、問題に答えていきました。

勉強に苦労することはほぼ皆無で他の子どもたちの進み具合に合わせた担任教諭のペースには、「早く次も勉強したいなあ」と、その遅さにいつもヤキモキしていました。

小学一年で友だちもたくさんでき、勉強も遊びも楽しくて仕方のないころ、父親は再び雪だるまとなった借金の事実を白状し、両親はさらに母親の実家への転居を決め、その子はわずか9ヶ月で小学校一年で他県へ転校することになったのです。

もともと比較的街並みの整った、地方としては設備の充実した県庁所在地にばかり住んでいた家族は母親の実家への転居とともにかなりの過疎地へ移ることとなりました。

その後、家族はお決まりのように田舎特有のよそ者意識の犠牲者となり、子どもも例に漏れずいじめの対象となりそれは小中終わることはありませんでした。

それでも学業だけはずば抜けて成績優秀なままで、高校は地方の進学校に進んだその子でしたが、そのころは精神に異常をきたす事態に陥っており、いじめの存在も確認不可能なまま高校を中退することとなりました。

幼稚園に行かず、保育園を中退した子どもは大きな潜在能力を抱えたままそのほとんどを活かし切ることもできず、人生初期の段階で可能性の多くを潰されることとなりました。

その両親も教育や育児のノウハウを知識や学問として捉える能力もなかったため、あふれるほどの愛情を持ちながらも形にはならなかったということです。

幼稚園で遊ぶことはとても重要です。

その子どもは幸いにもその後、優れた医師に恵まれ、第三者の視点から客観的な教育を受ける機会を得ました。

大人になったその子は今、笑うことを覚えています。

それから、自分の力で生きる責任を学びました。

長い年月を経て今、彼が普段こころがけていることはたった一つ、

今と、未来のことについてだけ、一生懸命考えよう」。

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